クリームソーダは、恋の味?
あなたを想うと胸がドキドキする…。
あなたが他の子と喋っていると胸がモヤモヤする…。あなたと一緒にいたい…。これって恋なのかな…?
* * *
「…愛香。あんた、それ絶対恋してるよ。」
「へぇっ!!」
日曜日、午後の昼下がり。久しぶりに部活が休みで、無二の親友、栞と喫茶店でお喋り中。話の内容は、私の心から離れない―三条彼方―のこと。
栞が言うには、私は彼方に恋をしてるみたい。でも、どうゆうことが恋なのかなぁ…。
「愛香もついに恋かぁ〜。しかも、あの三条兄弟の弟くんだとわぁ〜。私は、お兄さんの方が好みだけど〜。」
「えっ!栞って部長が好みなの!?」
彼方は、2人兄弟で2つ上のお兄さんがいる。そのお兄さんは、バスケ部の部長。名前は、三条 空。第一印象は、金髪でチャラチャラしてそうだなぁ〜と思ったけど優しくてチームを誰よりも大切に思っている人なんだとここ数日、見ていて思った。
「カッコいいじゃん。あの、つかみどころがなさそうなところとかー。男女問わず、人気あるよ。」
「へぇーそうなんだ…。」確かに、人気ありそうだなぁ。
「…あぁ、クリームソーダ飲みたい。」
目の前にあるアイスコーヒーを眺め、一気に飲みほす。
「この店にクリームソーダはないよー。愛香ってクリームソーダ好きだっけ?炭酸ダメじゃなかった?」 「クリームソーダは、好きになったんだ。」
クリームソーダは、彼を思い出すから。今、彼に会いたいっていう気持ちも恋なのかな?
* * *
栞と駅で別れ、1人家に向かって歩いている。
暗くなってきたなぁ。早く帰ろう…。
「あっ!!愛香じゃん!」えっ!!この声って…。血が,一気に顔まで上がって来るのが分かる。振り返ると、今一番会いたかった彼、《彼方》がいた。何で、急に!?心臓激しくなってきたし…。
「愛香、買い物帰り?」
彼方ーー!近づいて来る なぁー!!今、絶対顔真っ赤だよ!
「あっ、うん。彼方はどうしたの?」
普通に喋れてるかな?
何で急に意識してるんだ…私。栞が帰りぎわに、『好きなら大胆にアタックだよ!』とか言うから…。
「俺も買い物してきた帰り。そうだっ!愛香、一緒に帰ろう。遅いから送って行くよ。」
「えっ!!」
えぇーー、凄く嬉しいけど…。
「遠慮はなし!俺も、家こっちだから。」
違う。彼方の家は、私と反対側だ…。遠回りになるのに。嘘は彼方の優しさだろうか…?
「あ、ありがとう。」
2人で歩き出してから、無言が続いている。何か話題…。
「か、彼方は誰と出掛けてたの?虹一くんとか?」
虹一とは、彼方の友達で同じバスケ部。一年生なのに凄く長身である。
「いや、茉莉とだよ。」
「え…」
…茉莉ちゃんと?
『何で?』とは、聞けなかった。
「愛香、茉莉にしごかれてない?アイツ…一見冷たい感じだけど本当は良い奴だから。」
「うん…。」
茉莉ちゃんの話をした彼の顔は悲しそうで、そして凄く優しそうだった。
それから会話が続かず、家に着いた。
「わざわざありがとう。」茉莉ちゃんの話をした時の彼の顔を思い出す。
あんな顔初めて見た。私がいつも知っている彼の顔は…。
「どういたしまして。また明日、学校でな。」
彼は、私に笑顔を向けて走り去って行く。彼の笑顔で、ある想いが心に過る。ようやく自分の気持ちにはっきり気がついた。
そうなんだ…私は彼方が、眩しいくらいに笑う彼が好きなんだ…。
クリームソーダは、恋の味?