3:神の勤め
女性にマウントを取られた経験がある人はいるだろうか。
美人で可愛い感じの女性が、真顔でマウントを取り殴りかかってくる。
もう少しソフトなら興奮したかもしれないが、少し命の危機を感じさせる恐怖がある。
あ、私死んでますが!
てか痛い!!
死んでるのに痛い!!!
「はい、貴方は死んでいます」
「えっ! でも痛い!!」
「ここにいる貴方は魂です。肉体はありません。私の攻撃は魂へダメージを与える事ができるのです」
「なにそれ怖い」
「まぁ、いいでしょう。少しビックリしましたが、黙って近付いた私にも落ち度があります」
「俺に落ち度はあったのか……?」
「なんと?」
「いえ……」
「ここは穢れ無き魂が寄り集う空間です。私は管理者という立場でしょうか」
「穢れ無き魂……ここは天国ですか? ありがたやぁ、日頃の行いが良くて助かった!」
「あぁ、我々のいう穢れなき魂というのは、まじわりが一切なく、生命力が強い若い物の事です」
「まじわりがない? はッ! 童貞で悪かったな!!」
「寿命よりもかなり前に、不運な事故によって亡くなられた方が良く来られますね。ただ、若いといっても20前後が多いですね。子供ですと事故のショックなのか、このエリアまで辿り着くことが出来ないようです」
「成る程。で俺はこれからここでのんびり暮すのですか?」
「いえ、貴方の魂はかなり強い部類に入ります。貴方が望むのであれば、他の世界へ転生する事が可能です」
「転生って、生まれ変わるってことですか?」
「差異です。このまま浄化する事も可能ですが、折角ですので、第二の人生を送るのも悪くはないかと」
「今までの人生、何度やり返したいと思ったことか……是非お願いしたい!」
「分かりました。あなたの望みを叶えましょう」
「有難うございます!」
「ではさっそく……ほいっと」
「え、かる!」
谷山の足元に青白い円が描かれ、見たことの無い文字の羅列が浮かび上がる。唐草模様のような曲線も交わり、光が強くなっていく。
「あぁ、転生って人だから、人になれるとは限らないからね」
「え!? おいおいおいおい!! なんでそんな大事な話しないんだよー! やっぱ止め!! 危なすぎる!!」
「もう、遅いよ~」
「ひえぇぇええええ」
プシュンっと共に消えていった谷山の姿を見届けながら、まぁ、ちゃんと人にはなるようにしたけどねっとお惚けた。転生の女神メイリル。魂の行く末を傍観する神は、久方ぶりに現れた期待の新人に心躍らせた。
あまり確認してなかったので、誤字が多いかも……