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やっとベッドで眠れるな。

予定とちょっと違います。

「さて。そろそろこのダンジョンも、消えちゃいますね。」

「え。消えるんですか?」

「元々は神殿だったので、元に戻るんですよ。」

「俺達は?」

「あぁ。大丈夫です。ちゃんと送り届けますよ。」

「ところで、ここはどの辺ですかね?」

「トレーネ湖のちょうど中心になりますね。王都とゼーの街。どちらが良いですか?」

「では、王都に送って下さい。」


天使様はそう言うと、扉の方へと飛んでいった。翼で扉に触れると、小さな穴が現れた。その穴の奥では、水が勢いよく流れていた。もしかして・・・。


「ジェットコースターは、お好きですか?」

「やっぱり・・・」

「ところで、半分に切れた魔法結晶を頂けませんか?」

「え?元々、天使様のものでは?」

「私は、あれに捕えられていただけですよ。だから、倒したあなたの物です。」

「そうだったんですか。わかりました。差し上げます。」

「ありがとうございます。私も力が減っていて、世界の安定に自信が無かったんですが、魔法結晶で効率的になります。」

「それでしたら、もう半分も使いますか?」

「いえ。あなたもダンジョンを攻略した、証拠が必要でしょう。」


俺は、人の身体の半分ほどもある、巨大な魔法結晶を抱える。そして、ジェットコースターへと脚をかける。

「それでは失礼します。」

「はい。本当にありがとうございました。」


その後は、延々と水のジェットコースターを流れて行く。かなりの速度がでていた。トレーネ湖の中心と言っていたので、馬車だと10日かかるはずである。なので、早くても二日かかるだろうと思い、仮眠をとることにした。さすがに、ボスと戦った後なので、すぐに深い眠りについた。


目が覚めると、まだ水のジェットコースターには乗っていたが、周りは土ではなく、水だった。湖底からでて、トレーネ湖の中を進んでいる。遠くには、体長数メートルの巨大な魚や、魚人のようなサハギン等が泳いでいた。こちらが高速で流れるために、敵も手出しができないようで、快適な移動だった。残っていた最後の干し肉を齧りながら、湖内を見学する。気分は水族館だ。


そんなこんなで昼頃になると、湖の中から出て、水上を流れて行く。もう目の前には、王都の船着き場が見えていた。意外と早い到達だった。そして、王都が見えているのに、速度が全く落ちない。高速で流れたまま、船着き場横に向かって、最後はジャンプ台のように宙を飛んだ。俺達は死を覚悟したが、地面と衝突する前に、巨大な水球に包まれた。おかげで、ダメージもなく、地面に到着できた。おそらく天使様の計らいだが、もうちょっと優しくして欲しかった。


船着き場にいた大勢の人たちは、その光景に息を呑んでいた。あまりに不思議な光景に、どんな言葉を出せばいいのか、わからない様子だった。俺はまずいと思い、ウラガを引っ張って、そそくさと、王都の東門に向かう。そしてさっさと入場料を払い、船着き場を後にした。俺達が王都に入場する頃には、「何だいまのは?」等の大騒動へと発展していた。


俺達はそのまま、ギルドへと直行した。人の身体半分程の、巨大な魔法結晶を持っていたら、おちおち宿にも戻れないので、ギルドで預かってもらおう。久しぶりの、街馬車に乗ると、すぐにギルドへと到着した。ギルドに入った俺達は、ギルド職員のクレーさんを探して、声をかけた。


「クレーさん、お久しぶりです。ちょっとご相談があるので、個室を使いたいのですが?」

「・・・テルさん!それにウラガーノさんも!!心配したんですよ!大渦に呑みこまれたって聞いて!しかも浮いてこないから、もうダメかと思ってました!」


まるで幽霊を見るかのように、最初は驚いていたが、すぐに涙を流して再会を喜んでくれた。俺達の生存は、絶望視されていたそうだ。


「クレーさん。その話をしたいので、個室をお願いします。できるだけ、早めに。」

「!すみません。取り乱しました。個室ですね。では二階へ行きましょう。ゆっくり聞かせて下さい。」


そう言うと、中央の大階段を上り、二階へとやってきた。会議や相談をするための会議室や、仮眠室等で、二階には多くの扉があったが、その一つに通された。そして、俺達は、大渦に呑みこまれた後のことを、洗いざらい報告した。そして証拠として、魔法結晶を預かってほしい旨を伝えた。


「ちょっとお待ちください!私では荷が重すぎます。ギルドマスターを呼んできますので、ここでお待ち下さい!あ。なんでも好きなもの注文して下さい。お腹空いたでしょう?ギルドから、おごります。」

クレーさんはそう言うと、メニューを渡して、部屋を出て行った。代わりに入ってきた女性職員に、肉中心で色々注文した。そして、ギルドマスターが来るまでの、小一時間、これでもかという程、飯を食った。相変わらず拙いが、それでも久しぶりの暖かい料理が、身にしみた。


コンコンと扉をノックする音が聞こえたので、「どうぞ」と返事をした。すると、クレーさんを連れた、すこし老けたおじさんが入ってきた。トレーネ湖で大渦の事件が発生した時、ギルドの大階段で、演説した人だった。


「ギルドマスターのアインス・アーベントイアーと申します。失礼ですが、こちらのクレーに説明した内容を、もう一度説明して頂けますか?」


アインスさんに、同じことを順序立てて説明する。天使様から聞いた話も、もちろんした。

ちなみに、アインス・アーベントイアーとは、ギルドマスターが世襲する名前らしい。


アインスさんは、俺の話す事を噛み締めているのか、時々頷いていた。そして、説明が一通り終わると、俺の魔法結晶を観察し始めた。何かのスキルを使っているようだ。


「筋も通ってますし、なによりこの魔法結晶が証拠になりますね。」

「何かわかるんですか?」

「私は、【解析5】を持っているのです。それによると、これがダンジョンのボスだった“涙の守護者”のものだとわかりました。それに、こんなに巨大なものは、滅多にありませんからね。」

「では、信じて下さると?」

「もちろんです。そして、このアインスが責任をもって、魔法結晶をお預かります。」

「そうですか。宜しくお願いします。」

「このことは、人族の王にも伝えさせて頂きます。おそらく明日の朝、王城に呼ばれると思います。同じ説明をして頂くことになりますが、御容赦ください。」

「しかたありませんね。そうなると思っていましたので、私は大丈夫ですよ。」

「お、俺も大丈夫だ。」

「では、私はこれで失礼します。急ぎ、王へと報告してきます。ギルドでサポートしますので、何かあれば、クレーに何なりと仰ってください。」


そう言うと、アインスさんは魔法結晶と共に部屋を出て行った。俺達は、緊張の糸が途切れたようで、猛烈な睡魔に襲われていた。ジェットコースターで寝たとは言っても、精神的にかなり疲労していたようだ。クレーさんに、そのことを伝えると、馬車タクシーを呼んでくれた。タクシーで移動する前に、教会のシスターさんが呼ばれ、“リフレッシュ”の魔法をかけてくれた。相当、匂っていたようだ。警護の為に、クレーさんを含めたギルド職員数名と共に、懐かしの宿屋へと向かう。もちろん情報はまだ漏れていないので、誰からも襲われなかった。


「おや。クレーじゃないか。仕事はどうしたんじゃ?」

「おばあちゃん!お客さんを連れて来たの。少し訳ありだから、あの部屋使わして欲しいんだけど。」

「ふむ。テル様とウラガーノ様じゃないかい。戻ってこれたんじゃね。よかったわい。何かあったようだけど、後は任せて、ゆっくりお休み。」

「やっとベッドで眠れるな。」


俺達は、宿の最上階の先にある部屋へと通された。そこは魔法が色々とかけられていて、専用の鍵がないと、入れない仕掛けになっていた。もちろん防御面も完璧だ。王城を守るレベルの魔法障壁がかけられているらしい。


俺達は、ベットに横になると、すぐに眠ってしまった。昨日もかなり寝たのだが、不思議な事に、ぐっすりだった。


■ステータス

テル・キサラギ 人族 男 18歳 レベル32

体力:333  魔力:331 筋力:207

速度:145  耐性:74  魔耐:69

召喚獣:氷の精霊【ユキ】

神の秘宝:水の一振り

スキル:【オール・フォー・ソード】【採取2】【伐採1】【鑑定2】【スラッシュ2】【二段突き2】【地形把握2】【周辺把握2】【ステップ3】【遠見2】【夜目2】【交渉2】【鷹の目2】【甲羅割り1】【兜割り1】【魔力回復1】【魔力上昇1】【投擲2】


■ステータス

ウラガーノ・インヴェルノ 男 人族 19歳 レベル32

体力:420 魔力:76 筋力:258

速度:82 耐性:132 魔耐120

召喚獣:水の聖獣

スキル:【ハイシールド】【交渉1】【鑑定2】【構造把握2】【解析1】



予定ではさっさと王に会って、修行だったのに、どうしてこうなった?

テル君達は、久しぶりのベットですね。今は休もう。

(´ω`)

次回こそ、王に会う予定

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