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魂の伴侶、それは魂の片割れツインレイ7

あれから私達は、普通の男女のように会う事は出来ないが、手紙のやり取りだけは続けていた。


修道院に、縞模様の猫が迷い込んで来て、ローズマリーが世話をしているらしい。


私の家の猫の絵を、タイムに描いてもらって送ると返事が来た。


どうやら同じ種類の猫のようだ。


私の家の猫は雄猫で、修道院の猫は雌猫という違いぐらいだ。


こんな小さな偶然の一致も、嬉しく思える。


【ギルド・レ・シルフィード】


「それって、偶然かしら?先生がね「猫は神の使いだ」って言ってたわ」


「うーん、それも運命ですか?」


「猫って、物語では魔女が連れてるぞ」


「猫は、お利口さんだからね、ルナ」


「ガウ」


「あの日あんなに嫌がっていた取材を受けなければ…その記事が星のカーニバルの日に新聞に乗らなけれは、彼女は、貴方を知らないままだったかもよ」


「そうですよね。マスター、運命ですって」


そう言われてみれば、そうかも知れないと思うようになってきた。


あの日新聞の取材を受けなければ…


あの日葡萄の収穫で、修道院に行かなければ…


そして、あの日バジルがファンガスの毒にやられなければ、会っていなかったかも知れない。


「ところで、今日は国からの依頼なんですけど、西の古城にモンスター退治に行ってほしいとの事です」


「あそこはアンデッドが出るから、私も行くわ」


「途中ルールの村に寄りるんだろ?美味いもんが食えそうだから、俺も行くぜ」


バジルは、早速旅の支度を始めた。


「何だ?その荷物は」


「肉焼き機だよ、魚も焼ける」


「そう言えば、バジルが何か注文したって兄が言ってたけど、それの事だったのね」


「ルナがもう少し大きくなったら、僕も行けるんだけどな」


「ガウー」


「ルナはまだお留守番ね」


「ガウガウー」


「行きたがってるぞ」


「まだ無理だよ」



ルナは今、街の門を出た辺りで、小物のモンスター相手に戦いの練習を始めたばかりだ。


今回のように遠出する時には、まだ連れて行くわけにはいかんな。


【西の平原】


西門から草原を通り、森を抜けて平原に出た。


橋を渡った向こうに、ルールの村が有る。


この辺りには、人よりも大きなお化けザリガニが出る。


「コレコレ。にゃはは。こいつを村に持って行って、料理してもらおうぜ」


「美味しそうね、今回はバジルに賛成だわ」


「騎士学校に居た頃、良く酒場で料理してもらって食べたものだ」


「バジルったら、いったい何匹持って行く気?2、3匹有れば充分でしょう」


「んにゃ、10匹は食える」


「好きにしろ」


【ルールの村】


皮を剥けば小さくなるからと、バジルは本当に、10匹のお化けザリガニを引きずって来た。


「騎士学校、懐かしいでしょう。顔出さないで良いの?」


「特に用事は無い」


「騎士団に行くのも嫌がるものね。あ、あっちには修練院。こんなに近くに居たのね」


〈振り返り、修練院を見るアッサム〉


「早く酒場に行こうぜ。腹減って我慢出来ないよ」


【酒場】


酒場には、懐かしい顔が待っていた。


「いらっしゃい。アッサムさんじゃないか。元気にしてたかい」


「久しぶりだな。早速だが、こいつを料理してくれ。腹を空かせて待てん者がおるのでな。残りは好きに使ってくれれば良い」


「これは良い食材だな。良し!待っててくれよ。腕によりをかけて美味しい料理を作るからな」


「うおお、楽しみだぜ」


「バジル、ヨダレ出てるわよ」


テーブル一杯に料理が運ばれて来た。


「こんなに沢山食べられるかしら?」


バジルが居るから、心配は無用だと思うが。



「あー美味かった。苦しい。もう食えない。あー動けないぞ」


あれだけ食べれば当たり前た。


料理は残さず食べたし、今夜は、この村の宿屋に泊まる事にした。


【ルールの村の通り】


〈2人の修道女が修練院に向かう〉


「遅くなってしまったわね…どうしたの?ローズマリー」


「え?」


(あの人が近くに居る。離れて居ても側に居るように感じる時が有るけど…いつものそれとは違うわ。確かに近くに居る)


「ローズマリー。何ぼんやりしてるの?早く修練院に行かないと」


「あ…そうね、行きましょう」


〈その時、酒場からアッサム達が出て来る。宿屋は修練院と反対の方向だ。ローズマリーが振り返ると、アッサムの背中が見える〉


「ローズマリー、行くわよ」


「…ええ」


(こんなにドキドキしてるの…私。アッサムの後ろ姿…見間違うはずないわ。あれは確かにあの人よ)


【修練院】


〈玄関を入ると、胸に手を当てるローズマリー〉


(いつも突然私の前に現れるのね、貴方は。まだ、こんなにドキドキしてるのよ)


「行くわよ」


「フェンネル、先に行って。私…動けない」


〈修練院の玄関に座り込み瞳を閉じるローズマリー〉


【宿屋】


「あ、シスターの生き霊。ローズマリーね」


「何だって?」


「今アッサムのそばに立ってる…あ、消えた。あの人がローズマリーか」


「俺には、何も見えないぞ」


「私にも見えんが」


「あ、ほらまた…私達の事見てる」


コリアンダーだから見えるのだろう。


しかし、何故生き霊だ?


「あ、消えた」


【修練院の玄関】


「ローズマリー、大丈夫?」


「ええ、大丈夫。ごめんなさいね」


(魂の統合が…始まったのかしら…?)


「手を貸すから、早く中に入りましょう」


〈ローズマリーは、フェンネルの手を借りて奥の部屋へと入って行った〉



【宿屋】


〈いびきをかいて眠っているバジル〉


「あーもう、バジルのいびき、なんとかならないかしら」


「眠れないのか」


「眠れるわけないでしょ、うるさくて。だいたい何で同じ部屋なのよ」


空いて無いのだから仕方がない。


「頑張って寝よう…夜中に襲ったりしないでよ」


「誰が襲うか。早く寝ろ」


【ルールの村】


早朝、私達は古城に向かう。


「あーん、全然眠れなかったわ」


「俺は、良く寝たぞ」


「もう、誰のせいよ」


「え?俺のせいってか?」


【廃墟の町レントラー】


「ここは、アンデッド系が多いな」


「せっかく肉焼き機持って来たのに、食えそうなのは居ないか」


「アンデッドは私に任せて。寝不足なんて言ってられないわね」


廃墟の奥に古城が見える。


【古城】


エントランスに入ると、早速ガーゴイルのお出迎えだ。


「あー、こいつは焼いても食えそうにないな」


「硬くて歯が折れそうだわ」


「石で出来ているのだから、当たり前だ」


「とっとと倒して、奥で食えそうなの探すか」


「みーんな、ゾンビやスケルトンだったりして」


「冗談は、このぐらいにしておこう。来るぞ!」


「やるか!」


「サポートするわ!」


「俺右ね」


「私は、左を相手する」


ガーゴイルが爪で攻撃して来る。


ジャンプして剣で切るが、硬くて歯が立たない。


私は、剣を収めランスに持ち替えた。


「痛ってー。殴っても蹴っても効きゃしねえ。骨が折れそうだぜ」


バジルも苦戦しているようだ。


「ガーゴイルのからくりぐらい、止めといてくれれば良いのに」


「作った者にしか止められんらしい」


「兄を連れて来るんだったわ」


「とりゃー!!」


バジルがガーゴイルを投げ飛ばすと、壁にぶつかり、衝撃で壁の一部が剥がれ落ちた。



「バジル。こっちに投げないでよ」


ミューズが、コリアンダーの服を噛んで引っ張っている。


「下がっていろ、って言うのね」


〈ミューズに引っ張られ下がるコリアンダー。アッサムが叫ぶ〉


「危ないぞ!」


「キャー!」


〈コリアンダーギリギリに、ガーゴイルが突っ込む〉


「うわー、危なかった…ありがとうミューズ」


「悪りぃ。方向わかんなくなった」


「アッサム、私の心配してる場合じゃないわよ!」


ガーゴイルが空中から体当たりして来る。


私は吹っ飛ばされた。


【修練院】


〈マリア像の前で祈るローズマリー〉


(どこに居るの?アッサム。とっても危険な所みたい…マリア様、どうかあの人をお守り下さい)


【古城のエントランス】


「バカね…私の心配なんかしてるから…」


「大丈夫か、アッサムさん。こっは片付いた。今そっちへ行く!」


「フー…剣もランスも効かん」


「投げ飛ばすしかない!」


バジルがガーゴイルを投げる。


私はランスで突く。


ガーゴイルにヒビが入ってきた。


バジルが投げ飛ばすと、ガーゴイルは粉々に砕け散った。


「俺だって、やる時はやるんだぜ。連れて来て良かっただろ?」


「ああ、頼もしい限りだ」


「2人とも、今手当てするから」


手当てが済むと奥に向かった。


奥に行くにつれて、モンスターの骨や肉片が散らばっている。


何か大型モンスターが居るのか。


【奥の大広間】


大量のモンスターの骨だ。


ここは、大型モンスターの巣になっているようだ。


「食えそうなもんは無いなあ。そろそろ腹減ってきたぞ」


「何か来るぞ」


「モンスターの羽ばたく音?」


「飛竜か」


「倒したら食ってやる」


「ああ、倒した後は好きにしろ」


風を纏った大型モンスターが、近づいて来る。



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