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届けーーー!

ボスとの戦闘だけです。

いつもより、倍ほどあります。

具体的には、ワードで4ページ分。

よろしくお願いします。

 目が覚めたのは、翌日の朝だった。ちょうど太陽が昇る頃なのか、ダンジョンの夜の輝きが薄れる瞬間だった。そうなると、約15時間ほど寝ていたことになる。あたりに視線を移すと、ウラガが近くで寝ていた。ユキは、俺の身体の中にいる気配がする。魔力が切れて、戻ったんだろうな。ここは、安全地帯としている階段だった。どこの階層間かは、わからない。


かなりの空腹と喉が渇いていたので、鳥の干し肉と、水の魔法結晶から出した水で喉を潤した。朝食を済ませたころに、ウラガが目を覚ました。俺が起きているのを見るなり、いきなり抱きついてきた。やっぱり狙われていたのか!?貞操の危機ってやつか?


「テルーーー!もう目を覚まさないかと思ったぁぁぁ!」

「悪かった。ちょっと無理して、限界まで魔力を渡したのが、まずかったな。・・・鼻水は付けないでくれよ?」

「うおぉぉぉ!!!」


ウラガは泣きながら、自分の行為に気付いたのか、俺から距離をとった。そして昨日の事を話してくれた。ついでに、ユキを再度召喚しておく。


「つまり、あの氷のトンネルを通って、今は第13階層への階段なんだな。」

「そうだ。魔獣もユキの冷気にビビったのか、トンネル内には入ってこなかったから、すんなりと突破できたぜ。」

「そうか。ユキありがとうな。おまえが頑張ってくれたから、俺たちは無事なんだ。」

「キューー!キューー!」

「そうだぜ。おまえを担いで歩いてる時も、心配そうにフヨフヨしてたしな。それにしても、お前ってめちゃくちゃ重いのな。たった2km担いだだけで、この俺が、ヘトヘトになったぞ。」

「見た目通りにマッチョなんだよ。最近はレベルも上がって、より筋肉が付いた気がするしな。」


そんな軽い冗談まで出る程に、俺もウラガも回復していた。そして、いよいよボスへと挑む為に、階段を下りて行った。


 目の前には、高さ5m程の、巨大な水でできた扉があった。扉の表面は、同じく水でできた、美しい模様が描かれていた。10枚の形の違う花弁が、中心の丸をかこむように、円を描くような構図で配置されていた。そして、その一枚が輝いていた。【地形把握2】で階層を探ってみると、ボスの部屋しかないようだ。約500m四方の、他の階層に比べて小さな部屋だけだ。


俺たちは、ポーションなどを再度確認してから、お互いに頷き合った。そして一緒に、その扉を押しあけた。


中は、床一面が10cm程の水で満たされており、壁も床も天井も、すべて水でできていた。そして部屋の中央には、高さも幅も5mほどのスライムが待ち構えていた。スライムの中には、人間大ほどの魔法結晶が浮かんでいる。


部屋の中へ入ると、扉が勢いよく閉じられた。それに呼応するように、ボスであるスライムが「ピーーーー!」と鳴く。以外に声が高かった。なんか、かわいい。そんな感想を抱きながら、俺は【鑑定2】で敵を探った。


■涙の守護者:レベル?? 


俺よりレベルが高すぎるのか、【鑑定2】では名前しかわからない。ウラガの【解析1】でも同じだったらしい。


鳴き終わったスライムが、水面を滑る様にして突撃してきた。その巨体で、俺達を押しつぶす作戦らしい。俺たちは、なるべく離れないよう、スライムの攻撃をかわしいく。どう戦えばいいのか、全然わからないまま、しばらくスライムの突撃をかわしていると、スライムの動きが止まった。俺達が身構えると、口から一気に水を噴き出してきた。ウラガが盾を構えるが、おれはウラガを引っ張って、水の射線上から退避した。俺達の後ろにあった、水の壁が、スパッと切れていた。壁も水でできているので、すぐに塞がっていく。久しぶりのウォーターカッターだった。


「ウラガ!あの水はやばい。必ず避けろ!それと、ダンジョンで出てきた全てのギミックを、あいつは使えるのかもしれない!注意しろ。」

「助かった!じゃぁ、どうやって攻撃する?また“帯電の剣”で動きを止めるか?」

「それしかないだろう。ユキは、ボスが止まったら、凍らせてくれ!凍った場所を砕いていって、徐々に小さくしよう。」


俺達が打ち合わせしている間も、容赦なくウォーターカッターを飛ばしてくるが、ボスと距離をとっているので、なんとか回避できている。業を煮やしたスライムは、ウォーターカッターを止めて、身体をブルブルふるわせ始めた。そして、スライムが一瞬輝いたかと思ったら、ダンジョンの床に、足の踏み場もない程の、無数のうずができていた。いきなりの事で、俺達は脚元をすくわれて、バランスを崩してしまう。それを見たスライムが、また突進するように襲いかかってきた。なんとかバランスを立てなおしたが、逃げている時間は無い。俺が防御を取ろうと身構えると、ウラガが俺に体当たりをして、おれを吹き飛ばした。かわりにウラガがスライムとぶつかる。


俺は、昔の事を思い出していた。この世界に転生する事になった、前世での交通事故だ。子供を助けようと、トラックにぶつかって死んだ。俺は真っ青になりながら、ウラガを探した。スライムに弾き飛ばされて、後方の壁に激突していた。スライムはウラガに覆いかぶさる様に、止まっていた。


「ウラガ!!!!!!!!」


俺は叫ぶと同時に、駈け出していた。何も策は無いが、スライムへと切りかかる。案の定、ブヨブヨした身体に、剣は通らない。俺はそれでも【スラッシュ2】や【二段突き2】を繰り出し続けた。そしてふと疑問に思った。スライムが動かない。よくスライムを観察すると、ウラガの“帯電の剣”がスライムに突き刺さっていた。俺はそれを確認すると、ユキにウラガの周りを凍らせるよう頼んだ。


凍ったスライムの身体は、剣で簡単に砕けて、ウラガを救出することに成功した。スライムは麻痺しているのか、動こうとしない。おれはウラガを連れて、スライムから距離をとる。そしてすぐに、ウラガにポーションを飲ませた。スライムの特性である、腐食効果によって、ウラガの服は溶け、皮膚はただれていたが、ポーションのおかげで、みるみる回復していく。ウラガも意識はあるようで、一応無事ではあった。


「へへへ。おまえを守るのが俺の役目だからな。クッ。」

「ありがとう。今度は俺が頑張る番だな。ユキ!俺の剣に力を貸してくれ!」

「キュー!」


ユキが俺の剣に触れると、剣の全体に霜が降りて、周りの空気を冷やしていた。剣に、氷の属性を付与してくれたのだ。スライムは、やっと麻痺が抜けてきたのか、ぎこちないながらも、動き出していた。俺は【ステップ2】で一気に近付くと、【スラッシュ2】で切りかかる。スライムの身体に触れた場所から、凍りついていく。そして、スライムの端を砕け散らせながら切り飛ばした。スライムの本体にできた切り傷は、まだ凍っていた。


俺の攻撃に注意を向けたスライムの反対側から、スライムの足元を、ユキが凍らせていく。だいぶ魔力を使っているのか、凍る範囲が広い。周りの水と一緒に凍らしたのか、スライムは動けなくなっていた。スライムが無理やり動こうと、もがいている間に、俺は次々に【スラッシュ2】で切り崩していく。そのころになると、スライムの麻痺も完全に解けていたが、まだ氷から脱出できずにいた。


「ピーーー!」


怒ったスライムはまた一鳴きすると、今度は口から霧を吹き出してきた。一気にスライムの周りは、霧で覆われて、何も見えなくなった。俺は危険を感じて、一端距離をとった。ユキもスライムから離れて、俺のところへ来たので、魔力を渡す。警戒していると、またウォーターカッターが飛んできた。しかも今度は直線ではなく、横一線のような軌道で撃ってくる。とっさに伏せて回避すると、俺の上ギリギリをウォーターカッターが通りぬけた。俺は転がるように移動しながら、投げナイフで注意を引き、できるだけウラガと距離をとった。


ウラガはポーションでだいぶ回復したのか、立てる程に回復していた。ウラガは“帯電の剣”を俺に見せてきた。おそらく、ウラガが麻痺させるから、その隙に攻撃するように、いっているのだと理解した。まったく、たくましいにも程があるな。


とにかく霧をどうにかしないといけない。考えてもいい方法が出ないので、ユキに凍らせて貰うことにした。ユキは少しりきむような仕草をとると、スライムに向かって、強い冷気を飛ばした。霧は小さな氷の結晶を作り、床の水へと落ちて溶けた。


スライムを足止めしていた氷は、俺達が霧の相手をしている間に、壊したようだ。身体の一部をまだ凍らしたまま、俺から離れて行った。向こうも相当警戒しているようだ。するとスライムはまた身体をブルブル震わした後、今度は口から大量の水滴を吐きだした。あの大爆発を起こす水滴が、部屋一面に漂っている。猛烈な危機反応から、俺はユキを呼び戻し、ウラガの元へ走った。そして、ユキに分厚い氷の壁を作ってもらう。


壁ができるのとほぼ同時に、スライムが身近な水滴に自分から触れに行った。そして大爆発が起こると、それが連鎖反応のように、次々と誘爆していき、部屋全体が衝撃で満たされる。ユキの作った氷の壁も砕けてしまったが、なんとか力を殺す事には成功した。スライムは、その身体のおかげか、まったくダメージを負っていなかった。


俺はユキへと魔力を渡して、スライムの次の攻撃に身構える。しかしスライムも水滴の爆発を防いだ俺達を警戒して、身構えているようだった。俺は、またユキに、剣へ氷の属性を付与してもらう。そして【ステップ2】で近付いて、スライムに【スラッシュ2】で切りかかった。。ウラガが攻撃できるように、徐々に反対側へ移動して、注意をそらす。スライムはウォーターカッターで反撃してくるが、【ステップ2】で回避した。


だんだんスライムは小さくなるが、致命傷を負わすには決め手が足りなかった。ウラガが次にスライムを“帯電の剣”で足止めする時がチャンスなのに!


(どうする?剣はまだ、魔法結晶まで届かない。ユキに最大出力を出してもらっても、鏡の壁みたいなので、防がれかねない。もし防がれたら、万事休すだ。そんなギャンブルできない。【甲羅割り1】も【兜割り1】も効果がない。何か!何かないのか!?あいつの真ん中まで届く方法は。もっと長い・・・そうだ!単純に長くすればいいんだ!)


「ユキ!頼んだぞ!」

「キュ!」

「ウラガ!少し時間を稼いでくれ!」

「了解!!」


ウラガはそう答えると、スライムの後ろからこっそりと近づいて、スライムに“帯電の剣”を突き刺した。そして付与されていた【帯電】で、スライムを麻痺させる。それを確認すると、ユキが俺の剣に寄り添った。剣がみるみる氷に覆われて行き、剣先が1.5m程の長剣へと姿を変える。もちろん氷の属性も付与されている。かなり重たかったが、俺は“オール・フォー・ソード”の補正で、なんとか振りかぶった。そしてそのままスライムに近付いて、【スラッシュ2】で切りかかった。


「届けーーー!」


剣がスライムに届くと、そのままスライムを真っ二つにする。体内にあった魔法結晶も、斜めに切り裂かれた。


最後にスライムは小さく鳴くと、形を失ったかのように、床に溶けて行った。そして、両方の割れた魔法結晶の中から、どす黒い塊が現れて、宙へと溶けて行った。その後溶けていった空中に、今度は、真っ白い塊が現れた。


■ステータス

テル・キサラギ 人族 男 18歳 レベル28→32

体力:305→333  魔力:312→331 筋力:186→207

速度:133→145  耐性:66→74  魔耐:61→69

召喚獣:氷の精霊【ユキ】

スキル:【オール・フォー・ソード】【採取2】【伐採1】【鑑定2】【スラッシュ2】【二段突き2】【地形把握2】【周辺把握2】【ステップ3】【遠見2】【夜目2】【交渉2】【鷹の目2】【甲羅割り1】【兜割り1】【魔力回復1】【魔力上昇1】【投擲2】


■ステータス

ウラガーノ・インヴェルノ 男 人族 19歳 レベル28→32

体力:380→420 魔力:68→76 筋力:240→258

速度:74→82 耐性:104→132 魔耐104→120

スキル:【ハイシールド】【交渉1】【鑑定2】【構造把握2】【解析1】



意外と、ボスとの戦闘が長引いてしまいました。

色々と複線っぽいものもありますが、次回説明予定。

テル君たちは、一気にレベルが上がりました。がんばった御褒美です。

(*´ω`*)

次回こそは、世界の秘密の予定。

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