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とりあえず、次のブロックが来たらそっちに移るぞ。

地下26階の話です。

新魔獣が出ます。

やってきた26階層は、道自体が移動するタイプだった。しかも罠まであるようだ。


「とにかく行くしかないか。」


いくら考えても動かなければ始まらないので、俺達はとにかく目の前に生じた直線の道へと歩みを進める事にした。


階段を出た直ぐにある安全地帯に生じた道は、本当に普通の直線だ。特におかしな点も、敵が隠れる場所も無い。しかし、俺の【空間把握】が敵の存在を訴えてくるのだ。数にして3体の魔獣がいるはずなのだが、見ためには本当に何もいない。


「敵3.前方にいるはずなんだが・・・見えるか?」

「何も見えないぞ?普通の壁だ。」

「私も心音は聞こえます。でも見た目は・・・壁ですね。」


ウラガが念のために【大盾】で俺達を守りながら、50mくらいの道を進んでいく。そして、俺とグラスが敵がいると感じる場所の直前までやってくると、突然壁が倒れてきた。


「ウラガ!」

「おう!!!」


突然倒れてきた壁に、即座に反応したウラガは、俺とグラスを背にして、完全に壁が倒れるのを防いでいだ。


「重い!」


今、横幅1m、縦2m、幅20cm程の壁が、ウラガの【大盾】に覆いかぶさるように倒れている。それを支えるウラガは、非常に重そうに、歯を食いしばりながら耐えていた。


俺はまだその壁が、魔獣か壁かの判断がついていないが、それでもその壁をどかそうと、“水の一振り”で切りつけようとした。だが、予想外な事に、壁がフワリと回転して移動したのだ。


壁は、自分の角を支点にするように、器用に回転しながら俺達と距離をとった。そして、今しがた俺達を襲ってきた壁に並び立つように、残り2体の壁も、天井や壁から剥がれて出たきたのだ。まるで、岩でできたトランプ兵士みたいだ。手も足も無いけど。もしくは、モンスターファー○に出てくるモノリスだ。


「ウラガ。グラス。見たり聞いた事あるか?」

「「ない!」」

「じゃあ、名前はモノリスにしよう。」


きっぱり良い放たれた否定の言葉に、俺は気軽に命名するのだった。だって呼びにくいじゃないか。


軽い口調で話しているが、それでも意識はしっかりとモノリスに向いている。本来は、最初の一撃で、敵を圧死させるのだろう。次は、第二の攻撃と言ったところだ。


俺達が観察していると、壁の魔獣であるモノリスは、なんとバラバラに分かれて行った。まるで、タイルをがすように、一枚だった岩が5cm四方の真四角へと分解するのだ。


1m×2m×20cmだった壁が、今では5cm四方の3200個のブロックになってしまったのだ。しかもそれが3体もいるので、見た目は1万近いブロックが、空中に浮いているようだ。


「ヤバイ!ウラガ!全力で防御!」

「任せろ!」


オラガは、そばにあった壁も利用して、限界まで【大盾】を歪めてドーム状にし、完全に俺達を守る体勢をとった。その上で【土魔法】で強度を高めていく。


ちょうどこちらの準備が終わったころに、向こうも準備ができたのだろう。1万近い石のブロックが、俺達へと飛んできたのだ。


5cm四方の岩だが油断できない。打ちどころが悪かったり、速度が出ると簡単に骨折するはずだ。頭に当たれば、最悪死ぬだろう。


そんな凶器が1万近くも、まるでマシンガンのごとく延々と投げつけられたのだ。さすがのウラガの盾も、ミシミシ音を立て始めている。盾の内側から見る光景は、正に岩の雨だ。


「グラス!心音が聞こえてたよな!まだ聞こえるか!?」

「ちょっと岩が五月蝿いですけど、聞きわけて見せます!」


岩が盾にあたる轟音が響く中、ウラガは意識を集中させて、心音があった場所を探していく。


心音があると言う事は、生物なのか?でも、ゴーレムの様にも見える。うーん?魔法結晶を使って投げて来てるはずだから、魔法結晶と一緒にあるのか?


さっぱり答えが見つからないまま、しばらくの時間が流れた。ウラガの盾は相変わらずミシミシ言っているが、一向に砕ける様子は無い。まだまだ保てそうだ。


「見つけた!正面から1時の方向。奥の岩です。」

「分かんねー。」


グラスが頑張って、一つだが聞きわけてくれた心音の場所を教えてくれるが、俺には全部同じように見えるし、何より1万もあるのだ。死角になって見えない。


「やってみるか。」


俺はそう言いながら、“魔法の鞄”がら砂を取り出した。その砂を使って、振動するチェーンソーの様な、切れ味抜群の砂ナイフを【土魔法2】で精製する。土ナイフでは、岩は切れないだろうという事から、砂ナイフを選びんだのだ。


それを、後ろの壁を切り裂くようにして、ウラガの盾の外側に出した。そしてそれを、グラスが言った方向へととりあえず【遠隔操作】で適当に動かしてみる。


「もうちょっと右!。もっと奥!行き過ぎです。あ。左に移動しました!」


などという、グラスの指示を聞きながら、1万個近い岩のブロックの中から、目当ての岩を探していく。さすがに魔獣も死にたくないのか、本体?を巧みに隠しているようだ。


それでも、ウラガの指示に従い続けて、数分後、ようやく目的の岩を切り裂く事ができた。


目的の岩を、砂ナイフで切り裂くと、茶色い液体がドパッっと出た後に、魔法結晶がコロンと出てきた。たぶんだが、魔法結晶を自分の心臓の中に取り込んでいたのだろう。


おらたちが、一個の魔獣の心臓を壊すと、それと連動するように、約3万個の岩のブロックが、ガラガラと床に転がったのだ。岩のブロックを操る本体がいなくなったので、魔力の供給も無くなり、タダの岩に戻ったのだろう。


だもがまだ2匹の魔獣がいる。約6万個を越える弾丸が、まだまだ続いていたのだ。倒し方が分かれば、こっちのものなので、グラスは、次の心音探しに勤しんだ。俺はと言えば、グラスの言葉に従って、砂ナイフを移動させるだけの、簡単なお仕事だ。


一体目を倒してから、およそ5分という短時間で残りの魔獣も退治できた。


「二人共お疲れ様。」


ずっと俺達を守っていたウラガと、敵を探すのに【聴覚強化】を必死に使ったグラスにねぎらいの言葉をかけた。


そして、ウラガが盾を解除した後には、大量の岩のブロックが転がっていた。これは、魔獣事態では無いので、ダンジョンの中に吸収されないようだ。ただ非常に、通行の邪魔になるった。


俺はウラガにお願いして、足元をハの字に盾を展開してもらって、雪をどけながら走る列車の様に、岩をどけながら先を進んだ。


「そう言えば、今どこなんだろう?」


このフロアにある道は、全てがブロック様に独立して、ある程度の範囲をランダムに動いている。なので、先に進むためには、次の範囲を移動するブロックとが繋がる瞬間に移動しなければダメなのだ。


俺は【地形把握】で周囲の様子を見てみる。そこは、先ほどの安全地帯から既に数100mは移動していたのだ。


「とりあえず、次のブロックが来たらそっちに移るぞ。」


このダンジョンの攻略は、とりあえず道の選択肢が多い方が良いのだ。つまり、直線の道だと行ける範囲は二か所。T字路なら3か所。十字路なら4か所なのだ。それなら十字路が良いに決まっている。幸い、次に来るのは十字路なので、それへと移る事を二人に伝えて、道が繋がる瞬間を待つのだった。


ということで、モノリスです。

他にもモノリスの戦い方って無いんですかね―?思いつきで出てきた魔獣なのです。ちゃんと考えないと。

テル君は、今回はナイフを動かす係になっちゃいましたね。適材適所という便利な言葉がありますねw。

次回は26階の続の話の予定。

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