絶世の美少女
「ぎょえぇぇぇぇぇぇぇえーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!」
突然の出来事に驚き奇声をあげる
「な、なんじゃっ!」
それもそのはず、今まで一人で座っていたと思っていたのに、見ず知らずの女の子がすぐ隣にいたのだ。
驚かない方が無理な話だろう。
ただでさえ小さい心臓が、破裂しそうなほどバクバクしている。
突然の奇声に相手も驚いているのか、目を見開いて唖然としている。
ごちゃごちゃの頭の中で状況を少しでも把握しようと努力する。
(落ち着け、落ち着け、俺。こういう時は深呼吸だ。心を落ち着けろ。このままでは俺は奇声を発した頭のおかしなやつだ。精神統一!!
すーはー、すーはー、ーーーよしっ!)
心を落ち着け思考を巡らす。
しかし、心を落ち着けたはいいものの、この状況下で何をどうしたらいいのかわからない。
話しかけるべきであろうか、そもそもこの女の子は誰なのか、はたまた何がしたいのか?
そんなことを考え、しばらくの間話しかけることができない。
女の子は時折こちらを伺う様な目で見つめてくる。
両者の間には数秒の沈黙が支配する。
先に沈黙を破ったのは女の子だ。
「きゅ、急に大声をあげるからびっくりしたではないか...まったく」
「す、すみません」
(い、いや、そっちが急に隣に現れるからだろ..
.......誰でもびっくりするわ)
落ち着いてきた心の中で、そう愚痴を言うが言葉には出さない。
もしかしたら、考え事をしていたせいで、この女の子が近づく気配に全く気づいてなかっただけかもしれないのだから。
いや十中八苦そうだろう。
魔法で転移してきたわけでもあるめぇし
漫画やラノベ、ファンタジー小説を好きでよく読んでいるけれど、現実世界にまで引きずるような人間ではない。
それはそうと、まずはこの急に現れた、変な喋り方をする女を舐め回すような目で 、
もとい、不審な点がないか観察する。
先程は驚きのあまり、よく顔を見ていなかったのだが、
冷静になって見てみると、モデルやアイドル、女優にも負けずとも劣らない
まるで月のように美しく眼を見張るほどの美少女
であった。
年齢は17歳ほどであろうか
髪は透き通る絹のように白く、降り積もる雪のように美しい。
風が吹くたびに肩口まで伸びた髪がサラサラとなびいている。
目は燃える様な赤色で、気の強さを表している様でもあった
服は黒を基調としたあまり派手ではないワンピースのようなもので、体のラインを強調するようにピッタリとしている。
体型はスラリとしており、無駄な肉がついているようには見えない。
胸はお世辞にも大きいとは言えないが、綺麗な形をしており、理想といえば理想的な大きさだ。
大きすぎる胸があまり好きではない自分にとってはザ・ベスト・おっぱいである。
あまりの可愛さに目が釘付けになってしまう
(外国人さんかな?いや、でも日本語うますぎるし、ハーフとか? .......でもどこのハーフだろ?
白い髪とか赤い目とか、見たことも聞いたこともないし、)
凝視されているのに気づいた彼女は、徐々に頬を膨らませ、怒っているのか、はたまた照れているのか分からないような、紅に染まった顔で睨んでくる。
や、やっぱ照れてなかったです、睨んでるよ
絶対怒ってるじゃん
そりゃそうだよな、初対面なのに、じろじろ見られて喜ぶ女の子なんているはずない。
そう考え、慣れた動作で謝ろうとするとー
「そ、そんなに見るでない、照れるではないか....」
「ーーー....え、照れていらっしゃるのですか?」
全くもって予想外の答え
しかめっ面で顔を赤くして唇を尖らせているのだ。
照れている可能性を少しは感じたがどう見ても怒っているようにしか見えない
「わ、悪いか?」
「ーい、いえ、別に」
「な、なら良い」
ぎこちない会話が続き変な空気になる
女性と会話することに慣れていない為か、早くこの空間を抜け出したい気持ちに襲われる
数々の女どもを手篭めにしてきたプレイボーイなら、こんな可愛い女の子と、話をするチャンスを逃すはずがないのだが、あいにく自分は凡夫の極み
これ以上この空間に耐えられん
颯爽と逃げるべく椅子から腰を上げ、一歩を踏み出す。
「ま、待つのじゃ!」
「ーーえ、って、うおぉ!」
腕を掴まれ強引に引っ張られる
バランスを崩し転びそうになるがギリギリのところで踏みとどまる。
「あ、危ないだろ!転ぶとこだっ......え?」
振り返り文句を言おうとした時に、
急に覆いかぶさる様に抱きしめられる。