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やばい。めちゃくちゃ多いぞ。

地下12階以降のお話です。

ユニークモンスターを倒してから、早10分。ようやく体調が回復したウラガとグラスが、俺が取ってきた、中サイズの土の魔法結晶をまじまじと見ていた。


「中サイズって、そんなに珍しいのか?」

「ダンジョン以外だと、大きな森の中に入らないとダメだな。」

「獣人国でもそうですね。ダンジョン内だと、初級ダンジョンの奥か、中級ダンジョンからですね。」

「じゃあ、そんなに珍しくないじゃないか。」

「でも、中級を取れるようになると、冒険者として一人前なんだぞ。」


俺がちょっとしょぼくれていると、ウラガがそう言ってきた。小さな魔法結晶は、冒険者として新人らしいが、中サイズになると、一人前だと認められるらしい。大サイズや、特大はベテランらしい。


一人前だと認められたからと言って、別段何か待遇が向上するわけではないそうだ。だが、やはり自分達の自信に繋がり、同時に気が引き締まるそうだ。俺には良く分からない。


二人が復活したので、さっさと地下12階を進む事にした。以外にもユニークモンスターに時間を取られたので、少し急いでいく。


砂蟻や、砂トンボと何度か戦闘を繰り広げたが、特に苦戦する事も無く地下12階を踏破して、階段の目の前までやってきた。


階段は、前回同様に登りになっていた。もうこれが普通なのだろうという事で、俺達は立ち止まる事も無く階段を上がって行く。


「もうすぐ日も暮れるから、もう今日は休もうか。」

「俺はそれでいいぞ。無理するのは良くないからな。」

「私もそれでいいです。ちょっと疲れちゃいました。」


と言う事で、俺達はちょっと早めの休憩を取る事にした。今日は、干し肉とキノコ、野菜を使ったシチューだ。そろそろ牛乳を消費しないと、衛生的に危険なので、使い切った。俺的には、【空間魔法】とやらで袋の中を広げている、“魔法の袋”に、時間を止める機能が欲しいと、常々思ってきた。


だって普通web小説だと、袋の中の時間は止まるじゃん。暖かいものは暖かく。冷たいものは冷たく。そして野菜も腐らない。正に理想じゃないか。俺は、ウラガやグラスが知らないか聞いてみる事にした。


「ウラガとグラスは、【時間】に関係する魔法って聞いたことないか?」

「【時間】は聞いたことねぇな。でも、行動を早くしたり、敵を遅くする魔法があるとは聞いたことあるぞ。」

「私もその位です。ちょっと違うかもですけど、植物を早く成長させたりする魔法があるそうです。でも、大昔には使い手がいたって、おばあちゃんが言ってましたよ。」


グラスから有力な情報が聞けた!しかし、あまりメジャーじゃないらしいので、現在の使い手や習得方法は分からないそうだ。もしかしたら図書館の古い記録にあるかもしてない。俺は、ダンジョン後の予定に、図書館行きを追加した。


そんな話をして、俺達は早々に眠りに着いた。そして翌日、俺達は地下13階を進んでいく。


「これは・・・めんどくさい。」

「確かに面倒だな。」

「そうですね。注意しながら進みましょう。」


地下13階は、これまでと同様に真ッ平らな砂漠が広がっていた。しかし、砂蟻が砂の中を移動していたのだ。これまで、待ちに徹していた砂蟻が、結構な速度で砂の中を移動しているのだ。俺達はそれを【周辺把握】で確認する。


これまでの経験から、砂蟻との戦闘でこちらが怪我をする確率は、かなり低くなったが、砂トンボとの連携が嫌なのだ。砂地獄へ落とされたら、飛んでいる砂トンボが俄然有利な状況になるのである。それだけは避けたい。


俺達は、より一層の注意を払いながら、広大な砂漠を進んでいく。しかし、いくら注意を払っていても、砂トンボとの戦闘は避けられない。そして戦闘している最中に、その音を聞きつけて砂蟻が地中を進んでくるのだ。


「砂蟻が接近中!あと500m。その間に、残り2匹の砂トンボを倒すぞ!」

「「おう!」」


俺達が、大所帯の砂トンボ5匹と戦っている最中に、砂蟻が猛スピードで近づいて来るのが分かった。俺達は、最初から出来るだけ早く砂トンボを倒すように行動していたので、残り2匹まで減らしていた。


ウラガが、【土魔法】で強化した【大盾】で防ぐ。俺とグラスが【土魔法】で地面を一瞬硬くして、【ステップ】を多用して砂トンボに近付き、敵を切って行く、いつものスタイルだ。


そして、ギリギリ砂蟻が到達する前に、砂トンボを倒しきる事ができたようだ。一瞬の休憩の後、いきなり地面の砂が陥没して、巨大な砂地獄へと変わって行く。


俺は砂地獄を駆け下りて、砂蟻が攻撃する前に頭を切り飛ばして倒した。砂場でこんなに動ける【土魔法】を、あの時、時間を削ってまで習得して、本当に良かった。


戦闘が終わった後、周辺を確認するために【周辺把握】を使おうとしたところ、全身をゾクリとした感覚が伝わった。


ステータスを確認すると、【周辺把握3】へとレベルアップしてたのだ!喜ぶ前に、他に敵が居ないかを確認するために、【周辺把握3】を使ってみた。


すると、【周辺把握2】では500mが限界だったのが、【周辺把握3】では、半径1km以内の事が分かるようになっていた。なんだか変な気分がするが、これでより広範囲で敵を見つけることができる。


【周辺把握3】を使って分かったが、やはり魔獣の数がめちゃくちゃ増えていた。砂トンボだと思われる集団が3か所。砂蟻だと思われる単体が5匹もたった1km以内をうろうろしていたのだ。


とりあえず俺達へ直ぐに出くわすだろう敵はいないので、俺は砂地獄を駆け上って、ウラガ達と合流する。そして、【周辺把握】がレベル3に上がった事を報告した。


「マジかよ!これでより敵を見つけやすくなったじゃねぇか!助かるぜ!おめでとう!」

「レベル3ですと、師範代レベルですよね!さすがテルさんです。おめでとうございます。」


レベル2は努力すれば、誰でも成れるそうだが、レベル3は才能と努力、経験が必要なのだそうだ。俺はチートの固有能力“オール・フォー・ソード”があるおかげで、才能は関係ないし、経験さえも人より少ない量でレベルが上がるのだ。【ステップ】だって、かなり早い時期からレベル3なのだ。もしかしたら、もうすぐレベル4に行くかもしれない。


だが、レベルが上がったからと言って、使いこなせるかは別問題なのだ。高すぎるスキル能力を使いこなさなければ、タダの宝の持ち腐れである。俺はそれを肝に銘じて、自分の今あるスキルと、もう一度向きあって使用する事を、心の中で誓ったのだった。


その後の地下13階の戦闘は、時間との勝負だった。いかに早く砂蟻を倒せるか。万が一、砂蟻と連携されたとしても、どれだけ早く砂蟻を倒すかが重要なポイントになっていた。


だから、最初にウラガが敵の攻撃を受け止める事も、時間短縮のために無くなった。最初から【大盾】と【バッシュ】を使って近づいた敵を吹き飛ばしていく。最初はなかなかタイミングが掴めないようだったが、何度かするうちにベストなタイミングで敵へとスキルを当てられるようになった。


これも、ウラガの【ハイガード】の恩恵なんかもしれないが、単純に盾の使い方の熟練度が増した、ウラガの素質によるものかもしれない。


俺も、グラスと共同で一体ずつ倒すのではなく、それぞれが個別に倒すスタイルへと変わって行った。グラスもさすがに戦闘にも慣れた様で、いかに早く倒すか。どう身体を動かせばいいのかを研究している。


俺はそんな二人を観察しながら、二人が撃ち漏らした敵を始末したり、二人のサポートへ回るようになっていた。


獣人国の王都で学んだ、チームとしての動きやリーダーとしての役割が少し分かった気がした。


そして、ハイスピードな戦闘を何度も繰り返して、やっとの事地下14階へと登る階段へとやってきた。


時刻は、まだ11時くらいだろう。昼には少し早い気がするが、戦闘で疲れた俺達は早めの昼食を取る事にした。


「速さを意識すると、精神的にもかなり疲れるな。」

「そうですよね。焦らないようにとは思うんですが、心は急いでしまうんですよね。」

「しかも、いつもより体力使う気がしないか?」

「わかります!今日はまだ昼なのに、ヘトヘトですよ。」

「俺もwテルの料理ををしっかり食って、回復しないとなw」


俺が料理をしている間に、ウラガとグラスが楽しそうに雑談していた。やはり二人とも急いで戦っていたようで、疲れが溜まっているようだ。


俺は少しでも精神的な疲れも取れるように、昼食後に軽いデザートを用意した。王都でこっそり作っておいたジャムと、スコーンだ。それに、紅茶に似た香りの良いお茶も淹れた。


「おお!!!ジャムじゃねぇか!いつの間に作ったんだよ。」

「王都にいた時にこっそりね。」

「これが、ウラガさんが言ってた“じゃむ”ですか。確かにとても甘くて幸せな感じがします。」

「この“すこーん”って奴も、ジャムを付けると、めちゃくちゃ美味いな!王都で店が出せるんじゃないか?」

「このお茶も、とっても良い臭いですね。飲んだ後に、心が落ち着く感じがします。」


ウラガもグラスも、ジャムとスコーンに大満足してくれたようだ。紅茶も効果があったようで、二人の精神的なストレスもかなり軽減できた気がする。俺もデザートを食べて、一緒に心を落ち着かせるように、お喋りに華を咲かした。


昼ごはんも終わったところで、俺達は午後のダンジョン攻略へと赴いた。


14階へと到着した俺は、さっそく【周辺把握3】で、敵を探って行く。そして、その状況に愕然としてしまった。


「やばい。めちゃくちゃ多いぞ。」


俺が感知した地下14階の敵の数は、地下13階よりさらに増えていた。具体的には、階段の出口から扇片に半径1kmの範囲に、砂トンボの集団が5と、砂蟻が7もいたのだ。地下13階では、360度を使って同様の数だったので、単純に数が倍になっているのだ。


俺達はこの14階とさらに上の15階について、思いを巡らせると、一気にやる気が無くなって行くのだった。


ということで、地下12階、13階が終わりましたね。

私的にはもうちょっとスピードを出したいのですが、難易度が上がるのに、書くことも無いのは、どうか?と思い、話が進まないのです。

のんびり付き合って頂けると、幸いです。

テル君は2つ目のレベル3を手に入れました。だからと言って、強くは成りませんね。

次回は、地下14階以降の話の予定。

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