色々、戦い方の参考にしなきゃな。
王都での買い物です。
*地図があります。参考にして頂ければ、幸いです。
「ドラ○もん??誰かの名前ですか?」
「あ!!失礼しました。知り合いに凄く似ていたもので。」
受付の奥から出てきたのは、青いアザラシの女性だった。丸っこい身体に、綺麗な青色と白色が某ネコ型そっくりだ。
「えーーと。紹介文を貰っているんですが。」
「拝見しますね―。おー!お兄ちゃんのですね!お兄ちゃん、元気にしてましたか?」
「ひつじの方なら、元気でしたよ。申し訳ありませんが、種族が違うように見えるんですが御兄弟ですか?」
「兄弟では無くて、私は近所の子なんです。今はお手伝いで来てるんですよ。」
「なるほど。それで、男性2人と女性1人、馬一頭と馬車一つですけど、泊まれますかね?」
「はい。4人部屋で良いですか?二人部屋の料金で構わないと、手紙にはありますので、馬と合わせて、銀貨4枚ですね。」
「数日宿泊する予定ですので、まずは10日間でお願いします。」
「食事と身体用の水はいりますか?」
「水は大丈夫です。食事はその都度でもいいですか?」
「分かりました。では、10日分で銀貨40枚頂きます。」
ウラガに預けてある、チーム用の財布からお金を支払った。
「ところで、この王都にははじめて来たんです。詳しく教えてもらっていいですか?」
「分かりました。では、この地図をどうぞ。」
そう言って手渡されたのは、必要最低限が書かれた地図だった。色々と興味深い名前の場所があるので、聞いてみる。
「この王都“ロア”には、食事街道があります。西側の大通りがそうなんですが、色々な料理が食べられます。老舗から新店舗。肉料理や魚料理、そして甘いものまで。中には、ちょっとクセの強い料理もあります。」
「自分達が出店することもできます?」
「もちろんです。1日だけの貸し屋台もありますので、出展される際は御連絡下さい。馴染みの管理者を紹介します。」
さすが食事に力を入れている国だけの事はある。なかなか面白そうだ。
「ここは、闘技場ですね。獣人国では武力を重要視してます。ですので王以外では、軍務長が権力があり、4年に一度の武力の祭典で選ばれます。武力といっても、指揮能力もしんさがあるので、筋肉バカでは無理ですよ。」
意外と、毒舌なアザラシのお姉さんだ。さらりと筋肉バカとか言っちゃうんだもん。
「あとは、ビーチとか船着き場ですかね。ビーチは砂浜があって、夏場たくさんの人がいますが、今は冬なのでデートスポットですね。船着き場は、神海に漁に行く人や、王が神の島に行く用の船等が置いてあります。」
「へーー!王の船ですか。見てみたいですね。」
「観光名所になってますので、遠目ですがご覧になれますよ。」
「あと、お金持ちや貴族の街の2区、行政機関と王城がある1区です。まぁこんな感じですね。あ。そろそろ夕食の時間です。食堂にどうぞ。」
人族の国と同様で、1区、2区、3区と別れているようだ。全国共通なのかな?そして夕食かぁ。楽しみだ。
出てきたのは、シャケに良く似た味わいの魚だ。甘酢をかけてあって、キノコや野菜が入っている。他にパンとスープだ。魚の粗で取った出汁を使ってあったり、パンも人族より柔らかい気がする。アザラシの子が、昼間に取りに行ったらしい。泳ぎが得意なんだって。
翌日は雨だった。せっかくの王都観光の初日なのに。それでも、さっそくグラスのプレゼントを買いに武器屋に行いった。人族同様に、30日間で銀貨1枚の街馬車乗り放題チケット買っているので、街の移動も楽々だ。
獣人族の一番大きいお店は、地下にあった。地下4階まである。各階を支えるための柱が何本か立っているので、作りは頑丈だ。
「すみません。この子に合う、体術に使える武器や防具を探しているのですが。」
「それでしたら、地下4階にあります。一緒に行きましょう。」
案内してくれたのは、蟻っぽい獣人の女性だ。彼女はスタスタと歩いて、階段を下りていったので、慌てて追いかけた。
「こちらの棚にあるのが、そうです。ですが、女性用ですので数は少なくなってますね。」
「やっぱりそうなんですね。」
「最近では、女性の体術も減ってきましたね。弓や矛を使ったり、剣を持つ人が増えました。」
俺達は、棚に並べられた装備を見ていく。【解析】も併用するが、俺にはあまり違いが分からなかった。グラスの速さを活かすためには、軽いものが良いんだけどなぁ。すると、ウラガが一つの装備の前で、止まっていた。
「テル!グラス!俺、これが良いと思う。なんか、ビビッときた。」
そう言われて俺も【鑑定】をしてみる。
■爪乙女 攻撃力60 耐久10/10付与:筋力上昇・硬化
付与が二つも付いている!硬化の付与のおかげで、グラスの爪も活かせるだろう。若干攻撃力が低いが、何度も攻撃を加えるグラスには、そんなに短所には感じられない。
「グラス。着けてみなよ。試着、良いですか?」
「もちろんです。こちらに試着室がありますので、どうぞ。」
蟻の店員さんに連れられて、グラスはとことこと試着室に入って行った。
「ところで、ウラガ。良いの見つけたな。」
「なんかさぁ。こう、訴えかけられる感じがしたんだ。」
「ふーん。ウラガの固有能力の影響か?分類上は、盾ってことなのか?」
「どうかな?こんなの初めてだしなぁ。」
ウラガの固有能力【ハイシールド】も、まだまだ分からないな。そんな話をしている間に、グラスの着替えも終わったようだ。カーテンが開けられて現れたグラスは、なんだか恥ずかしそうだ。
「どうでしょうか?変じゃないですか?」
「いやいやとっても似合ってるよ。」
装備において、似合ってるとは褒め言葉なのだろうか?それでも、グラスの恰好はよく似合っていた。
爪が出し入れできる形の、肘まである小手。蹴り技が使えるように、膝から足首まである脚装備。脚装備は骨に沿うように、盾に尖った形になっている。あれで蹴られたら、切れてしまいそうなほど、かなり鋭利だ。
俺がそんな風にグラスの装備を眺めている間に、ウラガはグラスと楽しくお喋りしていた。褒めたり、動きやすさや、違和感の無さなどを聞いている。二人とも楽しそうだ。チッ。
「私、これが気に入りました!」
グラスのその一言で、俺達は購入を決めた。それを一階にあるレジへと持っていく。
「金貨2枚と銀貨50枚のお支払になります。」
「ええ!!」
グラスはその金額の高さに驚いていた。ちゃんと値札も付いてたのに、見なかったようだ。
「こんな高価なのは頂けません!キャンセルして下さい」
「高価か?付与が二つも付いてて、重くも無いんだろ?安い買い物だよ。」
「テルの言うとおりだ。安物買っても、戦いで役に立たなかったら意味がないだろ?」
「うう。でもぉ・・・」
「ここは、素直に喜んでおけ。なにせプレゼントなんだから。喜んでくれた方が俺達も嬉しいよ。」
「分かりました。テルさん。ウラガさん。有難うございます。」
そうして、俺達は店主のおじさんにお金を支払った。途中、おじさんも買うのか?買わないのか?みたいに険悪な表情を抱いていたのは、きっと気のせいだろう。
グラスは、買った装備を大事そうに抱えて、満面の笑みを浮かべていた。俺達は買い物が終わった足で、次の目的地であるギルドへと向かった。
獣人のギルドはやはり口の形だったが、かなり大きく長方形型だった。ギルドと特有の赤い扉を押しあけて、俺達は依頼書の張ってある壁へと向かった。
「まずは、情報収集をしながら仕事をしよう。修行もできるし金も稼げる。一石三鳥だな」
「一石三鳥?」
「あーー。本当は一石二鳥なんだけど。鳥を仕留めるために、1つの石を投げると、二羽の鳥を仕留めたっていう感じだ。一回の行動で、複数の効果があるって意味だよ。」
「へー。面白い良い方だな。」
もう、いちいち四字熟語の説明が面倒だ。今まで使わないようにしてたのに、ポロっと出ると、ウラガがつっこんでくる。後ろでは、「博識だなぁ」という顔で、グラスが見てくるし。何より話が進まない。
「これとかどうだ?王都周辺の魔獣討伐の依頼だ。」
「そうだな。複数グループが参加するから、情報は得られそうだな。」
「でも、最初の仕事がギルドランク金以上ですか。銀とかの方が良くないですか?」
「でも、銀はあんまり良いの無いしなぁ。高ランクの人の戦い方っていうのも、見てみたいじゃないか。」
「そうですね。では、これにしましょう。」
俺達は、壁の紙をはがして受付へと持って行った。驚いた事に、そこには、またドラ○もんがいた。
「え!?宿の女の子?」
「おや。娘に会ったのかい?」
「ええ!彼女のお母様ですか!?そっくりですね。間違えてしまいました。」
「ふふふ。いーんだよ。あの宿に泊まった人には、よく間違われるからね。おっと、自己紹介がまだだったね。私はブル・フォクってんだ。宜しくね。」
「これは御丁寧に。俺はテルです。こっちがウラガーノ、そしてグラスです。ところで、この依頼を受けたいのですが。」
「はいよ。それじゃあ受付するから、ギルド証を見せておくれ。」
俺達はギルド証を見せて、きちんとギルドランクが金だと証明した。そして依頼の説明をしてくれた。
■依頼内容:王都周辺の魔獣退治。凶暴化しているので、注意するように。正午に南門集合。定員5チーム。馬車はこちらで用意あり。報酬・銀貨10枚。終了報告はロワのギルドまで。ロワのギルド印
もうしばらくすると正午になるので、俺達は早めの昼食をとって、ギルドの南にある南門まで向かった。
そこには既に、王都の警備隊だろう獣人が待ち構えていた。
「ギルドの依頼書を見て来ました。3人のチームです。宜しくお願いします。」
「おお。結構早い到着だな。集まり次第出発するから、ここで待っててくれ。」
まだ他の冒険者は来ていないようだ。俺達は装備の点検をしながら待つことにした。そして、正午の鐘が鳴るころには、全員が集まって、いよいよ馬車で移動する。
「色々、戦い方の参考にしなきゃな。」
■ステータス
テル・キサラギ 人族 男 18歳 レベル36
体力: 469 魔力: 465 筋力: 344
速度: 231→235 耐性: 111 魔耐: 108
召喚獣:氷の精霊【ユキ】:【水神の加護】
神の秘宝:水の一振り
スキル:【オール・フォー・ソード】【採取2】【伐採1】【鑑定2】【スラッシュ2】【二段突き2】【地形把握2】【周辺把握2】【ステップ3】【遠見2】【夜目2】【交渉2】【鷹の目2】【甲羅割り1】【兜割り1】【魔力回復1】【魔力上昇1】【投擲2】【剣戟2】【水魔法2】【受け流し1】【カウンター1】【構造把握2】【はやぶさ切り1→2】【回転切り1】【生活魔法1】【解析1】【隠密1】【射撃2】
■ステータス
ウラガーノ・インヴェルノ 人族 男 19歳 レベル35
体力: 621 魔力: 369 筋力: 411
速度: 132 耐性: 188 魔耐191
召喚獣:水の聖獣【シズク】:【水神の加護】
スキル:【ハイシールド】【交渉1】【鑑定2】【構造把握2】【解析2】【ステップ2】【水魔法2】【大盾2】【バッシュ2】【受け流し2】【カウンター1】【周辺把握2】【生活魔法1】【魔力回復1】【魔力上昇1】【空間把握1】
■ステータス
グラス・フルール 獣人族 女 14歳 レベル17
体力:281 魔力:62 筋力:180
速度:411 耐性:52 魔耐:52
スキル:【竜力】【採取1】【伐採1】【周辺把握2】【地形把握2】【遠目2】【夜目2】【鷹の目2】【周辺把握1】【ステップ1→2】【地形把握1】
はい!プレゼントを買いました。
オーダーメイドか迷いましたが、戦いを早めるために、買う事にしました。
テル君は、あんまり褒めるのが得意じゃないのかも。ダメやね。
へ(´〜`)「
次回は、戦いの勉強の予定。