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つまり、このダンジョンに宝箱は無いのか。

やっとダンジョンに入ってくれました。

楽しんで頂ければ、幸いです。

「おいテル。そろそろ起きろ。今日からダンジョンだぞ。」

「・・・イヤだ。」

「そっか。俺もイヤだぜ。わがまま言ってないで起きろ!」


太陽が出たのか、遠く上空に見える空は青かった。それに呼応してか、ダンジョンの光は治まっていた。とりあえず、水の確保が大事なので、一緒に流れてきた樽を開けてみると、中から手紙が出てきた。怪しい。めっちゃ怪しい。読みたくない。


「なぁ。この手紙、テルへって書いてあるぜ?」

「手紙なんて見えない。さっさとダンジョン行きたい。テガミ、コワイ」

「何言ってんだよ。めっちゃ不自然じゃん!樽から手紙だぜ!放置できるわけないだろ。」

「チッ」


ウラガに睨まれながらも、手紙を読むことにした。


「このバカ!私は忙しいって言っただろうが!仕事増やしてんじゃねえぞ!人の分際で。」


めっちゃ怒ってる。分際でとか使ってくる。コワイ。もう読みたくない。けどウラガが見てるから、覚悟を決めて続きを読んでいくしかない。とにかく気が重い。


「私はこの世界を保ってるの!この星だけじゃないんだよ?わかる?世界なの!ったくこのイレギュラーが!どうやったらダンジョンに、冒険の初心者が挑むんだよ。実力もわかんないと、すぐ死ぬよ。次は転生しないからね!まぁ、ここで死なれると、私にとっても面倒だから、アドバイスしてあげる。感謝しなさい!~~」


この後も、罵詈雑言と共に、ありがたいお言葉が並んでいた。まとめると、以下の事が書かれていた。


・ダンジョンの特徴は、水。水にちなんだ仕掛けが多いらしい。ちなみに飲める、綺麗な水だそうだ。

・ダンジョンは今10階まで。産まれたてホヤホヤ。

・50階までは、2日で1階のペースで増えて行く。ボスまで行くなら早くする事。

・ボスは本来、数年かけて自身を強くするから、倒すなら急ぐこと。

・水の上位精霊である、ユキを使う事。不定形の魔物も、凍らせれば倒せるらしい。

・今は本当に忙しいから、次回はよっぽどの事がない限り、助けない。


これらの情報を、神の存在を隠して、ウラガに伝えた。ウラガはかなり不審がっていたけど、空気を読んだのか、深くは聞いてこなかった。逆に俺の良心が、かなりダメージを負った。別に秘密にする必要もないし、帰ったら話してしまおう。


「じゃあテル、気張ってダンジョンに行くか!」

「ぉー」

「テンション低いな。もう諦めろ。空を飛ばない限り、抜け出せないんだから、前に進もうぜ。」

「ウラガはたくましいな。よし!行くか!」


そして、ようやくダンジョンに足を踏み入れた。階段を数段下りて行くと、そこには流れるプールのような水路が、張り巡らされていた。全部が水でできていて、足場になりそうな所は白く濁っているが、それ以外は、壁も水でできている。【鷹の目2】で視線を飛ばしてみると、遠くの方に下へ降りられそうな、暗い階段が見えた。


コンコン。壁を突き進んで、ショートカットしようと思ったが、壁は水とは思えないほど、硬かった。【鷹の目2】でおおよその道順を確認するが、メインは水路を泳いで次の足場に行き、また水を泳ぐのを繰り返すようだ。俺はウラガにそう説明すると、ウラガは何かひらめいたのか、一端ダンジョンを出て、樽を抱えて戻ってきた。


「なぁ。これに乗って行こうぜ!泳いでる時に魔獣に出くわすと、かなり危ないじゃん?」

「おお!ウラガ冴えてる!」

そう言うと早速、樽の上をふさいで、横に倒し、人が乗れそうな穴を剣で開ける。開けた穴に使われていた木は、なんちゃってオールに再利用する。荷物を底に置いて、バランスを取ると、なんとか男1人が入れるスペースができた。


ウラガが座って、かじ取りと前方から来る敵をシールドで弾き飛ばす。俺は、足だけを樽に入れて、蓋の部分に腰かけて、索敵と剣で敵を倒す陣形をとった。なんだか、トロッコゲームみたいだ。ちょっと楽しい。


「ウギャー!!意外と早い!敵多い!あ!予定の足場を越えちゃった!」

「テルうるせー!もう一回チャレンジだ!根性見せろ!」


産まれたてホヤホヤのダンジョンだからか、敵がめちゃくちゃ多い。出てくる魔獣は、湖面でみた、ピラニアに足が生えたような魔獣だけだった。弱いので、剣で切りつければ倒せるが、いかんせん数が多い。そして流れが以外と早く、目的の足場を通り過ぎてしまった。水路は輪になっているので、1周回って、再度チャレンジする事になった。


切り倒した敵が、どんどん後方へ流れて行く。ダンジョン名物の魔石も、全然回収できていない。ちょっと残念がっていると、ちょうど一周回って、目的の足場近くになる。俺は壁に剣を突き刺して、急ブレーキをかけて、ゆっくりと足場へとたどり着いた。乗り物の樽も、引き上げる。


「なぁテル。この樽作戦、まずくないか?コントロールがかなり効かないぞ。」

「でもなぁ。これが無かったら、俺たちずぶ濡れだぞ?しかも水中で魔獣に食われる。」

「うげ。それは遠慮したい。はぁ。簡単には進めないってことだよな。さすがダンジョン。」


この後俺たちは、樽の船で何度か水路を流れて、ほぼ半日かけて下へと降りる階段にたどり着いた。もうこりごりだと思いながら、地下2階へとやってきたが、そこは地下1階と同じ水路だった。システムの使いまわしもいいところだ。しかし、出現する魔獣の種類が増えていた。ヒトデ型の魔獣だ。水を吐いてきたり、手裏剣のように飛んでくるウザイやつだった。水は当たると、あざができるほど威力があるし、手裏剣風は、かすると皮膚が切れた。身体が小さいので、剣を当てるのも相当しんどいが、対応できないほどではなかった。


特筆する事もなく、また半日かかったが2階をクリアした。安全地帯らしい階と階をつなぐ階段に腰掛けて、俺はウラガに質問を飛ばした。


「今日はもうこのくらいで、休もうか。」

「そうだな。さすがに疲れたぜ。」

「ところで、この階段は、本当に安全か?」

「たぶんな。普通のダンジョンは、各フロアに、魔獣が滅多にでない部屋があるのが、通説なんだ。でもここは流れが速すぎて、それを探す余裕がねぇ。階段で襲われたって聞いたことはないから、たぶん安全だと思うんだが・・・」


「あともう一つ聞きたいんだが、ダンジョンには宝箱は無いのか?」

「そう言えば見ないな。たぶんダンジョンが若いせいだ。」

「若いとダメなのか?」

「噂で聞いたんだが、ダンジョンの宝は元々、冒険者の持ち物だったらしい。それがダンジョンの魔力とか不思議な力で、進化するんだと。属性やスキルがついたり、攻撃力が上がるらしい。」

「なるほどな。つまり、このダンジョンに宝箱は無いのか。」


ウラガは残念そうにうなずいた。こればっかりは、しょうがないが、さすがに宝が無いダンジョンは、魅力半減だ。。最悪、魔石だけでも回収したかったのになぁ。


俺たちは、干し肉を齧ったあと、装備の点検を終えると、泥のように眠った。意識している以上に疲れていたようだ。


■ステータス

テル・キサラギ 人族 男 18歳 レベル20→22

体力:225→251  魔力:105→113 筋力:130→155

速度:101→109  耐性:50→54  魔耐:45→49

召喚獣:氷の精霊【ユキ】

スキル:【オール・フォー・ソード】【採取2】【伐採1】【鑑定2】【スラッシュ2】【二段突き2】【地形把握2】【周辺把握2】【ステップ3】【遠見2】【夜目2】【交渉2】【鷹の目2】


■ステータス

ウラガーノ・インヴェルノ 男 人族 19歳 レベル22→23

体力:281→305 魔力:54→56 筋力:170→180

速度:64→66 耐性:80→84 魔耐80→84

スキル:【ハイシールド】【交渉1】【鑑定2】【構造把握2】【解析1】


テル君はダンジョンを満喫しているようです。

イメージは、究極の流れるプール。転覆すると、最悪死にます。

((((;゜Д゜)))コワイ

次回は、さらに下層に進んでいく予定です。何日でボスに行けるやら。

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