今日は初日だからな。俺達も休もう。
ダンジョンに入ります。
やってきました神の手“ラマン”のダンジョン!ダンジョンができたのが、1け月以上前なので、最低15階以上は増えているはずだ。移動で時間を食ったので、それ以上だろう。ちなみに、今回寝て起きてみたが、神様の手紙はなかった。怒ってんのかなぁ。情報欲しいんだけどなぁ。
「よし!行くか!」
「「おー!」」
俺達は一階を進んでいく。この階層の特徴は、背が低いことだろうか。剣を振りかぶると、ギリギリ当たらないくらいしかない。
「グラス。まずは【地形把握】を使って、全体像を確認する。そして【周辺把握】や【鷹の目】なんかを使って索敵する。俺もやるけど、グラスもやってみな。」
「はーい。やってみまーす。」
グラスもテンションが高いのか、若干言葉使いが軽くなっている。
このダンジョンはとにかく広い。剣を地面に刺して、ソナーっぽく応用した【地形把握2】でも先が見えなかった。およそ5km以上の広さだ。だが迷路はそんなに難しくないので、ささっと次に行けそうだ。
そして、しばらく歩いていると、やっとダンジョンの魔獣が出てきた。体長2mほどもある蟻だ。黒くて、カサカサしていて、集団で攻めて来た。
「次の曲がり角の先、蟻6匹。でかいから気をつけろ。」
「蟻は有名です。強靭な顎と酸に気を付けて下さい!」
直に見た蟻は、気持ち悪かった。体長2m程なので、顔の高さが腰くらいまである。黒くて、堅そうだ。
まずはどんな攻撃をしてくるのかを見るために、ウラガに防御を頼んだ。ウラガが【大盾2】を使って、俺達も守ってくれる。
蟻はと言うと、体当たりしたり、噛みついてきたりしてくるが、攻撃が効かないと分かると、お尻の先から酸を飛ばしてきた。蟻酸だ。独特な臭いが、鼻をつんざく。嗅覚の敏感なグラスは、めちゃくちゃ臭そうに、ハンカチで鼻を覆っている。
それ以外の攻撃方法が無いようなので、俺達は反撃へと転じた。ウラガに【バッシュ2】で敵を吹き飛ばしてもらう。それから、俺とグラスは【ステップ】で近づいて、剣で切りかかった。
蟻自体はそんなに硬くなく、関節を切り飛ばす。だが、関節を切り飛ばしても、蟻の生命力は高くて、身体だけになっても顎をガチガチしている。ほんとうに気持ち悪い。俺は思い切って、頭に剣を突き刺した。そうすることで、やっと蟻は倒せた。
「グラス!頭を狙うんだ。身体はいくらやっても死なないぞ。」
「はい!」
まぁ、だいたいの生物が頭を狙えば死ぬんだけどね。グラスの方も、頭を胴体から切り離して、どんどん倒していく。やっとの事で、蟻を討伐し終えた。
「ふぅ。」
「グラス大丈夫か?休む前に【周辺把握】で周りの確認だ。」
俺達が探索している間に、ウラガがサクサクと魔法結晶を回収していく。
俺も【周辺把握】をやってみるが、こちらに大量の蟻が向かってきているのを感じた。しかも1団体ではなく、広範囲から集まってくる。
「ヤバイ!敵が集まってきてる!さっきの蟻酸のせいだ。くそ。ホルモンのこと忘れてた。」
「難しい事はいい!どうすりゃいいんだ?」
「とりあえず、近くの蟻に向かう。囲まれないようにこちらから出向いて、殺すしかない。」
「わかった。案内してくれ。」
それから2時間は、走っては蟻を刈り、また走っては蟻を刈った。蟻酸をまかれる前に、頭を切り離して、絶命させていく。なんどかミスして蟻酸を出させたが、なんとか囲まれることなく、なんとか2階への階段を見つけた。俺達は階段へと飛び込んだ。
「はぁ。疲れたー。」
「俺もヘトヘトだよ。」
「あたしもー。お腹ペコペコ。」
俺達は早めの食事をとって、2階へと備えた。武器も防具も損傷が無いので、昼食を食べたら2階へと降りた。
地下2階はさらに天井が低くなっていた。横幅はあるのだが、高さがないので、剣を振るう事ができない。横殴りしか攻撃手段がなくなった。
魔獣は蟻だけだったので、1階同様に頭を吹き飛ばしていく。2階はさらに広くなって、なかなか地下への階段が見つからない。蟻の量も増えたのか、曲がり角を3つ曲がる度に、戦闘するくらいの頻度だ。
「ウラガ。グラス。大丈夫か?」
「俺は大丈夫だけど、ちょっと集中力が切れて来た。」
「あたしもー。なんか、単純作業になってきて、集中できないよー。」
ウラガはともかく、グラスは完全に疲れている。精神的にもだ。
「もうすこし頑張れ。この階が終わったら、長い休憩を取ろう。」
「ヤッター!」
グラスはテンションが上がって、俄然やる気が出たようだ。しかしそのやる気も、直ぐに切れてヘトヘト感が伝わってくる。さすがにダンジョン初体験は、辛いようだ。
俺達は、そのあと1時間程で地下3階への階段を見つけて、長めの休憩をとる事にした。敵が弱いので、まだ3時くらいだ。頑張ればもう一階くらいいけそうだ。
「ウラガ、大丈夫か?」
「あぁ。俺はダンジョン2回目だからな。これくらいなんともないぜ。」
「グラスは?」
「あたしはまだ無理っぽいです。身体は大丈夫なんですが、集中力が続きそうもありません。」
「そっか。じゃあもうちょっと休もう。」
「そういえば、蟻から出てきた魔法結晶はどうだった?」
「あぁ。小さいけど茶色だから、土の魔法結晶だな。」
「ふーん。どんな事に使えるんだ?」
「だいたいは、工事現場で使われるんだけど、近くの土をちょっと操れるんだ。テーブルなんかも作れるぞ。」
「そうだったのか!それなら、今後は快適な食事場所と休憩場所ができるな。緊急避難場所もできるな。」
「でも、魔獣に囲まれたら避難場所を作っても、出れなくなるぞ。」
「良いアイデアだと思ったんだけどな。」
「使い場所次第だろうな。」
「俺達は、ちょっと下を見てくるよ。グラスは待っててくれ。」
「はーい。」
俺とウラガは地下3階へと降りて来た。3階はさらに高さが低くなって、背の高い俺達はかがまなくちゃならない。【地形把握2】で捜査するが、やはいこの階も広い。しかも中腰になるので、かなり戦いづらくなっている。
「戻ろう。たぶんこの階層は時間がかかりそうだ。」
「そうだな。戻ってグラスと相談だな。」
戻ってみると、グラスは眠っていた。俺達が居なくなって、集中の糸が途切れたんだろう。
「今日は初日だからな。俺達も休もう。」
その後早めの食事をとってから、俺達は早々に寝る事にした。明日からも、ダンジョンは続くのだから、無理はしたくない。
土って、色々出来そうですよね。
どうしよう。アイデアを文章に出来るのだろうか?
テル君もダンジョンに慣れたようで、相手を気遣う余裕がありますね。
( ・∇・)セイチョウシタナー
次回は、地下3階以降の予定。