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フロム・ダークサイド  作者: ふる朕
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職業、悪の手先

 東大陸 とある森の中 某貴族領跡地


 異世界モノなんてやつは全部滅べばいい。

 理由は簡単、この世界は転生・転移される側だからだ。

 ……と言いながらこの星は地球だが異世界だったりもする。

 よくある並行世界的話を想像してほしい。とある地点で分岐した世界が同じ次元に無数に存在してるアレだ。

 様々な種族が存在しそれぞれ特殊な能力が使える、そんなテンプレファンタジー世界という認識で問題ない。


 話を戻そう、異世界側になって想像してみてほしい。

 いきなりやってきた奴に自分の国に争いの種を持ち込み貴族や姫ばかりが奪われ自分勝手に暴れまくり好き勝手に商売する。チートとかいう能力で誰も反抗できず、できたとしても意味不明な安い感情論で逆ギレされる。そうして地位と名誉を得ていきその存在を認めざるを得なくなる。小さい土地の領主ならまだいい方で国王になった、なんて例も聞く。

 タチ悪いなまったく……。


 ここまで不満しか言ってないが前置きはこのくらいにして自己紹介といこう。

 俺の名前はミカゲ、副業もやっているが普通の大学生だ。能力は凍結、少し努力しすぎたもんで実は周りよりちょっと強かったりするがそのせいで上司からこき使わ

 ボウッ!

突然噴火みたいな音を立て極太の火柱が俺の目の前に生えた。

「ハァ…ハァ…なぜオレ達を狙う!何者だ!?」

 熱っち!?攻撃と質問同時にするなよ!?

「フッ、その程度で当たると思ったか?お前を消しにきたと言ったろうが。」

 強者感を出してみたが避けるのに精一杯だった。なんならちょっと焦げて心臓バクバクだがこういうのは余裕を見せることが大切なのだ。


 という訳で今俺は副業で命令を受けて転生者共をシバいている最中である。

 てか火を使う相手に凍らせることしかできない奴ぶつけるってって人選おかしすぎるだろ。勝てる気しねぇ……


 まさか避けられるとは思っていなかったのか目の前に立つ少年は驚きを見せる。きっとここまで苦戦したのは初めてなのだろう。

 赤みがかった黒髪と真っ黒な瞳、そしてジャージなる服に身を包んだ少年、『転移者』ミシマ・カイセイがその異世界ウケしそうな顔を歪め、全身ボロボロになりながら尚も吠える。

「そんなんで納得できるか!皆を元に戻せ!」

 まぁさすがに昼飯食べてるところを突然襲われろくに理由も言わずに仲間全員と屋敷も合わせて氷漬けにされちゃ怒るよな……でも正面から向かっていって勝てる訳ないじゃん……

「別に隠してる訳じゃないから教えてやるか、お前の罪は

 上級貴族アザレア家長女、純エルフ族時期王女候補、上位精霊種へ何らかの手段を用いた洗脳並びに誘拐。亜人種、古代種の無断討伐。近隣の貴族領襲撃、侵略。その後王国に無許可で同地を占領し新たな事業の展開。最近だと推定ランクA以上の火属性能力の覚醒。など他複数か

……要は調子に乗りすぎたってことだな。まぁもうじき終わるから安心してくれ」

 事前にもらっていた情報を答えてやる。転生されてからまだ3ヶ月でこれだけやらかせば目を付けられるのも仕方ない。

「ふざけるな……!!確かにオレはまだこの世界を何も知らない、でもそんなオレでも信じてくれる人がいるなら世界にだって抗ってやるよ!!」

 なんか理由言ったら怒られたんですけど。ちなみに理由を言って逆ギレされる確率はほぼ100%だ。そりゃそうか。

「……だからこの力でお前を燃やし尽くす!」

 ・・・・・・

 待て待て、今アイツ回想に入ってね?

 一瞬目を離し隙に謎の悟りを開き覚醒する、俗に言う『流れ変わった』『勝ち確』『いつもの』とかいう現象である。

 なんか追い詰められると突然強くなるのやめてほしいところだ。

 ちなみにこのことは俺たちが転生者たちを倒す理由の1つであるが今はそれどころじゃない。あまりにも勝機がなくて現実逃避してたわ。

「火を灯せ」


 ヤバいヤバい始まってる始まってる!これ絶対触れたもの全部燃やす類いのやつじゃん!


「これより起こるは絶対の破滅、我が力を持って」


 奴の全身が燃えだす、まだ制御できていないのか所々火傷を負っている。


「一切等しく煉獄へと沈める!」


 そろそろ技が完成しそうな雰囲気だな。


「だけどな」


「燃えあがれオレの想いぃぃぃぃ!」


「傷が1つでもついた時点で」


「インフェルノダ」


 俺の勝ちだ。


 技名を言おうとしたようだがそれは最後まで言い切られることはなく代わりに一体の氷像ができている。

 傷口から細胞全てを氷漬けにしてやった。文字通り必殺技、恐らく二度と元には戻らないだろう。

 すぐさま俺はその氷像、元ミシマ・カイセイだったモノを蹴り砕いていく。何度も何度も一切の痕跡も残らないように粉々に粉々に。


 人はお互いに裁きあうことでしか平和を維持できない。勝って正義になった瞬間次の悪になるだけだ。

 なら異世界人からもたらされる救済は?結果的に世界が良くなれば正義か?それとも自分勝手に行われるただの侵略か?

 まぁそれは俺もよく分かってない。分かるのはただ混沌に混沌を重ねた世界に正義も悪もないってことくらいだ。

 だがこれだけは言える。そんな世界に嘘をつき私利私欲の為に異世界人をシバいてまわる俺、いや俺たちは、ただの悪の手先だ。


 痕跡も大体消し終わったところで俺は電話で上司に報告をする。

 ちなみに今俺が使ってる機械は『すまほ』というらしい、最近こっちにきた異世界人から奪っでもといもらったものだが遠くの相手と連絡をとったり向こうの世界の知識を得ることができる、と言っていた。今は一部にしか出回ってないシロモノだがめっちゃ便利である。

 数回の呼び出し音の後報告の相手、上司が電話にでる。

「私だ、何の用だ?」

 凛とした、澄んだ水のような綺麗な女性の声。

「ミカゲだ、任務完了。資料には無かったようだがその場にいた仲間数人をイレギュラーとして凍結させておいたが命に別状はない。あぁでも貴族もいたな、後の処理を頼めるか?」

「御苦労、了解した。あとはこちらで処理しておく……期限を2日過ぎてるけどな」

 いつもどおり慣れた報告……ってはれぇ?

「いやまて!確かに会議があるからっていつもより短い期間だったが今日までのはずだぞ!?対象も1人って書いてあったじゃねぇか!」

 ちなみに俺が所属する組織は定期的に会議があり半強制的に出席しなければいけなかったりする。

「変更内容を記した書状をお前の自宅に送ったのだが……まさか読んでないのか?」

「いや最近引っ越したって言っただろうが!!」

 というかなんでそこだけ古風なんだよ!?

「……電波が悪いな、よく聞こえなかった」

 なんだその間は、ごまかすなし。

「まぁいいや、ところで会議の日にちも変更したりしてないよな?」「フッ、今日だ。ちなみに15時開始だ、会場に変更はない。遅れるなよ」

「ここから半日かかるじゃ」

 プッという通話終了の音、逃げやがったなババァ。

 ちなみに今は正午を過ぎたくらいである。

 会場は確か王都、この森を抜けて半日くらいの距離だったか。どうやら本気を出さないと間に合わないっぽい。なんだかさっきより気が重くなってきた。

「ふざけんなぁぁぁぁぁ!」

 住人が居なくなり誰もいない森林に俺の叫びが木霊する。

 おっ俺たちの戦いはこれからだ!あぁしんど……

 

1話目です、読んでいただきありがとうございます!投稿頻度は不定期かもですが完結までお願いします。

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