俺たち、この剣に決めたぜ。
予定していたプロットと、だいぶ違ってきたので、プロットを練り直していました。
異変を知る回です。
「こんなに魔獣がでるなんて。確かに多すぎますね。しかもメイジまで出てくるなんて。」
「あ。これメイジが持ってた杖です。これも買い取って下さい。」
「はい。確かにメイジのものですね。」
クレーさんだけでなく、ギルドとしてもこの異変を重要視しているようだ。俺は色々と質問された。
俺たちは討伐したゴブリンの報酬と依頼達成として、銀貨33枚を手に入れた。メイジが少し討伐報酬が高いらしい。儲けものである。
「なぁテル。この銀貨さ、3で割らないか?」
「3で?俺とウラガ、あとの1は何だ?」
「チームとしての資金にしたいんだ。例えば馬車の運賃とか、ポーションとか食糧の消耗品を買う資金にしたいんだ。」
「確かに。俺もいちいち金を出すの、面倒だしな。管理はウラガがするのか?」
「もしテルが預けてくれるなら、俺が管理する。大丈夫。信じてくれ。」
「わかった。ウラガを信用している。任せたぞ。」
俺は正直なところ商人をまだ信じきれない。でもウラガはネーロみたいな、変な優しさで接してこなかった。良くも悪くも直球で俺にぶつかってきている。これで信じなければ、男が廃ると思えるほど、ウラガの評価は俺の中で高かったようだ。ウラガに任せよう。
その後、宿へ戻って食事を済ませた。装備もそんなに痛んでいないので、大丈夫だろう。俺たちは話合い、今後も依頼をこなして、金を集める計画を立てた。
次の日、街道で助けたおじさんから金を貰うために、ギルドへとやってきたが、ギルド内がかなり騒々しかった。クレーさんを見つけて、俺は何が起きているのか尋ねた。
「あ。テルさん!大変なんです!トレーネ湖で巨大な渦潮が現れたんです。しかも観光船が巻き込まれて、未だに浮き上がってこないそうです。」
「そんなに大きいんですか?船が浮かんでこないと、何かありそうですね。」
「漁船からの情報ですと、直径1キロはあるそうです。こういう場合、渦のなかにダンジョンができた可能性があって、今、王都の調査隊が出航したそうです。」
「ダンジョンですか!無知なので教えてほしいんですが、他の場所にもダンジョンはあるんですか?」
「ダンジョン、知らないんですか?人族の国内だけでも、数か所確認されています。内部に出現する魔獣は魔法結晶。通称、魔核を有していて、非常に有用なんです。大きいものは街道の魔物避けに使われ、小さいものは街の照明などで使われますね。」
「なるほど。つまりトレーネ湖で新しいダンジョンが確認させれれば、新しい資源確保が見込めるんですね。まあ、観光船の乗客の無事を確認するのが先でしょうけど。」
俺たちが話し合っていると、ギルドのお偉いさんと思える人が、中央の大階段から声をかけた。
「冒険者諸君!依頼である!先に発った王都の調査隊に続いて、我らにも調査の依頼が来た。ランクC以上のグループのみ応募してくれ。そして、渦潮外周で待機している先遣隊へ、食糧などの追加支援物資を運ぶ船の、護衛を依頼する。ランクFでも応募可能である。後者は早いもの勝ちだ!冒険者諸君!今こそ冒険する時である!」
「「「おおぉぉぉ!!!!!!」」」
「クレーさん、俺たち物資の護衛参加する!いいよなテル!」
「え?参加するのか?俺たち、超初心者だぞ?船の護衛って何するんだ?」
「大丈夫だって!ダンジョンの魔獣は、タンジョンから出れないから、出てきたとしても雑魚だよ。」
「ううーーーん。ウラガがそんなに推すなら、受けようか。」
「さすがテル!話がわかってるじゃん。」
「依頼書来ました。ではテルさんのグループは、船の警護で依頼します。場所はここから半日の場所にあります。念のため、3日分以上の食糧と水を準備して下さいね。」
■依頼内容:緊急依頼。突如発生した大渦の調査に出た、調査隊への物資輸送船の護衛。王都ケーニッヒから船で半日。報酬銀貨10枚。依頼終了はケーニッヒギルドまで。定員5チーム。ケーニッヒのギルド印
「準備ができたら、東の船着き場まで来てください。ことらも準備をするので、1時間後が集合時間です。」
「分かりました。」
俺とウラガはギルドを出ると、大急ぎで準備を開始した。まず食糧。着替え。装備の確認をしていく。銀貨1枚で済んだ。
「なぁテル。俺も武器が欲しいんだ。ちょっと買い物に付き合ってくれ。」
「わかった。けど時間もない。そもそも金はあるのか?」
「家出る時に貰ったのが、少しあるから、たぶん買えると思う。」
「じゃあ早く行こう。遅刻したくないし、ちょっとでも良い武器を探す時間が欲しい。ところで、軍資金はいくらだ?」
「出せて銀貨20だな。良いもの探してくれよ。」
ウラガは武器屋へと走って、武器屋の店主を捕まえる。急いで武器を探している事を伝えると、大渦潮の情報を知っているのか、すでに武器を準備していた。机に並べられている。魔法や、攻撃力上昇、スピード上昇等の付与がついたものばかりで、金貨1枚以上だった。ウラガはうなだれていたが、俺は他が気になっていた。
入口の横に置いてある樽に、何本もの剣や槍が刺さっていた。樽には“処分品・銀貨20枚”と書いてある。俺は、その中から一本の剣に引き寄せられた。ウラガを呼び寄せながら、遠くにいる店主に確認する。
「なぁ、おっちゃん。ここのは、本当に全部銀貨20枚でいいのか?」
「あぁそれか?うちの弟子が打ったやつとか、俺が失敗したやつが入ってる。初心者の冒険者用だな。でも屑ばっかだぜ。」
近寄ってきたウラガに、一本の剣を取り出して【解析】するよう頼む。
■帯電の剣・攻撃力90・耐久10/10・【帯電】付与
「うお!」
ウラガが叫んだので、瞬時に頭を叩いた。
「イッテー!何すんだ!」
「声出すなバカ!めっちゃ掘り出し物じゃないか。しかも水の魔獣に効きそうな雷。これにしないか?」
「お、おぅ。確かに超掘り出し物だな。これにするぜ。さすがテルだな。」
何がさすがか分からないが、たぶん俺の固有スキル“オール・フォー・ソード”のおかげだと思う。俺は自分のスキルが怖くなってきた。しかし今は時間が無いので、不安は後回しにする。遠くで他の客の相手をしている店主に、俺は声を投げかけた。
「店主のおっちゃーん。俺たち、この剣に決めたぜ。」
そう言いながら、ウラガを走らせて、金を机に置く。店主がこちらを振り向くと、俺たちは樽から剣を取り出して、一瞬だけ店主に見えるように振り上げた。店主が頷くと同時に、俺は店を出た。店主が【解析】や【鑑定】で、この剣を確認する事を避けたのだ。だって、こんな価格で売られるはずないもんね。買ったもん勝ちだね。
俺たちは東門への街馬車へと飛び乗った。
■ステータス
テル・キサラギ 人族 男 18歳 レベル18
体力:202 魔力:97 筋力:119
速度:85 耐性:46 魔耐:41
召喚獣:氷の精霊【ユキ】
スキル:【オール・フォー・ソード】【採取2】【伐採1】【鑑定2】【スラッシュ2】【二段突き2】【地形把握2】【周辺把握2】【ステップ2】【遠見2】【夜目2】【交渉2】【鷹の目2】
■ステータス
ウラガーノ・インヴェルノ 男 人族 19歳 レベル22
体力:281 魔力:54 筋力:170
速度:64 耐性:80 魔耐80
スキル:【ハイシールド】【交渉1】【鑑定2】【構造把握2】【解析1】
ウラガーノ君の剣を買いました。
今後必要なので、どうしても剣が必要になり、無理やり安く入手させました。
なんか変な感じになったけど、しょうがないね。
_(-ω-`_)⌒)_
次回からダンジョン編です。