表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
58/214

知らないって怖いですね。

村でのお話です。

ナゼコウナッタ?


*お知らせ*

10月からお仕事が始まるので、更新頻度が落ちるかもしれません。できるだけ毎日更新しますが、予告なくお休みします。申し訳ありません。

 昼寝のつもりが、がっつり眠ってしまった。時間的には、もうすぐ夜が明けるころだろう。隣では、ウラガがグースカ眠っている。俺はウラガを起こさないように、そっと部屋から出ていく。


「あ、テル様。おはようございます。どうかなさいました?」


 薄暗い廊下でいきなり声をかけられて、俺はビクっとしてしまう。振り返ると、宿の人が小首を傾げていた。宿の朝は早いと言うが、こんな時間に起きてるんだなぁ。


「ちょっと目が覚めてしまって。もう一度寝るのもなんですし、村を見て回ろうかと。」

「そうでしたか。では、とっておきの場所を教えましょう。」


 俺は、村の北にある少しだけ小高い丘を教えてもらった。そこから見える朝日が素晴らしいらしい。


 宿から一歩外へ出ると、めちゃくちゃ寒かった。本当にあっという間に冬が来るみたいだ。気温は、おそらく10度くらいだろう。風が吹くともっと寒く感じる。


 俺は一度馬車へと寄って、仕舞ってあった自作のマントを羽織った。ユキがふよふよ近づいてきたので、散歩に行くかと尋ねると、縦に動いた。俺はユキを肩の上に乗せて、北の丘へと向かう。


 途中で村の様子も見るが、突風で飛んで来ていた葉っぱや木々は、きれいになくなっていた。完全に一日で掃除し終わったようだ。チラホラと、獣人のお母さん達が家の前を掃いている姿が見える。母の朝も早いのだ。頭が下がります。


 村から北へ500mほど行ったところに、本当にちょっとだけ小高い丘があった。丘の頂上についたが、夜明けにはもうちょっと時間があるので、星でも見る事にする。そしてユキに話しかけた。


「なぁユキ。どうやったら強くなれるのかな?最低限、仲間を守れる力が欲しいな。」

「キュー。」

「ははは。ユキにも分かんないよな。でも、俺は強くなってみせるよ。ユキも一緒に頑張ってくれるか?」

「キュ!!」

「頼むぞ。ユキとは一番長い付き合いだもんな。もっと連携技とか考えような。」


 そんな決意を語っている間に、空がだんだんと白み始めた。俺は起き上がって、東の方を見る。すると、遠くに広がる草原が、徐々に太陽の光で鮮やかな緑を、東の方から横一線にこちらへと照らされていく。夜露に濡れた草はキラキラと輝き、風に揺れる姿はただただ美しかった。


 そして、俺がいる丘にも太陽の光が照らし、さらに西へと流れていく。朝と夜の境界線が駆け抜けたようだ。西には王都があるはずだが、遠すぎてまだ見えない。しかしタダの草原ではなくなっていて、少しばかり背が高いように見える。人族の国で聞いた、サトウキビ畑かもしれない。楽しみだ。


そして北には、遠くに広大な海が広がっていた。南から風が吹いているので、潮の臭いはしないが、明らかに海だ。青い水平線が球状にまがっている。たぶんあれが“神海”だろう。あの先に、神がいると言われる島があるはずだ。俺をこの世界に連れて来てくれた、未だに顔も見た事のない神様。 


「いつか挨拶に行かないとな。」


 そう決意していると、村の方から夜明けの鐘が聞こえてきたので、俺は絶景をもう一度見渡してから小走りで宿へと戻った。宿に入ると、ちょうどウラガが起きてきたところだった。


「おはようテル。どこいってたんだ?」

「早くに目が覚めてね。宿の人に聞いた北の丘で朝日を見て来たんだ。」

「なんだよぉ。そういうのは誘えよな。」

「ごめんごめん。気持ち良さそうに寝てたから。次は絶対に誘うよ。」

「絶対だぞ。」


 そう言ってウラガは、洗面台へと顔を洗いに行った。その足で、食堂へと移動する。俺は、宿の人に絶景の御礼を言ってから、朝食を頂いた。


「このあと、グラスの容体を見に行きたいんだ。」

「そうだな。早けりゃ起きてるかもだしな。」


 そうして俺達は、グラスが治療を受けているギルドへとやってきた。ギルド職員さんに案内されて、奥にある治療部屋へと入って行く。


 ちなみに獣人のギルド会館は、口の漢字状の建物だ。口の角から入って、左回りに仕事の受付、治療や会議用部屋、来客用や職員用仮眠室、そして食堂だ。高床式の木造なので、二階はない。中庭は、冒険者の訓練場だ。


 俺がグラスの病室をノックすると、中から返事があった。中には、教会のシスターっぽい服装の女性が椅子に腰かけていた。


「まぁ!まぁまぁ。もしかして、昨日活躍されたテルさんですか?ウラガさんやグラスさん同様、お若いんですね。」

「はい。テル・キサラギと言います。失礼ですが、人族のシスターに御親戚が?」

「まぁ!よくわかりましたね。私の曽祖父の父が、人族に流れたんです。一族揃って、教会に使えてるんですよ。」

「やっぱり。」


とりあえず、獣人族と人族の境界のシスターは、親戚らしい。怖いよ。


「ところで、グラスの容体はどうですか?」

「ちょうどいいタイミングです。つい先ほど目が覚めたんですよ。脅威的な回復速度です。おそらく彼女の種族が関係しているのでしょう。」

「目が覚めたんですね!よかった。それと、彼女の種族は秘密にしてくださいね。お願いします」

「もちろんですとも。神に誓いますわ。」


 そして、グラスの寝かされている、一番奥のベッドへと案内された。前世の病院の様に、カーテンで仕切られている。カーテンといっても、凄く分厚いのだけど。


「「グラス。大丈夫か?」」

「あ!テルさんにウラガさん。おはようございます。」

「「あ。おはようございます」」


 俺とウラガは綺麗にハモった。なんか恥ずかしい。


「で、気分はどうだ?」

「そうですねー。ちょっと疲れた感じと頭痛がしますが、シスターの話だと昼には動けるだろうと言われています。」

「そうか。魔力不足と体力不足だそうだからな。安静が一番だろう。」

「そうらしいですね。でも自分でもびっくりです。あんなに翼が巨大化するなんて。」

「意識してやった訳じゃないんだな。」

「そうなんです。蜂に刺されると思った時、死にたくないって強く思ったら、ああなってしまって。」

「そうか。まぁなにはともあれ、顔色も良さそうだし、安心したよ。村守さんが、挨拶に来たいって言ってたけど、昼過ぎでいいか?」

「そうですね。私は良いんですけど、病室はちょっと気が引けます。」

「じゃぁ、ギルドで部屋を借りるとしよう。俺達はそろそろお暇する。また昼過ぎにな。」

「はい。有難うございました。」


 シスターさんに挨拶をして、俺達は病室から出た。そのままギルドの受付に行って、部屋の予約をした。俺達の為に、一部屋をずっとキープしてあったそうだ。小市民基質なのか、なんだか申し訳なく感じてしまう。


 俺達がギルドを出る時に、ちょうど村守さん達と出会った。ヒツジのおじさんもいる。


「おはようございます。先ほど、グラスが目覚めたそうですが、まだ本調子ではないので、昼食後でしたら、お会いできるそうです。」

「それは良かった。取りあえず一安心ですな。ではまた昼過ぎに窺います。」


 そういうと村守さん達は、帰って行った。グラスを本当に心配していたのか、かなり安堵した顔をしていた。良い人だ。


「昼まで時間ができたな。ウラガはどうする?」

「そうだなぁ。修行するかな。」

「じゃあ、ギルドの中庭を借りよう。宿にいったん帰るのも、面倒だしな。」


俺達はもう一度ギルドへと入って、中庭の利用を申請した。そして、木剣と盾を借りて、中庭へと移動した。


「ウラガ。俺と対戦しながら、修行しないか?」

「いいぞ!俺、【カウンター】をレベルアップしたかったんだ。」

「奇遇だな。俺も【受け流し】と【カウンター】をレベルアップしたかったんだ。」


 そうして、俺達は互いに剣と盾で戦った。すでにレベル1はあるので、相手に怪我をさせない程度の力で、挑む。ウラガはさすがに防御が得意なだけあって、俺のカウンターでさえ防がれる。なかなか強い。そうやって俺達は昼まで汗を流すしたのだった。


「この度は我らの村を救って頂き、皆様、本当に有難うございました。」


 ひつじのおっちゃんがそう言って、俺達3人の前で頭を下げた。後ろに控えている、他の村守さん達も、一斉に頭を下げた。


 昼過ぎに、約束通りギルドの個室で、俺達は村守さんと会っているのだ。そして、開口一番御礼を言われる。


「いえ。そんなに畏まらないでください。私達に出来る事をしただけですし。そんなに大したことでは。」

「そんな事ありません!!下手をしたら、この村は壊滅していたはずです。」

「え。そんな大事だったんですか?」

「はい。あの蜂の魔獣は、例年5匹ほど来るのですが、その速さと昆虫特有の硬さで、例年街に少なくない被害を与えていたのです。それが、今年は合計で32匹。ですので、壊滅は必至だったのです。」

「そんな危ない状態だったなんて。知らないって怖いですね。」


それから、色々と話を聞いた。例年の蜂の被害の話。今回の被害の話。蜂がどういう存在か。南の“神の手”の話。魔獣が異常発生している話。そして話は、俺達への御礼の話に移っていく。


■ステータス

テル・キサラギ 人族 男 18歳 レベル36

体力: 469 魔力: 465 筋力: 344

速度: 231→235 耐性: 111 魔耐: 108

召喚獣:氷の精霊【ユキ】:【水神の加護】

神の秘宝:水の一振り

スキル:【オール・フォー・ソード】【採取2】【伐採1】【鑑定2】【スラッシュ2】【二段突き2】【地形把握2】【周辺把握2】【ステップ3】【遠見2】【夜目2】【交渉2】【鷹の目2】【甲羅割り1】【兜割り1】【魔力回復1】【魔力上昇1】【投擲2】【剣戟2】【水魔法2】【受け流し1】【カウンター1】【構造把握2】【はやぶさ切り1→2】【回転切り1】【生活魔法1】【解析1】【隠密1】【射撃2】


■ステータス

ウラガーノ・インヴェルノ 人族 男 19歳 レベル35

体力: 621 魔力: 369 筋力: 411

速度: 132 耐性: 188 魔耐191

召喚獣:水の聖獣【シズク】:【水神の加護】

スキル:【ハイシールド】【交渉1】【鑑定2】【構造把握2】【解析2】【ステップ2】【水魔法2】【大盾2】【バッシュ2】【受け流し2】【カウンター1】【周辺把握2】【生活魔法1】【魔力回復1】【魔力上昇1】【空間把握1】


■ステータス

グラス・フルール 獣人族 女 14歳 レベル15→16

体力:256→267 魔力:56→60 筋力:169→175

速度:391→401 耐性:48→50 魔耐:48→50

スキル:【竜力】【採取1】【伐採1】【周辺把握2】【地形把握2】【遠目2】【夜目2】【鷹の目2】【周辺把握1】【ステップ1】【地形把握1】


旅まで行かなかった。ナゼダ?

最初の散歩の話は、予定に無かったのに、書き始めたら、なぜか入ってきました。フシギー。

テル君は事の深刻さに今気付いたようです。危なかったんですねー。

Σ(゜ロ゜;)

次回こそは、旅に出る予定。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ