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なんで頭切ったのに動けるんだよ。やっぱり無機物だからか?

地下15階と16階のお話。

ちょっと短いです。


翌日。早朝から地下15階へとやってきた。昨日確認した通り、砂漠一面には砂トンボや砂蟻が大量に存在していた。【周辺把握3】で確認すると、辟易する程の魔獣がうごめいていた。


俺は昨日習得した、【遠隔操作】や【ダブル魔法】を使って、周囲に振動する砂ナイフを4つ作り上げた。そして、ウラガとグラスに周辺の監視をお願いして、敵へと集中する。


そして俺は、階段付近の安全地帯のギリギリから、砂トンボへ向けて砂ナイフを打ち出した。砂ナイフはキュイーンと音を出しながら、高速で飛んでいき、数体の砂トンボを貫いて砂トンボの集団を一撃で仕留めた。


その効果を確認した俺は、再び砂ナイフを周りに準備して、他の砂トンボへ飛ばして、その集団も仕留めた。


そうして、砂ナイフで倒せる範囲の敵を殲滅してから、俺達は安全圏から踏み出した。周りの警戒は、ウラガとグラスにまかせて、俺は砂ナイフを準備して、敵へと集中した。


それからは、時間をたっぷり使って、ゆっくり確実に砂トンボを遠距離から攻撃して倒していった。途中で砂蟻に襲われた時は、グラスが砂蟻へと駆け寄って、【土魔法】で硬化した爪や足で倒してくれた。


またある時は、砂蟻の砂地獄で落ちた時に、砂トンボが飛んできた事もあった。14階でピンチになった時と、似た状況だ。だが俺の砂ナイフで、上空から俺達を狙った砂トンボは、全て打ち倒していった。もうピンチでもなんでもなかった。


だが、地下15階もあと少しと言ったところで、俺の魔力がかなり減少してしまい、俺は眩暈めまいを起こしてしまったのだ。


「テル!!」

「テルさん!!」

「悪い。ちょっと魔力が少ない。」


【ダブル魔法】でいつも以上の魔力を使い、砂ナイフを乱用したせいで、魔力に自信のある俺でも、もう魔力が尽きかけていたのだ。


「キュー!!」


そこへ、今まで俺の頭の上付近をフワフワしていたユキが、俺の顔の前までやってきて話しかけた。


「魔力を渡してくれるのか?ごめんなユキ。また直ぐに召喚するからな。」


そう言って、俺はユキへと手を差し伸べた。俺がユキへ渡した魔力が、また俺の中へと帰ってきたのだ。そして魔力の少なくなったユキは、俺の胸へと吸い込まれるように、消えていった。


返ってきた魔力で、俺の眩暈は改善した。ユキにはいつも多めに魔力を渡していたので、俺の魔力は3割近くも回復した。


それから俺達は、砂漠を再び歩き出した。ユキにもらった魔力を大切に使って、砂トンボ達を蹴散らしながら、地下16階への階段を目指した。


「はぁー。疲れたよ。」

「そうだな。今回はテルが頑張ってくれたから、俺は楽ができたよ。」

「そうですね。私も【周辺把握】と【聴力強化】を安全に使えて、地下15階を踏破できました。」

「二人が警戒してくれてたから、俺も集中できたよ。でも、ちょっと休ませてくれ。魔力を回復したい。」


地下15階をたっぷり時間を使って踏破したので、時刻はすでの昼を過ぎている。俺は、休憩がてら昼食の準備をした。今日は簡単に干し肉を使ったスープとパンだ。ユキから貰った魔力を使っても、地下16階の階段近くでは、ほぼ砂ナイフを連射した状態だったのだ。さすがに、魔力もかなり消耗していたので、凝った料理を作る気になれなかったのだ。


それから1時間ほど休憩して、若干の魔力が回復した。【魔力回復】のレベルも2に上がっていたので、たった1時間でも、そこそこの魔力は回復できたのだ。


そして回復した魔力を使って、さっそくユキを呼び出す事にした。


「ユキ。出てこい。」

「キューー。」

という声と共に俺の胸から現れたユキは、待ち遠しかったのか俺の顔へと抱きついてきた。


といっても、フワフワの毛玉に覆い被さられただけなのだが。かなりひんやりして、気持ち良かった。俺もユキの身体をポフポフと撫でて、愛情を表現する。


それに触発されたのか、スライムのシズクも、「ピー」と鳴いて、ウラガの身体を駈けずり回っていた。ウラガはこそばゆいのか、ゲラゲラと笑ってシズクをと戯れていた。


二人が召喚獣と戯れているのを見て、かなり羨ましそうな視線を向けながら、スープをすすっていた。


昼食を食べた後、俺達は地下16階へとやってきた。そこは、砂漠が終わって、岩や土でできた、ザ・ダンジョンという様相だった。横幅は、二人が並んで剣を触れる幅があるし、天井も十分高さがある。


俺は久しぶりの【地形把握2】でダンジョン全体を調べていくが、この階層は迷路のようになっているようだ。そして半径5kmよりも確実に広い。


「この階層は、迷路になってるようだ。だけど、【地形把握】でだいたいの当たりがついてるから、俺が案内するよ。」

「まかせる。俺はいつも通り、盾役に徹してるよ。」

「じゃぁ私は、敵の警戒ですね。【聴覚強化】で、すでに魔獣の足音が聞こえます。」


そういうグラスに俺も【周辺把握3】で周りを確認するが、確かに400m程先に魔獣の存在を確認した。だが、少し違和感がある。反応が大きいのだ。


俺は二人に注意を促してから、ゆっくりと地下16階を進んでいった。最初にモンスターがどんな敵なのかと、ダンジョンにどんな仕掛けがあるのかを確認するためだ。


しかし特に仕掛けにも出会わずに、俺達は魔獣のそばまで接近した。次の曲がり角を行けば、スキル無しでも魔獣を視認できる。


だが俺は一足先に、【鷹の目】を使って魔獣を確認していた。そして、その存在にかなりテンションを上げる事となった。


「おいウラガ!グラス!ゴーレムだぞ、ゴーレム!!本当に居るんだな!!」

「おお!ゴーレムか!男のロマンの代表だよなー。」

「やっぱりこっちでも、そうなのか!?どこでも男は大きいものに憧れるよなー。」


俺とウラガは互いに目を輝かせていたが、女の子であるグラスの目は冷ややかだ。


「ゴーレムについて、グラスは何か聞いたことあるか?」

「存在は知っていますが、特徴とか倒し方までは知りません。ですが、かなり面倒なので、相手にしないとは聞いたことがあります。」

「ふーん。何が面倒なんだろう?」


一応、どんな敵かわかった俺達は、意を決して角を曲がり、視界にゴーレムの巨体を写した。


そこに居たのは、岩と土を混ぜ合わせたよう組成で、凸凹した身体のゴーレムだった。体長は3m程。両手を広げれば、こちらも3mはありそうなほどの巨体だ。瞳のところは、大きく穴が開いており、真っ暗な中に赤い点が覗いていた。こちらも、ザ・ゴーレムと言った様相だ。


手には武器を持っておらず、俺達を見つけたゴーレムは、その巨体を左右に揺らしながら、猛ダッシュして拳を振り上げていた。


ただ、猛ダッシュといっても、非常に遅い。たぶん、普通に歩くのとそんなに変わらない速度で、俺達へと迫って来るのだった。


俺達は、一度ゴーレムの腕力を確かめるために、わざわざウラガの盾に守られる位置取りへと移動した。


ウラガは【土魔法】で硬化した【大盾】を使ってゴーレムのパンチを受けとめようとした。しかし、ウラガの盾が、パリン!という音と共に砕け散り、少し威力を弱めたであろうパンチが、ウラガへと直撃したのだ。


そしてウラガはそのまま後方の壁へと叩きつけられてしまった。俺とグラスはその光景に驚き、一瞬放心状態になってしまった。だが直ぐに意識を切り替えて、俺はゴーレムへと切りかかり、グラスはウラガへと駆け寄った。


俺は“水の一振り”に魔力を流して攻撃力を上げた状態で、ゴーレムへと【ステップ3】で駆け寄り、頭を真っ二つに切り飛ばした。俺は確実に倒したと思ったが、念のためにゴーレムから距離をとって、ゴーレムへと注意を向け続けた。


すると、頭を切り裂かれたはずのゴーレムは、何事も無かったように、再びその腕を振り上げて、俺へとパンチを繰り出してきた。


俺は【ステップ3】でその攻撃を難なく回避する。全体的に行動の襲いゴーレムの攻撃は、避けようと思ったら、余裕で避けられるのだ。


「クソ!なんで頭切ったのに動けるんだよ。やっぱり無機物だからか?」


俺はweb小説で良く出てくるゴーレムの情報を思い出していた。動物的な心臓や脳といった内蔵が明確に存在する訳ではなく、魔法陣や魔法結晶でもって動いているというやつだ。おそらくこのゴーレムも同様なのだろう。


俺はもう一度ゴーレムへと切りかかり、今度は全身を細切れにする様に、縦横無尽にゴーレムの周りを駆けまわった。


超中途半端になりましたが、ここで切らせて頂きました。

すみません。

テル君は、動揺しているようですね。ウラガが心配なのでしょう。

次回は地下16階以降の話。

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