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魂の伴侶、それは魂の片割れツインレイ6

【コリアンダーの師匠の家】


〈書斎で本を探すコリアンダー〉


「有った、これだわ」


『ツインレイとは、1つの魂が2つに割れたもので、宇宙にたった一人の相手で有る。


元々1つだったので、本質的には同じようではあるが、1つの魂の違う部分を持って別れたので、性格や、育った環境などは、正反対であったりする。


この魂の巡り会いは、とても難しく、同じ時代に転生する事は、稀である。


魂の学びが進んでいなければ、同じ時同じ場所に居ても、すれ違い気づく事は無い。


しかし、時期が来て巡り会った2人は、一目で相手の事がわかり、急激に惹かれ合う。


離れて居ても相手の事がわかったり、側に居るように、相手の気を感じたり、不思議な事が沢山起こる…そして…』


(やっぱり、シスター・ローズマリーがアッサムの魂の伴侶ね…。私ったら、面白がってるのかしら?)


『不思議な事が沢山起こる…そして…』


(でもこれ…ロマンチックな事ばっかりじゃないみたい。だいたい相手はシスターなのよ。恋愛も結婚も出来ないじゃない…どうするのよ)


「コリアンダー、本は見つかったの?」


「はい、先生」


「ヒーリングは、上手く出来てる?」


「はい」


「やればやるほどパワーアップするのよ」


【アルマンドの街】


〈広場では収穫祭の準備が進められている〉


【ギルド・レ・シルフィード】


「今日の依頼は、収穫祭の実行委員の方と、西の森でキノコ採りですよ」


「俺も行く」


「バジルさん。キノコ食べないで下さいね」


「いくら俺だって、生のキノコが食えるかよ」


「ま、それもそうですね。それじゃあ、お2人でお願いします」



【アルマンド西門】


「通してくれ」


「ナイト・アッサム。どうぞお通り下さい」


「開門!」


【西の草原】


森は、この草原からすぐだ。


森を抜けると、ルールの村が有る


村には騎士学校が有るのだが、同じ村に有る修練院に、彼女も居たのだな…


1年の間、同じ村に居た…


【西の森】


「バジル。先に行って迷うなよ」


「そうだな、あんまり離れないようにするか」


「あそこにキノコが沢山有ります」


「毒キノコ採るなよ」


「大丈夫ですよ。道具屋のおばさんが居るから」


道具屋のおばさんとは、コリアンダーの母親カモミールの事だ。


道具屋には薬が売って有る。


この国では、薬を売る者が山菜やキノコなどが安全かどうか見分けるのだ。


その為市民達は、道具屋にキノコなどを持ち込み鑑定してもらう。


「沢山採りました。先に行きましようか」


全て採り尽くさないのがマナー。


私達は、森の奥へと進む事にした。


【森の奥】


「ここにも沢山有るぞ」


「色んなのが有るな」


皆んなでキノコを採り、帰ろうとした時。


「あれ?今採ったばかりの所からまた生えてきたぞ」


小さなキノコがたくさん伸び始めたかと思ったら、いきなり地面が盛り上がった。


「うわっ」


「でっかいキノコだ」


「下がっていろ!それはファンガスだ!」


「食えるのか?」


「お前は、食べる事しか頭に無いのか。これは毒キノコだぞ」


「ま、ちゃっちゃと、片付けちゃおうぜ」



「これで、どうだ!」


バジルが投げ飛ばすと、ファンガスは毒の粉を吹いた。


辺り一面毒の霧だ。


「ゲホッ、ゲホッ、食えない上に毒を吐きかけやがった」


「解毒剤なら、沢山持って来てるわよー」


〈遠くで薬を振って見せるコリアンダーの母〉


私は、剣で真っ向からファンガスを切った。


「バジル大丈夫?」


「近づくな!今そっちへ行く!」


私達は、毒の粉を払い落とし、川の水で、剣と手を洗ってから皆んなの所へ戻った。


〈倒れ込むバジル〉


「はい、薬。飲んで」


「おう…助かった」


「アッサムちゃんも、飲んでおきなさいよ」


「ありがとう、頂こう」


「ちゃん?今おばさん、アッサムちゃん、って言ったぞ」


「そこは、聞き流せ…」


「まだペイジに成り立ての、こんな小ちゃい頃から知ってるんだからね。今では立派な騎士になったけど、私には、可愛いアッサムちゃんのままだよ」


これだから、幼馴染みの母親というのは…


【ギルド・レ・シルフィード】


「午後からは、収穫祭の料理に使う魚を、港に取りに行って下さい」


「俺は、まだ動けそうにない」


「わかった、私が行こう」


【港町ロンド】


港は、いつも大勢の人で賑わっている。


あそこに酒屋が有る。


少し覗いてみるか。


ここには、国中の地酒が揃っている。


これは…


あの修道院で作られたワインだ…


いかん。


魚を貰って帰らなければ。


【魚屋】


「ああ、アッサムさん。用意して有るよ」


私は、魚をミューズに積んで、町を出た。


【平原から城下町へと続く道】


バジルが居たら、帰るまでに魚を食べているかも知れんな。


そんな事を考えながら、街へ帰ろうとした時、道端で立ち往生する荷馬車が見えた。


ドキッとした。


まだ人の姿は見えぬが、あれは…



見えた。


修道服を着ている。


私の心臓は、あの日のように激しく打った。


いや、あの日以上だ。


それはまるで、身体中が心臓になったかのようだ。


「ローズマリーか、どうした!」


〈振り返る修道女〉


「アッサム、アッサムね」


やはりそうだ。


「ヒヒーン」


ミューズが勝手に荷馬車の所まで走った。


「収穫祭のワインを街まで届ける途中なの。馬が動かなくなってしまって…」


「手を貸そう」


見ると、車輪がぬかるみにはまっている。


ミューズを荷馬車に繋ぎ、後ろから押す事にした。


「危ないから、君は下がって」


ぬかるみから荷馬車を出すと、ローズマリーを乗せた。


その時触れた彼女の白い手は、柔らかくて温かかった。


私がミューズに跨ると、ミューズは、荷馬車に寄り添うように走った。


「不思議ね、初めて会った気がしないの」


「私もだ」


「ずっと昔から知っている人みたい。初めてなのに懐かしいの」


「ああ、私も同じ事を考えていた」


【城下町の広場】


〈収穫祭の実行委員にワインと魚を渡す2人〉


【平原から丘へと続く道】


私は、ローズマリーを修道院まで送り届ける事にした。


「それにしても、良く1人で来たものだな」


「危ない時は、いつも天使様が守って下さるの」


【花畑】


彼女は、馬車を降りた。


「可愛いお花たち…」


「夕陽が綺麗だ」


「早く」


私の手を引っ張り、花畑の中へと入って行く。


彼女は、花と踊るように歩く。


美しい…


この幸せな時間が、ずっと続けば良いのに…


そう思わすにはいられなかった。


しかし、2人で居る時間は、あっという間に過ぎて行く。


遅くならないうちに、修道院まで送り届けなければ。


【修道院の前】


〈何も言わず、じっと見つめ合う2人〉



「……」


離したくない。


「……」


(離れたくない)


「早く…入らなと」


「ええ…」


【城下町の広場】


今日は、収穫祭だ。


「思いっきり、食うぞ」


「私は、呑むわよ」


皆んなで採ったキノコも、私が運んだあの魚達も、美味しそうな料理へと姿を変えていた。


「美味い。美味いぞアッサムさん」


「アッサムも、呑みなさいよ」


「もう酔っているのか、私は警備をしなければならん。交代したらな」


私が警備を交代した頃には、コリアンダーはすっかり出来上がっていた。


バジルは、まだ食べている。


「はい、マスター。お料理取っときましたよ」


「ありがとうミント」


「ちょっとー、アッサム。食べてばっかりいないで呑みなさいよね」


相変わらず酒癖が悪いな、コリアンダーは。


私は、修道院で作られたワインを呑んだ。


「フフ…」


可愛い人だったな。


「何よ、思い出し笑いなんかしてー」


昨日の事を、思い出していた。


「コラ、ナイト・アッサム。聞いてるの?」


「そろそろ送って行こう」


「まーだ呑むわよ」


私は、抵抗するコリアンダーを肩に背負って連れて行った。


「ああん、下ろして」


「マスターも大変ね」


「ご苦労さん。あ、これ本当美味い」


【コリアンダーの部屋】


〈アッサムがコリアンダーをベッドに下ろすと、コリアンダーはアッサムの首に両腕を回す〉


「ス…」


「うん?」


「キ…」


「何だって?」


「ス…キ…」


「……」


聞かなかった事にしよう。


「早く寝ろ」


どうせまた、明日は覚えていまい。



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