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砂漠とか無いわぁ。

ダンジョン地下3階から5階の話です。

「おはよう。グラス。」

「・・・おはようございます?」

「もう朝だよ。ダンジョン進むよ。」

「・・・朝!ダンジョン!!私何時間寝てたの!?」

「昨日の夕方からだから、ざっと12時間くらい?」

「!!!」


グラスは声にならない声を上げていた。自分が予想以上に眠っていた事に驚いたようだ。そして、だんだん顔色が青くなっていく。


「申し訳ありません!!私のせいで、ダンジョン攻略が遅れてしまって!!」

「そんなの良いんだよ。俺達もダンジョン初体験の時は、ヘトヘトになったしね。安全に進むのが、一番大事だから。」

「でも・・・ごめんなさい。」

「本当に気にしないで。今日もまた頑張ってもらうんだから。」

「・・・はい。」


一応なだめたけれど、グラスはまだ気にしているようだ。グラスは責任感が強いのかな?誰かが迷惑をかけても、それを補うのがパーティーなんだと、俺は思うんだけどなぁ。


「よし。じゃあ地下3階に進むぞ。また天井が低くなっているから、気を付けてな。」

「わかりました!任せて下さい!」


戦闘が始まると自覚すると、意識をしっかりと切り替える。俺も見習いたい程の変わり用だ。本当に後悔してたんだよね?


そして、地下三階は170cmってところだろうか?俺とウラガの180cm程の伸長では屈まなければならない。小さな150cmのグラスは、まだ大丈夫だ。


俺達は、ダンジョンを進んでいくが、俺とウラガは直ぐに腰を痛めてしまった。中腰は腰に来るんだよね。


だから、休憩を何度も重ねて、少しずつ進んでいく。グラスも休憩するのが増えたからか、精神的にも安定しているようだ。


魔獣は蟻だけなので、なんとか倒していける。急所である頭から突っ込んでくるので、俺の氷のナイフでズタズタに突き刺すが、蟻は硬いので、なかなか倒すのに時間がかかってしまうのだ。そして奥に進む度に、どんどん魔獣が増えてくる。グラスに頑張ってもらうしかなかった。


グラスはと言うと、俺達が戦いづらいのが分かってからは、俄然やる気になって、率先して戦っている。俺が氷のナイフで足止めした蟻を率先して倒して、確実に数を減らす。ウラガはそれをサポートするように、他の蟻を抑えていた。だが中腰なので、力が入りにくいのか、蟻が突っ込んでくるたびに、「ウッ」とか言っている。わかるよ。俺も辛い。


そんのなこんなで、なんとか地下3階をクリアして、階段へとやってきた。


「「もう無理だー」」


俺とウラガは、階段でやっと背中を伸ばせたので、大きく伸びをしながら、不満をぶちまけた。骨がボキボキなっている。ちょっと気持ちいい。


「次はどんな階層かな?トレーネ湖の場合だと、3階ずつで階層の中身が変わったよな。」

「じゃぁちょっと見に行こうか。見てから昼にしようぜ。」


俺とウラガはグラスに昼食の準備を頼んで、地下4階へと降りて行った。そこに広がるのは、絶望だった。さらに天井が低くなって、おそらくグラスでもギリギリだ。


「ヤバイぞテル。俺達、膝をつかなきゃ背筋も伸ばせないぞ。」

「確かにヤバいな。何か対策を考えないとな。」


と言いつつも、俺はもう打開策を考えていた。昼食をとった後に、俺は地下4階へ降りて行って、土の魔法結晶を取り出した。


「今から、簡単な荷車を作る。ちょと作り方を見ててくれ。」


俺はそういうと。土の魔法結晶を使って、地面の土を成形していく。俺が寝れる位の岩を切りだして、土台となる岩の表面を平らにする。その岩の前後に車輪を通す棒と、車輪を作って繋げるのだ。岩と岩を、土を使って接着出来るので、土の魔法結晶はかなり便利だ。


「簡単だろ?これに寝そべったり、膝をついて移動する。力が出ないから、攻撃の時は降りるか、地面に足を付けないとダメなのが、難点だな。」

「おお!よく思いついたな。畑とか店先で見た事あるわ。」

「そうですね。これなら移動は楽になりますね。私はまだギリギリ大丈夫なので、今回はやめときます。」


ということで、ウラガの分はウラガが作った。土を動かすのに苦戦して、車輪の大きさがバラバラだったり、車輪の穴が真ん中に来なかったりしていた。結構ウラガは大雑把だからなぁ。そして、なんとか形になったので、俺達は地下4階を進んでいく。


グラスも頭ギリギリなので、腕を上げられない。そのため戦い方のバリエーションが減っている。アッパーや横殴り、蹴り等で倒していくが、やり辛そうだ。【ステップ】は走る程の高さが無いので、使えない。グラスの速さが完全に死んでしまっている。


ちなみに俺達は、台車に乗って、なんだか間抜けな感じで進んでいく。ウラガも盾を使おうとするが、足を台車から出して変な感じで踏ん張っている。俺は氷のナイフしか攻撃手段が無い。ちなみに、ユキもシズクもちゃんと召喚してある。二体とも俺達に背中に張り付いて、援護してくれていた。


俺達はなんとか、地下5階への階段に逃げ込んだ。台車のおかげで腰を痛める事はなかったが、もう俺達の存在意義すら考える程に、戦いは情けなかった。蟻に止めを刺したのは、全部グラスだ。


「お二人とも大丈夫ですか?なんだか、ぼーーとしてますけど。」

「悪いな。グラスにまかせッきりで。」

「仕方ないですよ。それに援護のおかげで、一匹一匹に集中できてますから。」

「そう言ってもらえると、俺達も救われるな。」


「意外と地下4階は時間がかからなかったな。今だいたい3時くらいか?」

「そうだな。もう1階いってみるか?」

「そうだな。たぶん、また天井が下がってるんだろうなぁ。」


そして地下5階へとやってくると、高さは130cmほどになっていた。もちろんグラスは中腰だ。そして俺達は台車に寝そべっている。蟻は、130cmほどなのて、蟻は今まで通り動いている。おそらく5階の天井高を基準に、蟻の大きさが決まったんじゃないだろうか?


「グラス、大丈夫か?」

「これはかなり辛いですね。力が全然入らないし、足技も使えない。」

「しょうがない。ウラガ、“帯電の剣”をグラスに貸してやってくれ。」

「ほら。魔力量に気を付けるんだぞ。」

「有難うございます。」

「俺も“水の一振り”に魔力を通して、攻撃力上げて戦う。魔力を使えば、硬い蟻でも切れるだろう。」


そして地下五階を進んでいくが、敵を倒すのがかなり難しい。俺達は全員が、ふんばって力をだせないので、剣に威力が乗らないのだ。地味にピンチだ。


「高さが無いだけで、こんなに苦戦するなんて。」

「ほんとだよな。たかが高さだと最初は思ったけど、けっこうヤバいよな。」

「ほかのダンジョンって、意外と親切設計だったんですね。」


もう雑談するしか、気晴らしがない。どうしても、一戦一戦が長いので、精神的に疲れるのだ。


「どうるかなぁ。なんとか、後ろから押してもらえないかなぁ。」

「防御役の俺がいなくても良いなら、【バッシュ2】で押せるんだけどな。」

「でも、他の蟻を抑えてもらわないと、安全が保てませんよ。」

「安全が第一だからなぁ。」


俺達から良いアイデアが出ないで、悩んでいると、ユキが俺の目の前まで飛んできて、話しかけて来た。


「キュッキュー。」

「え。ユキが足止めしてくれるのか?」

「キュ。キューーキュッキュキュ。」

「蟻の足元を凍らせて、地面に縫い付けるか。それいいな。でも魔力をかなり使うだろ?」

「だったら俺が水だけでも出すよ。地面が濡れれば、ユキの負担も減るだろう?」

「そうだな。ちょっとやってみるか。」


ちょうど蟻が出て来たので、まずウラガが【水魔法2】で、小さな波を作り出して、蟻の脚と地面を濡らしていく。俺はユキに魔力を渡して、グラスは巻き添えを食らわないように、下がってる。


「キュー!」


ユキが鳴くと、地面にあった水が凍って行き、蟻たちは動けなくなった。強靭な顎で、床の氷をガシガシと砕こうともがいている。だがその間にウラガの【バッシュ2】で加速した俺や、グラスが接近して、蟻の頭を破壊していく。ユキもそんなに疲れていないようで、この作戦は有効の様だ。


その後も、ユキの活躍で蟻たちをなんとか倒していく。途中、蟻酸を出されて、蟻が大量に集まってきたが、足を凍らせたので、順番に倒していくだけだった。それでも、体力的にも、魔力的にもかなりしんどい。ユキだけじゃなく、“水の一振り”にも魔力を流しているので、魔力の多い俺でもどんどん魔力が減って行くのだ。どんどん、気分が悪くなってくる。


そして4時間かかって、なんとか地下5階を踏破した。階段を見つけた時には、俺の魔力も、グラスの魔力も底を尽きかけていたのだ。


かなり腹が減っていたが、料理をする気力もないので、事前に作っておいた料理を出した。ちなみに魔法の鞄は、時間は経過するので、あまり日持ちしないものは作れない。


「ちょっと6階を見に行かないか?見たらすぐ寝よう。さすがに疲れた。」

「そうだな。たぶん6階は違うシステムになってるはずだ。」

「つぃか、ダンジョンは5階ずつ変わるんですよね。次はなんでしょう?」


そして俺達は地下6階へと降りて行った。そこには高い天井があり、俺達はかなり嬉しがった。だが、今度は床が変化している。


「今後は床か。砂漠とか無いわぁ。」


そう。6階からは砂漠が広がっていた。ちょっと足を出してみるが、砂に足が沈んで、また踏ん張れないので、新しい対策が必要だろうなぁ。そんな事を考えながら、俺達は階段へと戻って、眠りについたのだった。

中腰はつらい!腰がヤバい!ということで、天井高の階層は終わりです。

圧迫感もすさまじかった事でしょう。天井高は大事なのです。

テル君は、ちょっと自信を無くしてますね。

次回は、地下6階以下のお話です。

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