だからこれから、ちょっと王の元へ行くつもりだ。
王都での買い物編です。
ちょっと短いです。ごめんなさい。
翌日、ギルドのブルさんを訪ねて、ダンジョンの発見者の情報を聞き出す。
「昨日仰っていた、新しいダンジョンの発見者を教えてほしいんですが。」
「なんだい。ダンジョンに興味があるのかい?確かねぇ、鳥の女の子だったはずだけど。・・・ああ!!あの子だよあの子!!あの鳥の女の子が発見者だよ。」
ブルさんが大声を出して、今しがたギルドに入ってきた女性を指差した。彼女は、昨日一緒に森の魔獣を退治した、関西弁の鳥のお姉さんだった。彼女は訝しみながら、こちらへと駆け寄ってきた。
「やぁ。昨日振りやね。あたしの話でもしてたんか?」
「昨日はお世話になりました。実は俺達、ダンジョンに入りたくて、情報を集めていたんです。」
「ふーん。そんで、発見者のあたしの事を聞いてたんやね。ほんで何聞きたいん?」
「まずは、場所と発見の経緯からお願いします。」
「タダっちゅうのもなー?あたし達、まだ朝食べてへんのよ。」
「ギルドの食堂に行きませんか?もちろんチーム全員の食費は俺達が出します。ついでにデザートも良いですよ!」
「話がわかってるなぁ。おっしゃ、みんなー!朝飯にすんでー!」
「「おー!!」」
と言う事で、鳥のお姉さんのチーム、5人分の食費を払った。5人分って言っても、みんなよく食べるので、タダと言う事もあり、結局12人前だ。ちょっとお高いデザートも、食べていたので、結局銀貨6枚になってしまった。見てるこっちが、胸やけするよ!
「はー。よう食べた。食べたら眠く・・・」
「ちょっと!話をして下さい!」
「冗談やがな。きちんと話たるって。」
彼女は椅子に座りなおして、俺達だけに聞こえる様な小さな声で話し始めた。
「見つけたんは、1カ月くらい前や。偵察の為にちょこっと飛んどったんよ。場所は、神の手の“ラマン”の中指やね。それの、王都側の端っこの上の方よ。岩でできてるはずなんだけど、急にそこだけ砂に代わって、穴があいたのよ。たまげたわー!そんで、ちょこっと覗こうと思って近づいたら、砂がウワー!って私の方に伸びて来たのよ!もう全速力で逃げたわ。たぶんダンジョンに引きずりこまれるわよ、あれ。試しに、近くでネズミを捕まえて穴の方に放り投げたら、案の定砂に呑みこまれちゃったのよ。しばらく見てたけど、ネズミは戻ってこなかったわ。あそこに挑むんなら、かなりの装備と覚悟が必要ね。」
「それだけ分かれば、十分です。有難うございました。」
俺達は一度宿に戻って、作戦会議を立てる事にした。
「今回のテーマは土っぽいな。」
「そうだな。明らかに土だろう。」
「今回??」
「そうずですか、まだ話してなかったね。俺達は、人族の国にできた、新しいダンジョンをクリアしたんだ。そこのテーマが水だったんだよ。」
「ええ!!!ダンジョン攻略者なんですか!?道理で、強いは。しかもちょっと変わった武器を持ってらっしゃいますし、タダものでは無いとは思ってたんです。」
「それで、今回が土って事。一般に土って何ができるんだろう?ゴーレムとか、土人形?」
「うーん。罠の定番なら落とし穴ですよね。一応土系ですかね?」
「あとは、泥団子だろ!昔兄貴とやったのが懐かしいぜ。まあ、威力は比べ物にならないだろうけど。」
ひとしきり出てくるであろう、土関係の敵や罠を考えて、対応策を考えた。本当に土は色々できそうで、正直めんどくさい。
「ひとしきりアイデアが出たから、後は、買い出しに行かないとな。」
「問題は食糧だよな。トレーネ湖みたいに、蟹の魔獣みたいに、食える奴が出てくれば良いんだけどな。」
「前と同様奈良、途中で出て来れないからな。どうにか調達したいよな。」
「でしたら、空間拡張した道具袋買いませんか?かなり高額ですけど、皆さんなら買えますよ。」
「おぉ!!すっかり忘れてたぜ。」
「そんなのあるんだ?」
「空間魔法が付与されてて、見た目は小さいんだが、中はかなり広いんだ。持ち主の絶対魔力量に比例するらしいぞ。テルがもてば、かなり持てるんじゃないか?」
「なるほど。それじゃぁさっそく買いに行こう。」
話あっていて、時間の経過を忘れていたが、いつしか昼になっていたようだ。俺達は屋台で軽く昼食をとってから、魔法道具屋にやってきた。魔法道具屋も、地下にあるようで、俺達は入口の階段を下りて入って行った。
「空間拡張された魔法の袋が欲しいんですが。」
「・・・兄ちゃん達が?めちゃくちゃ高いぞ。冷やかしなら帰ってくれ。」
「大丈夫です。お金ならありますから。」
「ほんとだろうな?うちには1つしかないから、文句言うんじゃねえぞ。」
見た目はミーアキャットの様で可愛らしいが、男気のある店主のおじさんが、店の奥から厳重に施錠してある木箱を抱えて来た。よほど貴重なのだろう。店主の奥さんや、従業員も近づいてきて、俺達が持ち逃げ出来ないように取り囲んだ。
「これがそうだ。証拠に、この長い槍を入れてみるぞ。」
出されたのは、ウエストポーチ程度の大きさで、口は紐でとじられていた。紐の両端に付いている宝石と、布自体に魔法がかかって、全体で効果を発揮しているようだ。
おじさんがとりだした、約2mの槍がどんどん袋の中に消えていった。マジックを見ているようで、思わず声が出てしまう。
「「「おぉぉ!!!」」」
ウラガやグラス以外にも、遠巻きで見ている冒険者も興味津津のようで、驚きの声が上がっていた。
「どうだ?ちゃんと使えるだろ?そんじゃぁ、値段だが、金貨25枚だ。払えるのか?」
「あれ?意外とお安いですね。ではこちらのギルド証でお支払いします。」
俺がそんな軽い感じで応えると、ウラガ以外の全員が驚いていた。だって、俺達の財産は、それくらいじゃびくともしないのですよ。日本円で約2500万円だけどね。本当は白金貨を要求されるかと思ったくらいですもん。安く感じちゃいますよ。
「あんたら若いのに、かなり金持ちなんだな。顔色が悪くならなかったやつなんて、初めて見たぜ。」
ミーアキャットのおじさんはそう言いながら、レジで精算していた。ちゃんと払えたようだ。
「他に買い物があるので、店内を回らせて貰いますね。」
「あぁ。うちの女房が案内してくれる。おい。かあちゃん。頼んだぞ。」
「ではお客様、まいりましょうか。」
ミーアキャットの夫妻はアイコンタクトで意思疎通を行っていた。きっと上客だから逃すなって事だろう。俺も色々買いたいから、まけてもらおう。それくらいいよね。
そして、俺達は色々と買いあさった。土、火、風の魔法結晶。ポーション30本。薬草30束。面白い商品では、フライの羽や、掘削の付与が付いたスコップなど、とにかくダンジョンで使いそうなのは、あらかた買い込んだ。
「合計で、金貨1枚と銀貨16枚だな。銅貨以下は、まけてやる。」
「もうちょっと安くなりません?」
「これでもまけてるって。まぁ、こんかいたくさん買ってくれたからな。金貨1枚と銀貨15枚でどうだ?」
「有難うございます。ではこのギルド証で。荷物は全部、魔法の袋に入れておいて下さい。」
「はいよ。お買い上げ有難うございました。」
「「有難うございました。」」
店から出る頃には、従業員全員から見送りをされてしまった。めちゃくちゃ恥ずかしい。デパートで見送られるだけども、恥ずかしかったくらいなのに。本当にやめてほしい。
その後は、食料品屋を梯子して、保存のきく乾燥パンや干し肉、乾かした野菜をかっていく。一つのお店では足りなかったので、3件位回って、合計で2カ月分の食料を買い込んだ。少し多い気がするが、飢えるよりましだ。ダンジョンはお腹が減るしね。
「ところで、昼間は王都の憲兵が道作ってるんだろ?どうやって入るんだ?」
「そこは、秘密兵器を使うんだよ。だからこれから、ちょっと王の元へ行くつもりだ。」
俺の発言に、ウラガとグラスは心底驚いていた。普通の人が王と会うなんて、出来るはずが無いと。だがウラガは俺の作戦に気付いたようで、悪い笑顔を向けてきた。そう。あれを使う時がさっそくやて来たのだ。俺達は2区行きの馬車に乗って、笑いあった。ちなみにグラスは、他人の振りをしていた。はずかしいのかね?
■ステータス
テル・キサラギ 人族 男 18歳 レベル36→37
体力: 469→476 魔力: 465→501 筋力: 344→351
速度: 235→239 耐性: 111→112 魔耐: 108→110
召喚獣:氷の精霊【ユキ】:【水神の加護】
神の秘宝:水の一振り
スキル:【オール・フォー・ソード】【採取2】【伐採1】【鑑定2】【スラッシュ2】【二段突き2】【地形把握2】【周辺把握2】【ステップ3】【遠見2】【夜目2】【交渉2】【鷹の目2】【甲羅割り1】【兜割り1】【魔力回復1】【魔力上昇1】【投擲2】【剣戟2】【水魔法2】【受け流し1】【カウンター1】【構造把握2】【はやぶさ切り2】【回転切り1】【生活魔法1】【解析1】【隠密1】【射撃2】
■ステータス
ウラガーノ・インヴェルノ 人族 男 19歳 レベル35→36
体力: 621→629 魔力: 369→373 筋力:411→415
速度: 132→135 耐性: 188→192 魔耐:191→195
召喚獣:水の聖獣【シズク】:【水神の加護】
スキル:【ハイシールド】【交渉1】【鑑定2】【構造把握2】【解析2】【ステップ2】【水魔法2】【大盾2】【バッシュ2】【受け流し2】【カウンター1】【周辺把握2】【生活魔法1】【魔力回復1】【魔力上昇1】【空間把握1】
■ステータス
グラス・フルール 獣人族 女 14歳 レベル17→19
体力:281→301 魔力:62→66 筋力:180→188
速度:411→430 耐性:52→56 魔耐:52→56
スキル:【竜力】【採取1】【伐採1】【周辺把握2】【地形把握2】【遠目2】【夜目2】【鷹の目2】【周辺把握1→2】【ステップ2】【地形把握1→2】
ダンジョンにさっさと入りたかったのに!
お買いものメインじゃん!もっとペースを上げよう。
テル君は、なにやら思いついたようですね。怖いよ。
((;゜Д゜)ガクガクブルブル
次回は、王様とダンジョンの予定