女神との再会
「うわぁぁぁぁぁぁーーーー!」
顔前に迫る鋭い爪に恐怖し、体が動かない。
人間いざという時は火事場の馬鹿力というものがあるらしいが、この猛獣相手にはまるで意味をなさないだろう。
圧倒的に種としての能力に違いがありすぎるのだ。
(あ、死んだ。)
そう確信して、自分の運命を受け入れるように目を閉じた。
(ん?)
しかし数秒たっても痛みは襲って来ず、聞こえてくるのは鳥の囀りと水のおとーーーー
(死んでない?しかも 何も聞こえない?)
さっきの猛獣が目を開けたら目の前にいるのではないか?そう考えながら恐る恐る目を開けると、そこは先ほどの猛獣、さらには森の中でもない、あたり真っ白な何もない空間だった。
「....もぅ、わけわかんねえよ。ここはどこだ?
また俺は死んだのか?そもそも俺は死んでいたのか?さっきの猛獣はなんなんだ?なんで急に景色が変わった?」
「その質問には私がお答えしましょう。」
「な!だっ、誰だ!」
急に目の前に現れたのは活発そうな赤髪の女の子ですごく整った顔立ちの美少女だ。
その隣はこれまた美少女で金髪に大人しそうな雰囲気で、赤髪の女の子にくっつくように立っていた。
「私の名前はヒュギエイア、こちらはイアーソーといいます。
と、本題に入る前に少し失礼。」
優雅な一礼をし、彼女はこちらに背を向けた。
「まったく、ギリギリだったじゃない。
バカ!死んじゃってたらどうするつもりだったのよ。」
「わ、わたしもそう思います。
ケ、ケイヤお姉ちゃんは頭が悪いから...」
赤髪の女の子に続いて金髪の女の子が毒づく。
それに答えるようにもう一人の白髪の女の子が姿を現した。
「し、仕方ないじゃろ!何回も失敗してたから焦ってしまったんじゃ!
そ、それにまだ生きてたからいいじゃないか。」
「それだからだめなのよ。失敗してたら次失敗しないように慎重になるのは当たり前じゃない。」
「わ、わたしもイアお姉ちゃんと同じでそう思います。あとお姉ちゃんはその喋り方おかしいと思います。」
「ぐぬぬ。二人してわたしを馬鹿にしおって。
許せん。のぉ、お主もそう思うじゃろ?そこな男!」
「え?」
突然現れた美少女たちに混乱し、放心していたところに急に話しかけられ、呆気にとられる。
だか、その三人の中に一人だけ見覚えのある人物がいたのに気づき、思考が回転し始める。
「あ!ああーーー!!!!お前!!!」
「お、おう、覚えておったか。まあ、我の美貌をもってすれば一度見た男は脳裏に焼き付いてはなれんだろうからな。うむ。」
「お前、公園で俺を殺したやつだろ!
許せん!何が美貌だよ!あれがどんだけ痛かったと思ってんだ!」
「な、殺してなどいないわ!転移させるといったじゃろう!」
「いやいや、信じられるか!意味わかんねぇこと一方的に言っていきなりグサッとだぜ。
死んだと思うだろ!」
「言わせておけば!女神である我に生意気な口をききおって!」
「ちょっと待ちなさいそれはどういうことかしら?」
赤髪の女の子が口を挟む
「な、なんじゃ」
「あなた痛みに対する耐性魔法をかけたのかしら?
あれがないと転移の適正の有無に関係なく死んでしまう可能性が上がるのでしょ?」
「.....かけてないのじゃ」
「はあ、まったく、お父様の苦労がわかったわ
ところでそこのあなた。名前はなんといいますの?」
「え、えっと、中城健です」
「それでは健さん。これから貴方にあったこれまでのことの説明と謝罪。それとこれからのことについて話します。心して聞いてください。」
「は、はい。」