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俺も、もっと強くならなきゃな。

蜂との戦いです。

出来るだけ、グロは省きました。

  一際強い風が吹くと共に、20匹以上の巨大蜂が飛ばされてきた。ブーンという蜂特有の羽音が不気味さを演出している。


  蜂は体長40cm程度で、カナブンよりは小さいものの、尻から見える針は鉄パイプかと思う程に極太だ。グラスによると、顎も強力なので、かまれないように注意が必要らしい。


「ウラガは魔法使いの猫ばあさんを守れ!グラス。俺と一緒に来い!数が多いから周りに注意しろよ。」

「「了解!」」


ウラガは猫ばあさんへと駆け寄り、風避けの壁を利用してしっかりと防御に徹している。俺はユキと共に、氷のナイフを連射し続けた。ユキも二本出せるので、俺と合わせて1秒で合計四本の氷のナイフが飛んでいく。ものの数秒で蜂は目前に到着したが、何体かは羽を傷付けることに成功し、地面へと転げ落ちていく。


 猫ばあさんも、【炎魔法】の火球や火壁で対応している。村守さん達も、剣と盾を構えて、しっかりと攻撃態勢になっている。


「グラス行くぞ!」

「はい!!」


 俺とグラスは【ステップ】で的に接近して、剣を振り回した。しかし蜂の素早さが高いのか、かすり傷ぐらいで避けられてしまう。


「テルさん。私ではかすりもしません。」

「分かった!グラスは地面に落ちてる蜂を狙え。俺も近くにいるが、周りも警戒しろよ。」


 そう言って、俺達は氷のナイフで飛べなくなった蜂へと駆け寄った。蜂は威嚇なのか、あごをカチカチ鳴らしているが、身動きできないので、グラスに切り倒されていく。


 俺は、飛んでいる蜂目掛けて【はやぶさ切り】を放った。【スラッシュ】等は、一瞬だが力をめる動作があるので、どうしても動きの速い蜂に回避されるのだ。しかし【はやぶさ切り】は攻撃力は弱いが溜めの時間が無いので、【ステップ】と組み合わせて流れるように切り裂けるのだ。


 俺の判断は正しかったようで、どんどん蜂の胴体や羽を切りつけていく。そして飛べなくなった蜂はグラスが処理する。なかなかいい流れができてきた。


 周りの蜂を倒し終わったので、【周辺把握2】で街へと飛んで行った蜂を探す。すると5匹が街の中央へと侵入していた。期待していた冒険者の援護も、あまり効果が無いようだ。素早い蜂の回避に、攻撃が当たっていない。


「俺は街に行く。グラスはウラガと合流。無理しない範囲で、村守さんに加勢!」

「はい!お気を付けて!」


 俺達は【ステップ】でそれぞれの目的地へと走って行く。街の仲は、戸や窓がしっかり閉められているので、住人への被害は皆無だ。だが冒険者と村守さんが、数名怪我をしている。俺は街の中央へとやってきて、近くの蜂から【ステップ3】と【はやぶさ切り1】で攻撃した。目的は、羽の破壊だ。


「後は頼んだ!槍とかで、遠くから刺せ!」


 近くで戦っていた冒険者にそう声をかけて、残り4匹も同様に刈っていく。散らばっていた蜂を仕留め終えて、街の中が一段落したので、俺は【鷹の目2】でグラス達の様子を見る。そちらも無事に終わったようだ。俺達には怪我一つない。


「ふぅ。一段落かな?」


 俺はそう思って、【鷹の目2】で敵がやってきた南を再び偵察する。すると、街から500m程の所に、第二陣の蜂10匹が飛んでくるところが見えた。


「ヤバい!!ウラガ!グラス!!増援だ!!」


 俺は【ステップ3】で街の南側、ウラガ達のいる方へ走りながら叫ぶ。しかしさすがに距離があるので声は届かかった。


 【周辺把握2】を併用すると、ウラガも異変に気付いたようで、何やら騒いでいる様な雰囲気が伝わってくる。しかしグラスは、疲労からか身体が重そうだ。


 そして、俺がウラガ達に合流する直前に、蜂がグラスと村守さん達へと群がる光景が見えた。ウラガも駆けつけようとしていたが、間に合わなかった。


「「グラスー!!!」」


 俺達がそう叫ぶのと同時に、蜂達の攻撃が開始された。尻の毒針や、強力な顎でグラス達に襲いかかる。俺達は絶望を想像したが、その一瞬後には、巨大な濃紺色の翼が現れていた。


 翼は片方1.5mはありそうで全長3m程だ。その翼が蜂達の攻撃を防いでいた。蜂達はさらに翼から攻撃を受けて、周りに弾き飛ばされていた。


 そして見晴らしは良くなったそこには、グラスが佇んでいた。銀色の瞳が、大きく見開かれていて、若干血走っている。


 俺達の事を見つけたグラスは、フッと笑みを浮かべると、巨大な翼はみるみる縮んでいきグラスの背中に隠れてしまう。そしてグラスは、その場所に倒れてしまった。俺達は急いでグラスに近付いて、容体を確認するが、気絶しているだけだった。


「ウラガ、皆を守ってくれ。俺が片づける!」

「わかった!行って来い!」


 グラスが頑張ったので、俺も少し無理をする事にした。俺は一瞬力を溜めると、【ステップ3】と【はやぶさ切り1】と【スラッシュ2】を併用して、蜂達へと切りかかった。


 グラスが弾き飛ばしたので、起き上がろうとしていた蜂達へと、俺は流れる様に切りかかる。次々と蜂達を一刀両断にしていく。30秒ほどで、後からやってきた10匹の蜂を退治する事ができた。俺は全身、返り血で汚れてしまった。


 俺は、さらなる敵の増援がないか【鷹の目2】で確認するが、直径2kmには敵はいないようだ。


「2km以内には、敵なし。」


 俺はそう呟くと、地面に膝をたてて倒れた。さすがにスキル3つを併用し続けるのは、疲れた。そんな俺を心配して、ウラガが駆け寄ってきた。


「テル!大丈夫か?」

「ちょっと疲れた。ウラガ。あとは頼む。」

「任せろ!おまえは少し休め。ユキ!テルを頼むぞ。」

「キュ!」


 俺は念のために、ユキに魔力を出来るだけ渡しておく。何かあったら、ユキに冷気の壁を張ってもらって、対応するつもりだ。


 ウラガは、グラスをギルドの救護部屋へと運んで行った。実はこの村には、ギルドがあったらしい。気付かなかった。村の中を守った冒険者は、大半がギルドにいたらしいと、後になって教えてもらった。


 俺は少し地面で仰向けになっていたが、村守のヒツジっぽいお兄さんに宿へと運ばれた。御姫様だっこだ。お姉さんがよかったなぁ。宿に着いた俺は、ベッドにタオルを敷きつめて、その上に寝かされた。


しばらくしてから、ウラガが帰ってきた。


「テル。大丈夫か?」

「あぁ。疲れただけだよ。グラスは無事か?」

「大丈夫みたいだ。体力と魔力を一気に使ったらしい。医者によると、明日には気が付くそうだ。」


 そう言いながら、ウラガに【生活魔法1】の“リフレッシュ”をかけてもらう。実はそれまで、蜂の血や顔が汚れたままだったのだ。下に引いたタオルも、ついでに綺麗にしてもらった。だいぶスッキリした。


「よかったぁ。けど、あの翼にはびっくりしたよな。」

「おぉ!!あの翼な!めっちゃかっこよかった!!俺も欲しい!」

「欲しいってwたぶんあれが、グラスの固有能力の【竜力】なんだろうな。」

「【竜力】っていうより、竜化だろ?まだまだ力の片鱗って感じだな。」

「ちょとは【竜力】が分かったな。グラスが目覚めたら、褒めてやらないとな。」

「そうだな。じゃぁ俺は、もう一回ギルドへ行って、これまでの魔獣の盗伐照明の金、貰ってくるよ。買い出しもやっとくよ。」

「ウラガは疲れてないのか?無理するなよ?」

「大丈夫だ。俺にはあんまり蜂来なかったからな。」


 そしてウラガは部屋から出ていった。俺も休憩したので、だいぶしっかりしてきた。念のために【鷹の目2】で街の南を監視し続ける。突風もだんだん弱くなってきているので、昼過ぎには蜂が飛ばされる風量以下にはなるだろう。


 そんなこんなで、俺も昼過ぎには完全に回復したので、ウラガと一緒に宿の昼食を取りにきた。特別に、別メニュウーも出してもらったので、昼食はキノコと魚のソテーと、鳥肉の香草焼きだ。戦った後なので、めちゃくちゃ腹が減っていたのだ。


 俺達が昼食を食べていると宿の扉が開いて、俺を運んだヒツジの村守さんが入ってきて、俺達に話しかけてきた。


「食事中に失礼する。この度は、貴殿らに大変世話になった。村守を統べる者として礼を言わせてくれ。本当に有難う。」

「いえいえ。大変な時は、お互い様ですから。それより皆さんの怪我は大丈夫ですか?」

「我らの傷の心配まで!なんと心の広い。怪我は大丈夫です。例年の事で慣れておりますので。」

「そうですか。俺達も怪我はありませんよ。仲間も明日には目が覚めるそうです。」

「良かった。特に彼女には助けられたので、直接お礼が言いたかったのです。今日は取り合えず挨拶だけで、失礼します。蜂の掃除がありますので。明日には御礼も持参しますので。」

「有難うございます。明日は、できればグラスが目覚めた後で、お願いしますね。」

「もちろんでございます。それでは、失礼します。」


 そんな会話をすると、あっさりとヒツジさんは帰って行った。村守としての仕事が溜まっているのだろう。かなり忙しそうだ。そんな中、挨拶に来てくれたみたいだ。俺の中で、ヒツジさんの株価は急上昇だ。


 昼飯を食った後、村を回ってみるが、色々被害があったようだ。蜂の被害は少ないが、突風によって、木造の出店等の簡易な建物は壊れていたし、森から飛んできた葉っぱや木が街に溢れていた。


 それを手分けして、皆で掃除している。蜂の死骸は、村守さんが最初に撤去させたのか見つからなかった。


 そして、風もだんだん弱くなっていたが、まだ時折突風が吹いている。今さらだが、その風はかなり冷たい。村の温度もどんどん下がっているようだ。獣人の中には冬眠する種族もいるので、村の復興は急ピッチの様だ。これも例年通りなので、慣れたようにあっという間に、街は元通りだ。


「ウラガはこの後どうする?」

「うーーん。特にないからなぁ。シズクと一緒に修行でもするよ。テルはどうする?」

「もうしばらく敵の警戒を続けるよ。その後、昼寝させてもらおうかな。」


 ウラガは呆れたような顔を向けてきたが、俺の性格を理解してか、ハハハ!と笑って、馬車のいる方へと歩いていった。ウラガも今回の事で、考える事があったようだ。修行の話をしている顔は、真剣そのものだった。


「俺も、もっと強くならなきゃな。」


■ステータス

テル・キサラギ 人族 男 18歳 レベル36

体力: 469 魔力: 465 筋力: 344

速度: 231→235 耐性: 111 魔耐: 108

召喚獣:氷の精霊【ユキ】:【水神の加護】

神の秘宝:水の一振り

スキル:【オール・フォー・ソード】【採取2】【伐採1】【鑑定2】【スラッシュ2】【二段突き2】【地形把握2】【周辺把握2】【ステップ3】【遠見2】【夜目2】【交渉2】【鷹の目2】【甲羅割り1】【兜割り1】【魔力回復1】【魔力上昇1】【投擲2】【剣戟2】【水魔法2】【受け流し1】【カウンター1】【構造把握2】【はやぶさ切り1→2】【回転切り1】【生活魔法1】【解析1】【隠密1】【射撃2】


■ステータス

ウラガーノ・インヴェルノ 人族 男 19歳 レベル35

体力: 621 魔力: 369 筋力: 411

速度: 132 耐性: 188 魔耐191

召喚獣:水の聖獣【シズク】:【水神の加護】

スキル:【ハイシールド】【交渉1】【鑑定2】【構造把握2】【解析2】【ステップ2】【水魔法2】【大盾2】【バッシュ2】【受け流し2】【カウンター1】【周辺把握2】【生活魔法1】【魔力回復1】【魔力上昇1】【空間把握1】


■ステータス

グラス・フルール 獣人族 女 14歳 レベル15→16

体力:256→267 魔力:56→60 筋力:169→175

速度:391→401 耐性:48→50 魔耐:48→50

スキル:【竜力】【採取1】【伐採1】【周辺把握2】【地形把握2】【遠目2】【夜目2】【鷹の目2】【周辺把握1】【ステップ1】【地形把握1】


グラスちゃんが、頑張りました!やっぱり竜族といえば竜化ですよね!かっこいい。

テル君も頑張っていますね。スキルの連続使用は、負担が大きいのです。よくやったね!

(*´∀`*)

次回は、報酬と旅の話。

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