本当にファンタジーの世界なんだなぁ。
「レベル3とは、かなり低いね。一般人でもレベル30までは、年齢と同じくらいのレベルになるはずなんだけどねぇ。何か心当たりは?」
「・・・ありません。すいません。俺の記憶が無いばっかりに。」
「いやいや。謝る事じゃないよ。病弱だったり過保護に育てられると、あり得る事だからね。」
(レベルめっちゃ低い!なにこの低さ。門番さんの話だと、俺ならレベル18くらいが普通らしいじゃん。これは怪しまれる!なんとかしないと。よし、こちらから謝ってしまう作戦にしよう。しおらしくすれば、相手の同情を誘えるかもしれないし、深く突っ込む事もできなくなるはずだ。)
ということで、謝る作戦は成功した様だ。門番さんも申し訳なさそうだった。ごめんね門番さん。
「特に犯罪歴も無いみたいだし、変わったスキルが気になるけど、テル君にもわかんないもんね。まぁ今回はおおめに見て、街への入場を許可しよう。入場料の銀貨1枚は、商人のネーロさんから貰っているから。街に入ったら、冒険者ギルドに行きなさい。街の中央付近にある、大きな建物で、赤い扉が目印だよ。そこで身分証を作ってもらうと良い。」
「分かりました。寛大な処置に感謝します。では失礼します。」
門番さんに見送られながら、街へと入った。ちょうどネーロさんも検問が終わったのか、合流する事ができた。
「ネーロさん、入場料有難うございました。助かりました。」
「必要になると思って渡しておいたんだ。街に入れたってことは、特に何も無かったって事だよね?」
「(レベルの事は言えないなぁ)はい。犯罪歴もないので、入れて頂けました。この後すぐに冒険者ギルドへ行かなきゃいけないのですが、どうすればいいですかね?」
「身分証を作るんだね?だったら、銀貨1枚が必要になるだろうから、渡しておこう。その後、剣を売る前に教会に行きなさい。腕の骨折を直してもらわなきゃね。お布施が銀貨5枚になりそうだから、それも貸してあげよう。日没が近いから、教会の前で待ち合わせしようか。馬車の中なら泊めてあげるよ。武器屋は明日にすると良い。まずはギルドまで送ろう。」
「何から何まで有難うございます。お金ができたら、必ず払います。」
本当に良い人に拾われたと思いながら、行為に甘える事にした。
街は中世ヨーロッパを思わせるような立派な建物が並んでいた。街には水路が張り巡らされ、花や木々が街の美しさを際立たせていた。しっかり舗装された石畳の道、その両端には様々なお店が並んでいた。
俺が街の景観にキョロキョロしていると、馬車が止まった。冒険者ギルドに着いたようだ。ネーロさんに再度御礼を述べた後、俺は赤い門を携える大きな建物を見上げた。大きさからいうと、小学校くらいだろうか?3階建てで周りの建物より立派な佇まいである。門の横にはドラゴンを背景に剣が描かれた、大きな旗が掲げられていた。ギルドマークなのだろう。かっこいい。俺はギルドの赤い扉を開けて、中に入った。
中に入るやいなや、多くの人でごった返していた。はいったらまず正面に、大階段があった。そこを中心として、右半分は飲食スペースらしく、右の壁にはキッチンやカウンター、配膳台などがあった。そして大小様々なテーブルが不規則に並べられて、酔っ払いの厳ついおじさんが、大声で笑っている。ウエイターのお姉さんも大忙しだった。
一方、左半分は依頼等を受けるスペースの様だ。左壁一面に依頼書が貼り付けられている。依頼書を持って、奥の壁際にある受付カウンターで受理してもらうようだ。カウンターの横には、討伐品や獣の皮などを取引できるスペースもある。おれは依頼受付用のカウンターへと向かった
「身分証を作りたいのですが」
「はい。身分証ですね。作るのは初めてですか?」
「はい。初めてです。ですので、冒険者ギルドの説明をして欲しいのですが。」
「かしこまりました。先に身分証を作りますね。代金先払いで、銀貨1枚です。」
「銀貨1枚ですね。どうぞ。」
「確かに。では、こちらの台に手を置いて下さい。ステータスを読み込んで、プレートに記録します。」
俺が台に手を置くと、淡く光った後に光が台座に嵌められていた銅プレートに吸い込まれていった。
「はい。こちらが身分証になります。プレートは、銅、鉄、銀、金、クリスタル、ミスリル、アダマンタインの順に高くなります。銅プレートは、FとEランクの依頼を受けられます。同様に鉄ですとEとDが受けられます。アダマンタインになるとSS級。災害レベルの依頼を受けられます。同時に国への招集には応じる義務が発生しますが、そのかわり税金免除や給付金等の特典があります。もちろん各プレートで特典は変化します。銅プレートだと、薬草などの買い取りで相場より1割ほど高値で買い取らせて頂きます。プレートの昇格は、ギルドへの貢献度や実力で変化します。追々、理解されると思います。」
「飛び級とかあるんですかね?」
「ございます。大規模討伐等でランク以上の魔物を討伐されたり、手柄をあげられると飛び級になります。言い忘れましたが、魔物にもランクがございます。依頼レベル同様、F、Eから、A、S、SSの順で強くなります。あくまで平均的な強さなので、目安程度にご理解ください。個体差がございますので。」
「だいたい分かりました。有難うございました。」
俺は次の教会へと急ぐために、足早にギルドを出た。
「本当にファンタジーの世界なんだなぁ。」
魔物の存在。ラノベやweb小説でよく見るギルドとシステム。魔法の光。なんだかこの世界で生きて行くのが、楽しみでもあり、辛く感じる場所だった。
次回、ついに魔の手が!
やっとの気がする。
~(´∀`~)ふへー