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俺を助けてくれたのか?ありがとう。

これから長い付き合いになる子との出会いです。

 結論から言うと、イノシシには勝てた。右腕は折れたけど。

 そして俺の袋が行方不明。どこ行った?


 イノシシは予想通り、直進しか出来ないようだった。猪突猛進してくる線上から、一歩左に避ける。俺は短剣を腹の前で横向きにかまえて、タイミング良く、イノシシの横っ腹を切りつけた。俺の横をブオン!と轟音を出しながら、イノシシが走り抜ける。案の定、猛烈な衝撃が剣に襲いかかるが、イノシシは頭からお尻の方まで、剣で深々と切り開かれていった。イノシシはUターンしようと減速するも、傷が深く倒れてしまう。そして、しばらく「フゴフゴ」言った後に、死んだようだった。辺りは真っ赤な血が溢れていた。


 俺は腰が抜けてしまい、しばらくの間へたり込んでいたが、右腕の痛みで我に返った。イノシシの剣への衝撃に耐えられず、右腕が折れていた。ついでに右手首も折れていた。曲がっちゃダメな方向に曲がっている。めっちゃ怖い。怪我の処置も大事だが、俺は、猛烈な喉の枯けを覚えた。


 水筒と薬草の入った袋を探そうと、森の近くまで戻ってみるが、見当たらない。よーく探していると、森の中から、ガサガサと音がする。またイノシシか!?と覗いてみると、ゴブリンが2匹、森の奥へと逃げる場面だった。しかも水筒と袋を抱えて。


「まーじーかーよー。」


絶望が前を通り過ぎて行く。コツコツ食べようと、ほとんど残っていたパンと水。そして金と薬草。ついでに手紙。漫画でよく見る「ガーーン」という効果音が頭の中で響いていた。


(どうする俺!ゴブリンを追うか?いや、腕が折れてる。殺されにいくようなもんだ。他に何がいるのか分からない、森の奥は危険だ。じゃあ入口近くで水の確保?いや、サバイバルゲームじゃあるまし、水のでる植物なんか分からない。まずは森から離れるのが先決か。)


 ということで、ふらふらと道まで戻ってきた。道のわきで、倒れるように寝ころんだ。空が青い。雲も白い。こんなに良い天気だったんだなぁ。イノシシを退治したのに、俺は死ぬのか?などと、脈絡なく考えていると、いきなり目の前に白いフワフワしたものが、飛び込んできた。俺は跳ね起きて、唯一の所持品である短剣を構えた。


「キュッ!」


!?!?どっから声が出た!?目の前のフワフワをよく観察してみると、中心がこぶし大のマシュマロの様で、それをタンポポの綿毛の様なものが包みこんでいた。全長20cmってところか?俺は、気が動転していたのか、「何だお前は!」と聞こうとしたが、声が出ない。喉が干上がってしまっていた。


「カハッ!」っと声にならない声を出すと、フワフワも、俺の事を観察するように見つめてきた。目なんて無いんだけどね。


「キュッ!」


 再び白いフワフワは鳴くと、白い身体から綺麗な水が大量に流れ出した。


(え。やだ。なんか汚い。気持ち悪い。)


 いったいどこに詰まってたんだという量の水が出てきて、地面に水たまりを作っている。そしてそのまま俺の頭上にフワフワが移動して、俺をずぶ濡れにした。濡れたついでに口を開けて、喉を潤すことにした。生き返ったような気がした。しかも、折れた腕の痛みが薄れている気がする。相変わらず、変な方向へブラブラしているんだけどね。


「俺を助けてくれたのか?ありがとう。」


 この不思議生物に言葉が通じるのか分からないが、一応御礼を言っておいた。礼儀は大切だからね。すると白いフワフワは、俺の周りを飛んだ後、俺の正面に来て、また鳴いた。声の感じから、なんだか嬉しそうな気がしたが、どうなんだろう。この不思議生物と今後の事を考えると、先行きがさらに不安になってきた。


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