神器
すみませんタイトル変えました
異世界転移に憧れていた僕がそこにはいました
→異世界転移後ポンコツ女神のせいで死にかけたが、ギフトをもらいその後は気ままに旅をします
ー日本のとある公園ー
公園のベンチに腰掛け、満面の笑みを浮かべるのは、この世の人物とは思えないほどの美少女だ。
それから彼女は先程の光景を思い出し、嬉しさのあまり口から言葉が漏れる。
「いや〜、やっと、やっとじゃ 。 やっと成功じゃ。
これで目的達成じゃな!
もう父上に怒られずに済む。
あやつらにも馬鹿にされないだろう。
今までの失敗も、帳消しになるのではないか?
ふふっ」
彼女はかつてないほどの達成感と、目的を達成できたことからくる安堵に胸を撫で下ろす。
そして右手に持っている不思議なナイフに目を移す。
それは先程一人の男を、世界をまたぎ、別世界へまで転移させることに成功した、凄まじい力を持った道具である。
その名も
ー神の神器ー
それはありとあらゆる不可能を可能にする、同じものは二つと無い、世界にひとつだけの神器である。
もちろん、他にも様々な力を持った神器はあるのだが、その中でもこのナイフは特別だ。
その能力は、突き刺した対象を
「時間」、「空間」、「生物、非生物」、さらに「世界」関係なく、目的の場所まで転移させることができるといったものである。
例えば、異世界に存在する普通の転移魔法であれば、対象を選び、自分以外の場合はその対象に触れ、使った魔力量によって転移できる距離が決まる。
そして、膨大な量の魔力を使う他、一度行ったことのある場所でないと転移することはできない。
それに「中城 健」、この物語の主人公が転移した世界では、転移魔法を使えるほど、魔法を扱うことに長けた人物はごく少数しかいない。
もちろん、これほどの力を持った神器を、扱うことができる存在は限られている。
「神の神器」と、名前にもあるように、神にしかその権能を使うことはできないからだ。
扱えるものは彼女を含め、5人しかいない。
そう、何を隠そう、この美少女は「女神」なのである。
数多の世界を管理する四支柱が一人
名を、「パナケイア」という。
なお、殆どの仕事は彼女の父である「アスクレーピオス」が務めている。
その娘である「パナケイア」を始め、その姉である「アケソー」、二人の妹「ヒュギエイア」、「イアーソー」達は何をしているのかというと、
父の仕事の補佐である。
世界の全てを管理するのは容易なことではなく、一人では到底無理な話なので、神である「アスクレーピオス」はそれぞれの娘に仕事を少しずつ分け与え、
世界を潤滑に運営することができるようにしたのだ。
「あ〜、それにしても疲れたのぉ、
おっと、そうじゃ、父上に成功したことを連絡しなければいけないんじゃった。」
パナケイアは目をつぶり、念話のようなものをつかい、父であるアスクレーピオスに連絡を試みる。
「お、繋がった。.....おーい、父上!話があるのじゃ!」
すると念話の相手に反応があった。
「ーーーん?おぉ、お前か、パナケイア。」
その声音は渋く低いもので、圧倒的な存在感を示すような覇気あるものだった。
「うむ、そうじゃ、父上。
ついに転移に成功したぞ!」
一呼吸開け、男が話し始める。
「......はあ、やっと成功したのか、.....お前がこれまで転移に失敗し、その度に私が死した人間を蘇らせ、記憶を改変するのにどれだけ苦労したことか。
鑑定眼は持っているというのに.......
まったく.......まぁよい、よくやってくれた。
ちょうどよい。他の娘達も皆ここに揃っている。
詳しい話はこっちでしようではないか。」
「は、はい、わかりました、父上。」
父の要望に応えるべく、彼女は神殿へ転移した