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スキルは使いこなせないと、意味が無いだからな。

28階の話です。

短いです。ごめんなさい。

「よし!次に来る道に入るぞ!」


やってきた28階は、常に道が移動しているエリアだった。その道が接している時間が1分も無いので、俺達は急いで道を渡るのだった。しかも、辺りは夕暮れの様に既に、暗くなっている。そのうち何も見えないほど暗くなるので、俺は最初から【光魔法】で作った光ナイフを、懐中電灯代わりに使い始めた。


敵に襲われると、最悪俺達は分断されてしまう。もし分断されてしまえば、生きて合流するのが、厳しくなってしまう。つまり死んでしまうと言う事だ。


だから俺達は、道と道の境目では非常に緊張感を持って、一気に進む事にした。しかもこの階からは、敵が道を移動してくる。【周辺把握】で常に警戒していると言っても、挟まれれば非常に厄介だ。


もし、目当ての道へと進めなくなれば、また次の良い道へと渡るために無駄な時間を過ごす事になる。そうなれば、別の道から来る魔獣に襲われる確率が高くなり、また道を渡るのが困難になる。悪循環というやつだ。


それから何度か、タイミングを見計らって、移動する道を渡って行く。階層が深くなっているので、魔獣の数も確実に増えている。なので、道を渡ると毎回魔獣と戦闘する事になってしまう。しかも一度に襲ってくる魔獣の数も増えて、モノリスの数は3体だったのが5体に。蝙蝠は5体から8体へと増えていた。一度の戦闘での疲労度が格段に増えていく。


「後方から敵!ギリギリ渡れるが、注意しろ!」

「了解!」


そして案の定、次の道へと渡る目星を付けて、道を渡る準備をしていたのだが、先に後方の道がつながり、蝙蝠が音も無く飛んできているのが見えた。


その蝙蝠が飛んでくるのを確認した瞬間から、目当ての道へと繋がり始める。俺達は、人一人が通れる幅が出来た瞬間に、グラス、俺、ウラガの順で急いで道を渡り始めた。


だが、蝙蝠は俺達を渡らせまいと、【土魔法】で作った三角錐の岩を、回転を加えて猛スピードで放ってきた。最後尾のウラガだが、【大盾】を使って、蝙蝠からの攻撃から、俺達を守ってくれている。それでも、俺達を守りながらジリジリとウラガは下がって、道を渡ろうとするが、さすがに時間をかけ過ぎた。そろそろ人が通れる隙間が無くなる。


「俺がやる!ウラガ!来い!」

「頼む!」


俺は、【土魔法】と【ダブル魔法】を使って、岩と土で幅広の長剣を8本作りだした。それを【遠隔操作】で操り、擬似的な盾としてウラガを守る。ガキン!バリン!と、剣が壊れながらもウラガを守るのが、感じ取れた。


俺が守りを交代したおかげか、ウラガは、ギリギリのところで道を渡り切った。それを見た蝙蝠達は魔法を止めて、俺達を追いかけるように飛んでくるのだった。人一人がギリギリ通れた隙間は、刻々とさらに狭まっている。つまり、羽を広げた巨大な蝙蝠達が通れる隙間はもう無いので安全なのだが、俺は念のために、防御に使っていた岩の剣を蝙蝠達へと投げつけた。


そして岩の剣がガキンと蝙蝠に弾かれる音を残して、道は完全に途切れた。これで後方から来ていた蝙蝠達は、手も足も出ない。


「ふぅ。ほんじゃぁ次は、この道のモノリスを倒すぞ!」


そうやって、ギリギリの戦闘を続けながらも俺達は、真っ暗な28階を進んでいく。先ほどの様に、俺が盾役を担う事も多くなったので、【光魔法】で照明を担当するのが難しくなってきた。ウラガが変わりに【光魔法】を使ってくれるが、やはり魔力の多い俺が担当するべきだろう。


「なんか良い方法ないかなぁ。」


俺がそうこぼすが、二人からは返事が無かった。二人も考えてくれていたようだが、何もアイデアは無さそうだ。グラスに至っては自分が【光魔法】を使えないのが、悔しいようで、下を向いてしまった。


そのまま何も思いつかないまま、俺達はさらに28階を進んでいくが、特段、ピンチになる事も無く、易々と28階をクリアしてしまった。


そして29階へと進むための階段で、俺達は一休憩している最中だ。


「なんか、ハイペースすぎないか?」


ウラガがそう俺達へと問いかけてきた。確かに、今日だけでも26階、27階、28階とクリアして、時間はまだ3時前だ。それは、これまでの進行スピードから考えると、非常に早いものだ。一つの階だけで、1日かけて、死にそうな思いをしながクリアした事もあるのに、落差が激しい。


「でも、俺達はスキル使ってるからなぁ。普通の冒険者なら28階だけでも、一日かかるんじゃないか?」

「そうですね。敵の量と、ランダムな移動性に罠。それにこの暗さも。もしかしたら28階だけで、2日かかるかもですよ。」


俺とグラスがそんな解答をするが、それはウラガも理解しているようだ。ただ、順調すぎるというか、簡単すぎるのが不安に思うようだ。


「確かに、急いでいるのかもしれないな。一件順調そうでも、意外と精神的には疲れている事もある。今日はもう進むのを止めて、修行に当てようか。」

「それが良いです!私も魔法を使いたいです!」

「ありがとうな。二人とも。」


別にウラガを気遣った訳ではないのだが、感謝されてしまった。俺もどこかで、休みたいと思っていたのかもしれないから、ウラガの意見に賛同したのだ。感謝するのはこっちの方だ。


それからは、グラスの【光魔法】習得に向けた訓練をメインに、自分たちの修行に入った。


【光魔法】を習得するには、【周辺把握2】と【解析2】の複合、【空間把握2】へと上げて、さらに【水魔法】を習得してなければならない。


「あんまり急いでもダメだぞ。スキルは使いこなせないと、意味が無いだからな。」


俺の様に、チートの固有能力を使ってスキルを覚えたとしても、そのスキルをきちんと使えないと、戦闘では意味が無い。かえって選択肢が広まったせいで、正常な判断ができなくなり、致命傷を負う確率が高くなる。


グラスもそれを承知しているようだが、自分が戦闘に参加する機会がめっきり減った今の状況が、不甲斐ないようだ。完全に焦っているのが感じ取れた。


俺は、自分に合ったスキルを習得する事を進めるために、グラスを説得するのだった。


28階も、特に問題が無かったので、スパッと終わらせました。

本当に、ただ戦って移動して、また戦って移動する。そんなのでは、つまらないでしょう?スキルが増えると、攻略がスムーズになって、物語が進むので、良い事ではあるのですが。ナンダカナー。

テル君も、何かしら不安に感じたり、二人を心配しているようです。気遣い大事。

次回は、修行?と29階の話の予定。

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