魂の伴侶、それは魂の片割れツインレイ3
【ギルド・レ・シルフィード】
「アッサムさん、他人の気を感じてるって?」
「これは本当に気なのか?こんなもの今迄感じた事が無かったので、良くわからんが」
「俺ならわかるんだけどなー」
「バジルのように、修行を積んだ武闘家ならわかるかも知れんが、私は気を練った事も無いからな」
「それにしても、今ここに居ない人の気を感じるというのは、おかしな話しだよ」
そう言うと、バジルは、私の鼻先まで近づいて来た。
「俺だって、このぐらい近寄るか、触れるかしなければ、他人の気を感じられないからな」
本当に不思議な話しだが、感じるのだ…確かに。
今もずっと居る。
「だから言ったでしょ、魂の伴侶だ、って。私が師匠の所で読んだ本に、ちゃんと書いて有ったもの」
コリアンダーは、この手の話しが好きだからな…
「今日のタロットでも出てたわよ「恋人たち」のカード」
「わー、アッサムさん。新しい恋の始まりですね」
ミントまで、こんな事を言っている。
新しいも何も、私はまだ本当の恋というものをした事が無い。
騎士たる者、神に敬意をはらい、ご婦人方の保護に努めなければならぬ。
女性との出会いなどいくらでも有るが。
私は…本当に昔から誰かを探していた。
「アッサムさん。今日の依頼本当に受けるんですか?遠征まで後3日しかないのに」
「ああ、受ける」
「アッサムなら大丈夫よ。いつもギルドの仕事で魔獣と戦ってるから、他の騎士達とは違うわよ。彼らは、魔物と戦いながら国境まで行くのも大変でしょうね」
「今日は、俺達も一緒だから心配無いよ、ミント」
今日の依頼は、武具屋のオレガノと一緒に、東の洞窟で鉱物の採取だ。
ランスより小回りが利く剣を持って行く方が良いだろう。
「コリアンダー。本当に付いて来るのか?」
「行くわよ、勿論。洞窟にはアンデッドも居るし、私が居た方が良いでしょ?」
「コリアンダーさ、いっそギルドに入っちゃったら?」
ギルドを出ると、オレガノが待っていた。
「今日は、3人も付いて行ってくれるのかい?これは心強い」
「最近東の洞窟には、ワイバーンが住み着いているらしいからな。俺たちも一緒に行く」
【東門】
「通してくれ」
「ナイト・アッサム。どうぞお通り下さい」
「開門!」
【東門の外】
丘を下って行った先に洞窟が有る。
私達は、丘の魔物と戦いながら洞窟へと向かった。
【東の洞窟】
ここには、大コウモリや大蛇などの魔物の他に物の怪も多数居る。
私達は、魔物達と戦い、鉱物を採取しながら奥へと進んだ。
「ああ、大コウモリは厄介だな」
「私は、蛇が嫌だわ。貴方、良く素手で触れるわね」
「俺は、蛇ぐらいどうって事無いぜ」
「済まないね。もう少し採取したら、先に行こう」
物の怪には、コリアンダーのお札が効く。
私は、剣で大コウモリと戦っている。
「ここは、これぐらいだな。先へ行こうか」
魔物や物の怪と戦いながら先へ進むと、バジルが走り出した。
「奥に、デッカい卵が有るぞ」
【洞窟の奥】
「この卵。親が温めてたのかしら?」
「何か、羽ばたいてる音が聞こえるぞ」
「ワイバーンのお出ましか」
巨大なモンスターが姿を現した。
どうやら雌のワイバーンらしい。
「気をつけて。卵を守る雌は気が立ってるから」
「大丈夫だぞ~、お前を倒した後は、この卵をちゃんと食べてやるからな~」
「いったい何人分の卵焼きが出来るのよ」
そんな事を言いながら戦っていた。
仲間が居ると余裕は有るが、敵も最後の力を振り絞って攻撃してくる。
私は、空中から体当たりして来るワイバーンの心臓に、剣を突き刺した。
「やったか?!」
翼で卵を隠すように、ワイバーンは倒れた。
「何だか可哀想ね」
コリアンダーが、そう言った。
私も、今度ばかりは後味が悪い。
「卵、持って帰って食うぞ」
バジルは、本気で食べるつもりだ。
彼ならやりかねない。
オレガノは、鉱物を採取している。
私は、ワイバーンから、使えそうな素材を剥ぎ取った。
「おかげで沢山取れたよ。そろそろ帰ろうか」
【ギルド・レ・シルフィード】
「結局卵を持って帰ったけど…」
「焼いて食うか?茹でるか?」
「そんな大きなフライパンや鍋が、どこに有るのよ」
「ミント。タイムを呼んで来てくれ」
「はい、マスター」
「どうしたの?」
「タイム。こいつを見てくれ」
「わー…何の卵?」
「ワイバーンが守っていた」
「じやあ、ワイバーンの卵ね」
「お前にこの卵を預けようと思うんだが、どうだ?」
「卵をかえすって事?やってみる」
「えー食わないの?」
「諦めなさい。私もタイムに預けた方が良いと思うわ」
【騎士団】
今日は、騎士団が北の国境に遠征に出る日だ。
「アッサム。お前のお父上が、元騎士団長だからと言って、簡単に出世出来ると思うなよ」
「何が仰りたい?ナイト・キャラウェイ」
「我が国では、騎士の出世は功績が全てだ。いくら国民に人気が有っても、手柄を立てなければ無意味だと言っているのだよ」
出世だと?
ハナから出世など考えておらんわ。
私はただ、市民の日々の暮らしの安全だけを考えて毎日暮らしているだけだ。
「気にするなアッサム」
「ルバーブ」
「キャラウェイ殿は正騎士6年目だ。お前が1年目から、星のカーニバルで、パレードの先導を務めているのが気に入らんのだろう」
「やりたくてやっているわけではないが」
「ああ、やりたくてやれる物ではない。あれは、城下町の投票で決まるからな」
「……」
「いつも市民と接しているお前だ。選ばれて当然だよ」
「出発するぞ」
「はっ!」
【北門】
「開門!」
草原を過ぎ、川を渡り、山を越えれば、国境の町ジーグだ。
【川】
魔物と戦いながら川まで来た。
私は、魔物とは戦い慣れているが、他の騎士達は苦戦していた。
ここでこれでは、先が思いやられる。
日の暮れまでには、山に入りたいが…
【山】
山に入った頃には、すっかり日が暮れていた。
これ以上進むのは危険だ。
だが、指揮をとっているのは、あのキャラウェイだ。
「今日中に、進める所まで進むぞ!」
やはりか…
騎士団は、山の奥まで入って行った。
頂上付近に差し掛かると、騎士達は疲れを見せ始めていた。
「もう少しで頂上だ」
「他に道は無いのか?」
「頂上まで行かなければ、山は越えられんのか」
「もうすぐ北へ下りる道が有る」
その時だった。
樹々の鳥達が羽ばたく音と共に、一斉に飛び立って行った。
何か来る。
「暗くて良く見えんぞ」
「たいまつで照らせ!」
いかん!
たいまつの炎が、モンスターを一層刺激した。
「こっちに向かって来るぞ!」
モンスターの翼が風を起こす。
「怯むな!」
やはり、ドラゴンか。
赤いドラゴンが、その巨大な姿を現した。
「ええい、何をしておる、ドラゴン如きに怯えるでないわ!」
キャラウェイが怒鳴る。
軽めのランスにして良かった。
これなら小回りが利く。
だが、騎士達が前に居てかえって邪魔だ。
「お前達!本気で戦っているのか!」
キャラウェイが怒鳴ったその時だった。
ドラゴンがキャラウェイを咥えて飛び去ってしまった。
「ミューズ」
「ヒヒーン」
ミューズには、行き先がわかっているようだ。
私とミューズは、頂上に向かった。
【頂上】
ドラゴンの気配がする。
私は、馬を降りてランスを構えた。
「アッサム、た、助けてくれ」
木の上から声がした。
キャラウェイは、無事のようだ。
しかし…
彼の声を聞いて、ドラゴンがこちらに近づいて来た。
「声を出さないで、静かにしていて下さい」
私1人でこのドラゴン相手に戦えるだろうか…?
こういう敵を相手にする時は、いつも仲間が居てくれた。
そんな事をふと思った私に、彼女のエネルギーが反応した。
心配…しているのか?
不思議だ…私の感情がわかると言うのか。
では、彼女自身にも、私の感情が伝わっていると?
まさかな…
修道院から無事を祈ってくれているのだった。
これが本当にあのローズマリーと言うシスターのエネルギーなのか、今はまだわからないが、確かに彼女は、私の無事を祈ってくれている。
「フッ、こんな所で命を落とすわけにはいかんな」
無事戻れたら…確かめたい事が有る。
戻れたら…いや、無事に戻らねば…
ドラゴンが間合いに入った。
ランスで一突きすると、奴は舞い上がり、炎の玉を吐いてきた。
それを盾で受けて、奴が低空飛行で襲いかかって来たところを突くと、落下した。
私は、ドラゴンの翼を何度もランスで突いた。
翼が傷つき、奴は飛べなくなったようだ。
地上での睨み合いとなった。
「アッサム!」
「ルバーブか!」
「援護する!」