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久々にスキル獲得に励みますか。

女の子の正体がわかります。

ありきたりですが、ありきたりで無い展開もあるかも。

 食べ過ぎで倒れている女の子と出会った翌日。街は雨だった。観光がてら、獣人の情報を集めようと思っていたが、あまり外出する気にはなれなかった。


 俺達が食堂で朝食をとっていると、昨日の女の子が挨拶にやってきた。


「いやぁー。昨日は夕食代と宿代有難うねー。」


 めっちゃ軽い。それが迷惑をかけた相手にする態度なのか?あんまり印象が良くない。


「それが迷惑をかけた人に対する態度なのか?ちょっと考え直せ。」


(うわー。ウラガが言っちゃった。しかもちょっと怒っている。ウラガが怒るなんて、かなり珍しい。)


「あー。怒らせたみたいですね。申し訳ないです。」


 まだ軽い気がするが、少しは反省している様子だ。


「改めまして。昨日はお世話になりました。私はグラス・フルールって言います。生憎、ここで姿は見せられないんですが、それは勘弁して下さいね。」

「テル・キサラギです。こちらは、ウラガーノ・インヴェルノ。昨日、俺達の名前を呼んでましたよね。ご存じだったんですか?」

「ちょっと前に、突然私の前に手紙が降って来たんですよ。テルさん達が、私を助けてくれるって。それで、指定された日に宿で待ってたんですけど、なかなか来ないから、食べまくって時間を潰していたんですw」


(うわー。絶対、自称神様の仕業だよ。ちょっとー。俺達への連絡は無かったんですけどー。まじむかつくー。)


「手紙を拝見してもいいですか?」

「はいよ。ちょっとしわくちゃだけど、我慢してね。」


『はーい。私は、名前は名乗れないけど、ちょっと凄い存在です。下記の日程で、黒髪マッチョなテル・キサラギと緑髪で高身長のウラガーノ・インヴェルノが、ヴァルトの街に来ます。きっとあなたの望みを叶えてくれるはずです。ちょっとボーッとしてますけど、頼りになるので、会いに行くことをお勧めします。』


「やっぱりお前か!」

「・・・落ちつけ、テル。話は何となくわかったけど、俺はあんたの顔が見たいな。俺は顔の見えない相手とは、商談に乗らない主義だ。」

「そんな主義があっのか。ウラガの言うとおりだな。ここで見せられないなら、部屋に行こうか。」

「えー。ヤダぁー。危険な臭いー♪襲われるー♪」

「殴るぞ。」

「ごめんなさい。お約束かなって。部屋でならローブを脱ぎますよ。」


 今日は、ウラガの知らない一面を、よく見る日だなぁ。っと、さっさと彼女の正体を確かめよう。俺達が借りた個室へと彼女を連れて行く。途中、他の男からの視線が痛かったのは、気のせいだろう。


「改めまして。私はグラス・フルール。竜人族の生き残りだと思います。」


 そう言いながら、目深にかぶったフードを取り払うと、紺色の長髪と共に、おでこの上に2本の黄土色の小さな角。瞳は、灰色っぽい銀色だ。そして背中には紺色の小さな翼が、お尻には紺色の30cm程の尻尾がついていた。


 俺達は、驚きのあまり、言葉を失っていた。髪はツヤがあり、光が輪っか状に浮かんでいるし、顔も幼さが残るが、美しい女性になるだろう。そして何より、手や足の先は、同じく紺色のうろこで覆われている。腕や顔は普通に人族の様な皮膚だ。誰が何と言おうと、the ドラゴン娘っといった風貌ふうぼうだった。


「驚きました。ドラゴンがこの世界には存在するんですね。」

「はい??ドラゴンは、人族の国にはいないのですか?」

「あ。いや。テルが言いたいのは、ドラゴン関係のものを初めて見たって意味だ。俺も、竜人は絶滅したって聞いてたぞ。」

「絶滅かぁ。確か、グラスさんも生き残りだと言ってましたね。」


ウラガ、ナイスフォロー!世間知らずを誤魔化せた。まだこの子を信用した訳じゃないから、俺の秘密は、ばれたくないのだ。あれ?ウラガがグラスさんを見つめて、ボーっとしてる。大丈夫か?


「いいえ。私以外が、絶滅したかは分からないのです。」

「かもしれない。と仰っていた事と関係が?」

「はい。もともと私達、竜人族は流浪の民なのです。獣人族の国だけでなく、世界中をそれぞれ別々に旅をしていたそうです。私を育てた祖母が言っていました。」

「だから、“かもしれない”なのか。失礼ですが、年齢を聞いても?」

「今年で、14歳になりました。」

「14歳!!??それにしては、しっかり話せるね。」

「きちんとした話し方は祖母から習ったのですが、気を抜くと、楽な喋り方に戻ってしまうのです。」

「あぁ。あの軽い感じが、君の素なんだね。」


 それにしても、14歳か。竜人族は成長が早いのか?服の上からだが、筋肉もしっかり付いている気がする。きっと苦労したんだろうなぁ。


「それで手紙にあった、君の望みって何かな?」

「私の同族を探すのに、協力してほしいんです。お願いします。」

「うーん。僕達の旅は全国を回るから、君の望みが叶うかもしれない。けど、僕らはダンジョンに挑む必要があるんだ。そのせいで、死ぬかもしれないよ。」

「死ぬかもしれない・・・。」


 死ぬ事までは考えていなかったようだ。同族を見つけるまでに、死んでしまっては意味が無い。何年かかっても、安全に全国を回るべきなのだ。


「俺が守ってやる!俺達と一緒なら、普通は行かない場所にも行けるかもしれないぞ!」

「え。ウラガ!?応援するの?」

「・・・決めました!お願いします。私を連れて行って下さい!」


 こうして、グラス・フルールは正式に俺達のパーティーに入る事が決定した。ウラガは嬉しそうに、色々とグラスさんに話を聞いている。


「なぁテル!グラスさん、冒険者ギルド行った事ないんだって!ギルド証を作りに行こうぜ!パーティーの申請もついでにさ!」

「わかったから、落ちつけ。まだ昼には早いな。早速だけど行きましょうか、グラスさん。」

「パーティーに入れて頂くのですから、グラスと呼び捨てでお願いします。それに、敬語も不要です。私の方が、年も経験も低いんですから。」

「わかったよ。じゃぁ行こうか。」


 グラスは再び、フードを目深にかぶりなおし、俺達の後を付いてきた。ギルドは、世界中に存在する組織であり、中立の街であるヴァルトにも支店を出していた。ギルドの立ち位置が、どこかの国の為ではなく、冒険と市民の安全に向いているおかげだ。さっそく、街の中央にあるギルドへとやってきた。


 受付の鳥っぽいお姉さんに話しかけて、グラスのギルド証を作ってもらう。もちろん費用は、俺達が出した。パーティーになるので、必要経費なのだ。


■グラス・フルール 獣人族 女 14歳 レベル12

体力:216 魔力:51 筋力:154

速度:356 耐性:42 魔耐:42

スキル:【竜力】【採取1】【伐採1】【遠目2】【夜目2】


 受付のお姉さんが、驚きの声を出そうとしたので、咄嗟に口を手で覆って止めさせた。ギルド証を作る時に、受付のお姉さんに秘密がバレるのが、ネックだよなぁ。今回は、【竜力】のせいで、グラスの素性に気付いたようだ。


 鳥のお姉さんは、必死に謝ってくれたので、逆に注目を浴びてしまった。守秘義務がこの世界でも重要視されているようだ。まぁ当然だろう。いらぬ争いを生みかねないもんね。ちょっと。見世物じゃないんですよー。


 その後、俺達のパーティーへの登録も済ませて、彼女の装備をギルドで買うことにした。まずは、彼女の素性を隠す方法だろう。


「あのー。頭に角があるんですが、それを隠せる装備ってありますか?」

「ございます。鬼族や昆虫族の方が必要とされますので。どのような角ですか?」

「3cm程の角が、おでこの上に2本です。」

「それでしたら、青鬼族に人気の、額当てがオススメです。子供用ですが、女性なら着けられるでしょう。」


 俺は、受付のお姉さんから額当てを借りて、グラスに着けてみてもらう。


「どう?入る?」

「ピッタリです。これなら鬼族や昆虫族と見分けが付きませんね。」

「そっか。よかった。ところで、翼と尻尾はどうする?」

「尻尾はバランスを取っているので、外に出しておきたいのですが、翼は折りたたんでいても大丈夫です。」

「じゃぁ、ジャケット風の防具にしてもらおう。いざとなったら、翼も出せるしね。」

「まだ小さいので飛べませんが、その方がよさそうですね。」

「後は、手の先を隠せる装備か。攻撃はどうやっているの?」

「出し入れできる爪で切り裂いたり、殴ったりですね。」

「なるほど。速度と体力を活かした、ヒットアンドアウェイ方式だね。なら指先の出せる、金属のグローブがいいか。」


 そうして、なんとか装備をそろえる事ができた。額当てのせいか、グローブのせいか、俺達よりもゴテゴテした印象を受ける。けれどもパッと見では、竜族だとは分からない格好にはなった。グラスも、嬉しそうにしていたので、大丈夫だろう。


 結局、出費は金貨1枚と銀貨22枚になってしまった。もう少し安いのもあったが、ウラガが「安全には金を出すべきだ」と言ったので、俺も賛成した。レベルが上がれば、死ぬ確率も下がるだろう。それまでは、装備に依存してもいいはずだ。


 昼食は、ギルドで済ませてあるので、俺達は宿へと戻る事にした。装備の次は、グラスの【竜力】を知るのに時間を使う。


「【竜力】ってなんだ?」

「私も知らないんですよー。おばあちゃんは、竜族は皆持ってるって言ってたよ。」

「ふーん。種族固有か。竜族しか覚えられない魔法やスキルがあるのかな?」

「わかんないけど、昔話じゃあ、火を吐いたり、ちょっとの間飛べたって聞いたことある。」

「なるほど。じゃぁ、スキル獲得は時間がかかるかもなぁ。」

「何言ってんの?スキルは、時間がかかって当然じゃないw」

「・・・ちょっとずつ、言葉使いを直していこうな。」

「・・・お願いします。」


 やはり気が抜けると、言葉使いが軽くなるようだ。俺達との距離が縮まったと思えば嬉しいが、やはり、きちんと喋れる方が、後々良いだろう。慣れる事が必要なのだ。


「久々にスキル獲得に励みますか。」


 この機会に、俺達もスキル獲得をするのに頑張るつもりだ。俺はウラガと共に、“ライゼの成り上がり”のメモを読み返すのだった。


■ステータス

テル・キサラギ 人族 男 18歳 レベル32→33

体力:431→451 魔力:375→400 筋力:309→329

速度:209→218 耐性:102→105 魔耐:99→102

召喚獣:氷の精霊【ユキ】:【水神の加護】

神の秘宝:水の一振り

スキル:【オール・フォー・ソード】【採取2】【伐採1】【鑑定2】【スラッシュ2】【二段突き2】【地形把握2】【周辺把握2】【ステップ3】【遠見2】【夜目2】【交渉2】【鷹の目2】【甲羅割り1】【兜割り1】【魔力回復1】【魔力上昇1】【投擲2】【剣戟2】【水魔法1】【受け流し1】【カウンター1】【構造把握1】【はやぶさ切り1】【回転切り1】【生活魔法1】


■ステータス

ウラガーノ・インヴェルノ 人族 男 19歳 レベル32→33

体力:577→592 魔力:315→329 筋力:369→388

速度:123→127 耐性:172→178 魔耐175→181

召喚獣:水の聖獣【シズク】:【水神の加護】

スキル:【ハイシールド】【交渉1】【鑑定2】【構造把握2】【解析1】【ステップ1】【水魔法1】【大盾2】【バッシュ2】【受け流し1】【カウンター1】【周辺把握1】【生活魔法1】【魔力回復1】【魔力上昇1】


■ステータス

グラス・フルール 獣人族 女 14歳 レベル12

体力:216 魔力:51 筋力:154

速度:356 耐性:42 魔耐:42

スキル:【竜力】【採取1】【伐採1】【遠目2】【夜目2】


竜人。響きだけでもかっこいい。

この子はヒロインではありません。ただの仲間です。

まだ幼いので、口調が定まらない感じですね。私も困っちゃいます。

テル君。君の春はまだまだ来ないかもね。

(^ω^;)

次回は、グラスさんのスキル獲得と旅立ちの予定。

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