6:ごぶごぶ~
「いや~精が出るわ」
酪農家谷山は今日も家畜の世話に奔走する。
「お! 今日は卵一杯じゃん!! 偉いぞ~」
「ウンモ~」
「お~腹減ったか! 今牧草だしてやっからな~」
「メェ~」
「唾液かけんな! くっさ!!」
谷山は先ず、ダンジョンを草原エリアに変更し、各動物達を柵で区分けしたエリアへ入れていった。この動物達は、ダンジョンに都合のいいように繁殖期を増やされた品種であり、もう既に子孫を宿している個体もある程だ。最初に各動物10頭ずつ召喚し、様子を見る事にしたのだが、思ったよりも手間がかかってくる。
「マスター。知能をもったモンスターに世話をさせては如何でしょうか?」
「成る程! どれがいいかな?」
「ゴブリンの進化版でハイゴブリンがいます。ですが進化モンスターはダンジョンPが多く発生しますので、ゴブリンを根気よく躾て、ハイゴブリンへ進化させた方がお得です」
「モンスターって進化するんだ!」
「はい。モンスターが経験した過程で進化先が多少変化もします」
「配下が強くなっていくってワクワクすんな。よっしゃ、早速ぽちっと」
「「「「「ゴブー!!」」」」」
「うわ! いっぱい出てきた!」
「マスター。今押されたのはゴブリン5体セットです」
「紛らわしいわ!! まぁ、いいや。では皆さん飼育方法を教えますので、頑張って覚えましょう!」
「ふんふん」「ごばーごばー」「ごふごふ」「ごぶ~」「ぶほ」
酪農家谷山の熱心な指導の下、配下に収めたゴブリン達を教育していく。自身で分からないことは、マリのオペレーションデータベースから情報を引き出してもらい、やり方を教授してもらっている。
「よし、一旦管理室に戻ろうか」
「では転送します」
青白い光が二人を包み、強い光と共に姿を消した。マスター権限の中に、ダンジョン内を自由に転送できる項目があり、自由に移動が可能となっている。
「ふぅ、それでポイントが集まるのを待っていればいいのかな?」
「はい、まだ外の世界の者達を引き入れるには早いので、酪農でポイントを稼ぎつつ、ゴブリンも増やしていければ、ダンジョンの強化にもなります」
「流石マリ! 一石二鳥だね。ここまで見越していたなんて」
「マスター。ここまではダンジョン制作の定石なのです」
「分からない俺にはおお助かりだよ。有難う!」
「いえ、マスターのサポートすることが、私に与えられた役目ですから」
少し得意げに胸を張るマリは、嬉しそうな顔をしていた。