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ユキがいてくれなきゃ、死んでたな。ありがとう。

ダンジョン5階6階です。

有名な水を使った兵器が出ます。

いつもより、ちょっと長いです。

「あははははww。さすがにテルでも新しいスキルを、そうそう簡単に取れないぜ。普通は、何日もかかって習得するんだからよぉ。まじ面白れーwww」

「普通はそうかもしれないけどな。俺はちょっと違うんだよ。」

「ふーん。何か秘密があるみたいだな。話せる秘密か?」

「今はダメだけど、このダンジョンから帰ったら、洗いざらい話すよ。」

「そっか。楽しみにしてるぜ。」


「ところで、他にもスキル取りたいから、これから5日位は、魔力が少なくなると思う。サポートしてくれるか?」

「他にも取るのかよ!まるで化けものだなwわかったぜ、サポートしてやる。なに取るんだ?」

「【魔力回復】と【魔力上昇】だよ。きっと、今後必要になるし、早い方が良いからな。」

「あの、魔法使いに必須のスキルか。成功したら、俺にもやり方教えてくれよな。」

「わかった。じゃあ寝る前に、今からやるぞ。出てこい、“ユキ”」

俺は、いつもの様に剣への属性付与を考えながら、ユキを呼んだ。

そして、剣に属性付与させるために、大量の魔力が必要な事も念じている。


俺の胸から白いフワフワが、久しぶりに出てきた。なんだか嬉しそうだ。

「悪い、ユキ。魔力が無いんだ。俺たちを守っていて、くれないか。」

「キュ♪」

 以前より魔力の上がった俺なら、しばらくの間、ユキを呼んでいられる。明日の朝になれば、たぶん魔力も少しは回復するだろうから、また呼べるはずだ。俺は、ユキにそれだけ言うと、意識を手放すように眠った。


 朝起きてみると、魔力は80ほどになっていた。おそらく1時間で10位回復するのだろう。そして、なんとユキはまだ出現していた。いまいち魔力と出現時間の関係がわからない。

「キュッキュ。キューキュキュ。」

なになに。魔力が欲しいだって?なんとなくユキと意思疎通できている。さすが俺の最初の友達だ。ユキはそう言うと、俺の頭の上に乗ってきた。冷たくて気持ちいい。俺は何となく、ユキへ魔力を譲渡するように意識すると、ユキとの間に、道が通ったような感じがして、魔力が一気に流れていく。俺は、危険を感じて、魔力の譲渡を中断した。ステータスを確認すると、魔力が30まで減っていた。あの一瞬で、50近くの魔力が移動していた。ユキちゃん、おそろしい子。


 俺たちは、第五層へと進んでいった。第四層と同じく、迷路になっていて、違いがいまいち分からなかった。モンスターも変わらない。俺たちは不信に思いながらも、【鷹の目2】を頼りに、どんどん進んでいく。そして、昨日ウラガに言っておいた、蟹の魔獣と遭遇した。2匹出てきたので、ウラガに一匹を頼んで、俺は蟹と対峙する。


 今回俺が挑戦するのが、【甲羅割り】、もしくは【兜割り】だ。まずは定石どおり、蟹の脚を切り落として、動けないようにしてから、蟹の後ろに移動した。俺は集中して念じる。

(これから剣で堅い甲羅を切る。剣を傷つけないように、全力で切る。剣を痛めないように、頭を叩き割って、一撃で仕留める。)

「割れろー!」


 蟹は真二つに割れていた。そして久しぶりの、ゾクリとする感覚が、身体を駆け巡った。急いで確認すると、【甲羅割り1】と【兜割り1】の両方を覚えていた。違いは分からないが、別物らしい。後で図書館で確認しよう。


 俺はウラガに駆け寄って、【甲羅割り1】を繰り出すと、大きなハサミもろとも、蟹を真っ二つにできた。甲羅全般に効果があるらしい。驚いているウラガに、俺はドヤ顔を決めた。ウラガは呆れたように、笑ってくれた。ちなみにユキは、ずっつ楽しそうにフヨフヨしていた。


 その後もサハギンや蟹を蹴散らしながら進むと、おかしな行き止まりにやってきた。【鷹の目2】によると、ここ以外に道は無いはずなのに、行き止まりなのだ。確かに、少し行った先の壁は、岩のようである。俺とウラガは途方に暮れてしまった。道は合っているはずなのに、先に見えるのは壁なのだ。俺たちが悩んでいると、ユキが一人で、壁まで飛んで行ったしまった。俺が呼びとめようとすると、なんと、ユキが二匹に増えていたのだ。


「え!?ユキが二人!?なんで?テルどうしよう。ユキが増えてる。」

「あーーー。なるほどね。あれは鏡なんだよ。」

「鏡って、あの銀板でできた、小さくて、めちゃくちゃ高いやつだろ?でもあれは、壁一面にあるぜ?」

「ウラガも見たことないか?王都の服屋にある、巨大なガラスに、うっすらと自分が映ったこと。」

「ある!でもあれははっきりと映ってるぞ?」

「たぶん、水銀みたいな水を表面に張っているんだ。さすが水のダンジョンなだけあるな。」

「水銀?水みたいな銀があるのか?それが、近くの岩を映しているのか。」


 俺は歩いていき、自分の映った壁を叩き切った。すると、バシャっと水が弾けて、奥へと続く道が開いた。今回はユキのお手柄だ。フワフワのユキをなでてやる。


「それにしても、よく水銀なんて知ってるな。他は何も知らないくせに。」

「あ。うーーん。それもダンジョンから出られたら話すよ。」

「またかよ。本当に秘密が多いよな、テルは。」

「あははは・・・」

もう笑って誤魔化すしかなかった。


 その後も、なかなか苦労した。進める道か、本当に行き止まりなのかを、道の奥まで進まなければ確認できないからだ。【鷹の目】は視線を飛ばせるが、透視能力ではないので、障害物があると先が見えないのである。そんなこんなで、第六階層に行くのに、昼過ぎまで時間がかかってしまった。


 軽食をとった後は、またユキに魔力を渡して、魔力枯渇状態を維持していく。正直、かなりつらいが数日の我慢が必要だ。神様の手紙によると、今後ユキが活躍するので、無理はしてでも、魔力をあげる必要がある。


 そして、第六階層にやってきた。降りた先は、50mほどの直線の道だった。第五階層同様に、水の壁がいたるところにあるらしく、【鷹の目】が使いにくかった。そんな事を確認していると、ウラガがその直線の道をフラフラと進んでいく。俺は嫌な予感がして、ウラガを階段の方へと引っ張っった。すると、ウラガが直前まで居た場所を、もの凄い勢いで水が上から下へと、横一直線で通り抜けた。床を見ると、輪切りされたようにスパッと切れていた。


「やっべー。マジ助かったぜテル。危うく、身体が半分になるところだっだ。」

「おそらくウォーターカッターだ。砂や小石を混ぜた水を、超高速で発射すると、分厚い鉄でも、簡単に切れる。水は速度を得ると、硬くなるんだ。」

「ほんと良く知ってるな。まぁ秘密なんだろうけど、おかげで助かったからな。ところで、この先は、どうすればいいんだ?」

「一度、ウォーターカッターが通った後は、見分けがつくんだけどな。だって地面も切れてしまうから。そうだ!ユキ!俺と同じくらいの大きさの、氷の球体、作れるか?」

「キュ。キューーー!」


 ユキにそう頼むと、ユキの前方に、巨大な氷の玉がゆっくりと形成されていった。ユキは少し疲れたようで、俺の肩に乗ってきた。俺は御礼をいいながらユキをなでてやった。


 そうして出来だ氷の球を、俺は勢いよく通路に転がした。氷が通った後には、罠が作動したのか、縦、横、斜め、面で様々なウォーターカッターによる傷ができていた。知らずに進むのは、命がいくつあっても足りないくらいだ。そして俺は、一つの発見をした。


「なぁウラガ、最初の罠、今の氷で作動したか?」

「そう言われれば、作動しなかったな。一発だけなのか?」

「いや。一発だけとは限らないだろうが、再度ウォーターカッターを打つのに、時間がかかるのは確かだ。つまり今なら、走り抜けられる!」


 そう言うと俺たちは、全速力で駆けだした。次がいつになるか分からないので、決断は早かった。幸運にも罠は作動しなかった。通路の先に転がっていた、氷の球を転がしながら、俺たちは、慎重に第六階層を進んでいった。迷路と水の壁と、ウォーターカッターの組み合わせは、非常に面倒だった。攻略にかなりの時間がかかってしまった。さらに、途中で氷が切断されるたびに、ユキにくっつけて貰ったり、作り直して貰ったりした。おかげで、俺の魔力は常に、ギリギリ動ける量しか残っていなかった。もちろん敵も出てくるが、雑魚なので苦労はしなかった。


 途中、ウォーターカッターで楽もした。道の先、遠くに見える敵に向かってわざと小石を投げて、敵にこちらに来てもらう。もちろんウォーターカッターが作動して、敵は真っ二つになったり、サイコロみたいにバラバラになっていた。見た目がかなりグロテスクになってしまったので、すぐにこの案は中止された。その後は、無難に氷の球で進むことになった。


 結局、夜中だと思われる時間になってから、ようやく第七階層への階段にたどり着けた。俺とウラガは、蟹の脚と、鳥の干し肉を齧って、簡単に夕食を済ませた後、言葉も少なく、早々に眠りに着いた。精神的にも、肉体的にもかなり疲れていた。寝る前に、ユキへと残りの魔力を渡して、監視を頼んでおいた。精霊は寝ないらしいので、嬉しそうに承諾してくれた。


「ユキがいてくれなきゃ、死んでたな。ありがとう。」


そう言って俺も意識を手放すように眠った。


■ステータス

テル・キサラギ 人族 男 18歳 レベル24→25

体力:268→272  魔力:121→153 筋力:168→172

速度:117→121  耐性:58→60  魔耐:53→55

召喚獣:氷の精霊【ユキ】

スキル:【オール・フォー・ソード】【採取2】【伐採1】【鑑定2】【スラッシュ2】【二段突き2】【地形把握2】【周辺把握2】【ステップ3】【遠見2】【夜目2】【交渉2】【鷹の目2】【甲羅割り1】【兜割り1】


■ステータス

ウラガーノ・インヴェルノ 男 人族 19歳 レベル25→26

体力:331→341 魔力:60→62 筋力:201→210

速度:70→72 耐性:92→96 魔耐92→96

スキル:【ハイシールド】【交渉1】【鑑定2】【構造把握2】【解析1】



話が長くなってしまった。

ウォーターカッターは、かっこいいけど、ダンジョンで出ると、初見ではまず反応する前に、死んじゃいますね。

ユキちゃん様様だね、テル君。

_( _´ω`)_

次回は、第七階層と第八階層の予定。


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