魂の伴侶、それは魂の片割れツインレイ18
【ギルド・レ・シルフィード】
「マスター。国から依頼が来てるんですけど」
「どんな依頼だ?」
「南の島に有る遺跡の調査です」
「南の島だって?やめようぜ」
「学者達の護衛か?」
「はい。断れませんので」
「了解した」
「了解するなよ」
気難しい学者の護衛だか…
「私も行くわよ」
「アンデッドが居るから?」
「偉そうな学者相手に、貴方達が喧嘩しないか心配だからよ」
「俺は、まだ行くって言ってねえぞ。断れねえのか?」
「行かんのか?」
「遺跡に行くだけだよな」
「島には美味しいフルーツが有るのに…僕は、ミストラルを連れて行くよ」
「わかったよ。俺も行く」
何とも歯切れの悪いバシルだ。
何か有りそうだが…?
「あまり乗り気ではないようだな」
「あ、いや…」
【ロンドの港】
「学者さん達来ないね」
「レディーを待たせるなんて失礼だわ。どうせ私は貴婦人じゃないわよ」
しばらくして、学者達がやって来た。
「待たせたな」
「では、参る」
〈船に乗り込む一行〉
【丘の上の修道院】
〈窓から海を見るローズマリー〉
【船の上】
「出港!」
アルマンドが見える。
こちらには修道院。
彼女は、どうしているのだろう?
2度と現れるなと言われたけれど…
君は、平気なのか?
離れていて平気だと言うのか?
【修道院】
「やめて」
(アッサムのエネルギーが、また私の中に入って来る。2つの魂が混ざり合い統合してゆく…)
(やめて!私は、貴方を愛していないの…抱き締めないで!)
(愛して…いない?そうよ、だって私、恋なんて知らないもの)
【船の上】
「バシル。倒した魔物を焼いて食べないの?」
タイムが心配そうにそう言った。
「あ…ああ」
「ガォガォー」
ミストラルも心配している。
「バシルお腹でも痛いの?ちょっと診せて」
〈触診するコリアンダー〉
「特に異常無いようよ…バシル。貴方、本当にどうしちゃったの?」
「ガォー」
ミストラルも心配しているが…
今回は、水の技で攻撃して来る魔物が多いので、ルナは留守番だ。
「ルナは、大丈夫かな?ミントの言う事を聞いて、良い子にしてると良いけど」
タイムが心配する。
別に、水をかぶると弱ってしまうわけではないが、ルナの怒りの炎も水で消されてしまう。
戦いは不利だからな。
「島が見えてきたぞ!」
どうもバシルの様子がおかしいが…
【南の島】
「ああ…やっと着いた…」
「もっと揺れない船を用意できなかったのかね、全く」
「ワシは、船酔いで…動けん…」
「あそこに人が居るぞ」
「おかしいな、ここは無人島のはずでは?」
「あ、ああ、気のせい、気のせい。おっさん達の目の錯覚だって」
「おかしなバシル」
「バシル兄ちゃーん!」
「バ、バカ、こっちに来るな。隠れてろ」
「バシル。そろそろ話してもらおうか?その不可解な行動のわけを」
子供達が走って来てバシルに飛び付いた。
「いったい、どういう事?」
「実は、遺跡の近くにこいつらの村が有るんだが…」
「騎士だ!アッサムさんだよね?」
「そうだが?」
「わーい」
小さな子供が私に飛び付いて抱っこした。
「お姉ちゃんは、コリアンダーさんでしょ?」
「そうよ」
「お兄ちゃんは、竜を連れてるからタイムさんだ」
「僕も、魔獣使いになりたいな」
「俺は、騎士!」
「私は、ヒーラーになりたい」
「俺は、絶対バシル兄ちゃんみたいな、強えー格闘家になる!」
私達は、子供達に手を引っ張られ、村に連れて行かれた。
【島の村】
「こんな所に村が出来ていたとは…」
「無人島のはず」
「国王陛下に報告しなくては」
「ま、まあ、お偉い学者さん達よう、俺の話しを聞いてくれよ」
バシルは、格闘家の師匠が亡くなった後この島に渡り、身寄りの無い子供達と暮らしていたそうだ。
そして今でも、この子達の為に、生活に必要な物を運んでいると言う。
「ここは、子供ばかりなのかね?」
「子供だけとなると、放っては置けんな」
「待ってくれ、大人も居るから」
子供がお婆さんを連れて来た。
「村の婆ちゃんだよ」
「バシル、お帰り」
「ただいま、婆ちゃん」
学者達は、お婆さんの話しを聞く事にした。
「私の息子は戦死したんだよ。他に家族も居ないから、この子達が私の家族さ」
このお婆さんは、行く所が無くて困っていたところをバシルがここへ連れて来て、子供達の親代わりをしていると言う。
「今日は、何だって皆んなしてこの島に来たんだね?」
「兄ちゃん達、遺跡に行くのかい?」
「ああ、そうだ」
「今日はもう遅いから、明日にしな」
「飯にしようぜ。食料の調達だ」
「私、お婆ちゃんと畑に行く」
バシルと子供達は、魚を取って来た。
ミストラルが舞い上がる。
「ガォー」
「ワーイ!」
風のブレスで木の実を落とすと、子供達は大喜びして拾い集めた。
食料を小屋に運ぶ。
「竜が、どっか行っちゃった」
「あのお爺ちゃんが意地悪言うから、飛んでっちゃったの」
子供が教えてくれた。
私は、呼び笛を吹いた。
羽ばたく音が聞こえてくる。
「ガォガォ」
帰って来た。
「良かったね」
【村の集会所】
〈皆んなでワイワイ食事をする〉
「遺跡には、青い竜が来るよ」
「あれは、海竜だよね?」
「そんなものが居るもんか。ワシは信じんぞ」
「本当だよ、見たんだ」
「俺も見た」
「危ないから近づいちゃいけない、って、言ってるんだけどね」
「満潮の時に来るんだ」
遺跡とは、大昔に造られた水の神殿である。
奥には大きな池が有り、池の底は海と続いている。
満潮には、門の所まで水が上がって来るその神殿に、海竜が現れても何ら不思議は無い。
翌朝、私達は遺跡に入った。
【遺跡】
「入り口まで水が来てるわね」
「奥に進むほど深くなるぞ」
「どうやって進むのかね?」
「水に濡れて歩くのは御免だ」
「バシル兄ちゃん!」
子供達が、小舟を隠して有る場所を教えてくれた。
私達は、小舟に乗って遺跡の奥へと進んで行く。
「隅々まで調査するからな」
「ああ、わかったよ」
ミストラルは、歩いて行く。
奥に進むと、ミストラルの股の辺りまで水に浸かった。
少し広い所に出ると、もう屋根は無い。
ミストラルが、舞い上がった。
水しぶきが飛ぶ。
「これ!何をする!」
「ガォ…」
「すみません」
タイムが謝っている。
「少しぐらい濡れたって、良いじゃねえか」
「何だと?」
「まあまあ」
コリアンダーが宥める。
文句を言う学者に、水中から魔物が襲いかかる。
「た、助けてくれ!」
ミストラルは、低空飛行で魔物を咥えて行く
「うわー」
「あの竜に助けられたな」
【修道院】
〈祭壇の前1人祈るローズマリー〉
(神様お許し下さい。私は罪を犯してしまいました。お願いです。どうか私からあの人を離して下さい)
(あの人の事は、忘れなくては…忘れ…たい)
(でも、胸騒ぎがするの。また危険な所へ行っているのかしら?あの人のエネルギーがピリピリしてる)
【遺跡】
一番奥に池が有る。
調査をしながら奥に進むと、通路から池の有る所へと出た。
「ここが一番奥か」
「広いな…」
「どこまで地面が有って、どこから池なのかわかんないね」
「奥に階段が有るな」
「昔は、3階まで有ったようだな」
私達は、小舟を降りて階段を上がった。
学者達が調査を始めた。
「水の跡が付いているな。満潮になると、ここまで来るようだ」
「水の神殿が建てられた頃より、水位が上がったようだな」
「この辺りは、波で削り取られている」
調査が終わり、階段を下りようとした時、ミストラルが何かを感じて吠えた。
「ガォー!」
「脅かすな!いたずら者め」
「ガォー!」
何か居る。
水中に巨大な生物の影が見える。
「子供達が言ってた、海竜?」
「そろそろ満潮だな」
「満潮になると現れる、って言ってたわね」
「バカな。そんなものが居るわけがなかろう」
その時だった、水面が盛り上がり、小舟が流される。
バサッ!!!という大きな音と共に、巨大な青い竜がその姿を現した。
「うわー!」
何かにつけミストラルに文句を言っていた学者が、落下する。
ミストラルがサッと飛び、咥えて戻る。
そして、そっと階段の上に置いた。
「ガォー!!」
「あわわわ」
「また助けられたな」
「コリアンダー、2人を頼む」
「任せて。おじ様、腰が抜けた?」
「待て待て、待ってくれ」
コリアンダーは、2人の学者を連れて、階段を上って行く。
3人を守るかのように飛ぶミストラル。
「ガォー!!」
空中のミストラルと水上の海竜の睨み合いとなった。




