表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
91/214

下手したら、1階層で一日かかるかもしれない。

地下26階層の触りの話。

めちゃくちゃ短いです。

ごめんなさい。

魔力切れから目覚めた朝は、なんだがスッキリしていた。なんだか、身体の中の悪いものが全部出た感じだ。魔力も劣化するのかな?


気持ちだけではなく、身体も綺麗になっていた。いつもウラガの【生活魔法】で寝る前にはリフレッシュしてもらうのだが、それとは別に、さっぱりしている気がするのだ。


時刻は夜が明ける少し前だ。俺は、昨日夕食を抜いた事を思い出すと、なんだか急に腹が減ってきた。


“魔法の袋”から、昨日作っておいたサンドイッチを一人で頬張りながら、色々と考えていく。


まずはユキの事だ。魔力が完全に回復しているので、さっそくユキを呼び出した。いつものように、俺の胸の紋章が白く輝くと、そこからキュポン♪と音でも出るような感じで、ユキが現れた。


いつも通り真っ白な綿なようにフワフワで、空中をフヨフヨと浮いている。そして、外に出られた事を確認すると、キュー♪と泣きながら俺の胸にダイブしてきた。


きっと俺が魔力切れになった事を、俺の中で感じていたのだろう。とても心配そうに、俺の胸の中でフルフル震えながら、キューキュー鳴いている。


「大丈夫だよ、ユキ。もう魔力も回復したし。ユキにもいっぱい分けてやれるぞ。」


俺はそう言いながら、自分が健康になった事を証明するかのように、ユキへと魔力を渡してやる。魔力の譲渡は一瞬で終わるのだが、それでもユキは俺の胸から離れようとはしなかった。鳴いたり震えたりは、しなくなった。


「よしよし。」


たぶん甘えたいのだろう。と勝手に解釈して、そのままユキを抱きしめたまま、頭?を撫でてやる。かわいいやつだ。


次に考えたのが、このダンジョンの終着だ。ダンジョンに入ってからここまでで、およそ10日以上かかっている。自称神様が言っていた、2日で1階層増えると言う話を踏まえると、王都でダンジョンができた日にちが1カ月前だと聞いたので、およそ40日。最初から10階層あったとしたら、だいたい30階以上ある計算になる。


つまり、次のステージか、その次のステージには、ボスの部屋があるはずなのだ。


「結構必死に進んで来たからなぁ。もう少しってところか。」


次に考えたのは、俺達の装備についてだ。いくら魔法で硬化したり、手入れをしていると言っても、蓄積したダメージは、確実に武器の耐久度を減らしている。俺は横で寝ている、ウラガとグラスの装備に対して【解析】を使って調べてみた。


現に、ウラガが愛用している盾も、そろそろ耐久力が無くなって砕け散るだろう。人族の王都で貰ったかなり良いやつなのだが、さすがに限界が近い。グラスの武器である爪乙女も、やはりかなり耐久度が落ちているようだ。


「念のために、替えの装備はあるんだけどなぁ。やっぱりワンランク落ちるんだよなぁ。」


などと、俺が色々考えている間に夜明けが訪れて、ダンジョンも昼間の様な明るさへと変化していった。


日が登ったので、俺は朝食を作る準備をする。未だに俺の胸に抱きついているユキを、ちょっと無理やり頭の上へ移動させた。それから、ウラガとグラスに起きるように声をかけた。


「ぅあぁ??ぉはよぅ。テル。」

「はい。おはようウラガ。」

「・・・ぉはようございまーしゅ。」

「はい。グラスもおはよう。」


二人はまだ寝ぼけているようで、変な挨拶になっている。グラスに至っては、呂律ろれつすら回っていない。


俺は身体が温まる様に、野菜たっぷりスープと硬いパンを用意して二人の前に差し出した。料理を目の前にすると、急に頭が冴えたようでガツガツと食べ始めた。


俺も一人でこっそりサンドイッチを食べたのだが、まだ全然足りなかったので、二人と同じくらい食べたのだった。


朝食後、俺達は地下26階層へとやってきた。そこは普通のダンジョンの様に見える景色だった。正直、拍子抜けである。


今までの大砂漠や階段地獄に比べると、容易く見えるのだ。だがここはダンジョン。普通の訳が無かったのだ。


俺が地面に剣を刺して、ソナーっぽく効果を上げている【地形把握】で、全体像を確認していると、なんだか認識がぼやけるのだ。


再度【地形把握】を使いながら、【周辺把握】も使用してみると、なんとダンジョンの道が動いているのだった。


先の階層で、薄い壁が出現したのはあったが、今回は完全に道が途切れるのだ。


この26階層は、アミューズメントパークのように、道と道が薄い壁で仕切られている訳ではない。蟻の巣のように、細い道が縦横無尽に張り巡らされて、隣の通路は、数mの土の壁で遮られているのだ。


そんなダンジョンにおいて、まるでパズルのように刻々とダンジョンの形が変わっているのだ。


目の前にまっすぐな道があったと思ったら、ズズズと土が右の壁からせり上がってきて道を塞ぐ。またしばらくすると、今度は右へと折れるように道が形成されるのだ。


【周辺把握】で分かる事なのだが、ダンジョン全体が数十のブロックで区切られていて、それが随時ランダムに移動しているようだ。


唯一、この階段のある位置だけは変化していない。


「これは、拙いぞ。下手したら、1階層で一日かかるかもしれない。」


俺は今調べて分かった事を二人に伝えた。もちろんその厄介さも含めてだ。道が不確定な以上、むやみに進めば無駄に時間を消費するからだ。


しかもこれだけでは済まないだろう。先ほどからグラスの耳がピクピク動いている。おそらく罠があるのだろう。


俺達は、これをどうやってクリアするのかに、非常に頭を悩ませる事になる。


と言う事で、もうアイデアが尽きてきました。純粋な土だけで構成するダンジョン。難しい。

テル君は、色々計算してますね。あたると良いですね。

次回は、地下26階以降の話。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ