モンスターが多すぎます。
前回のフラグを回収します。
おいおいマジかよ。魔法だよ!攻撃魔法!ほんとにあるんだなぁ!ファイアーボールだよ。火がボーンって!野球ボール大のが、ポーーンって飛んでるよ!
「テル!さっさと攻撃しろよ。何ボケっとみてるんだよ!バカ!」
「だれがバカじゃい。ファイアーボールだぞ。男の夢だよなー。」
「初級魔法だよ!そして俺の防御はもう限界だよ!」
チッ。もうちょっと見ていたかったのに。ケチなやつだ。
昨日のフラグ通り、俺は朝から強敵と遭遇していた。早朝から周辺を探索するために、ちょっと南に行ったところ、ゴブリンの群れに遭遇した。最初は楽勝だと感じていたが、森の奥からさらに、メイジゴブリンが出てきたのだ。お馴染みの魔法を使うゴブリンである。杖を持っているなんて、王道を外さない。そんな敵を熱心に観察していると、いきなりファイアーボールが飛んできた。とっさにウラガが間に入ってくれたので、事なきを得て、最初の会話に戻るのだった。
■メイジゴブリン、レベル20 ランクD 【火魔法1】
ウラガかガードしながら教えてくれた。【解析1】だとランクが低い敵の場合、スキルまで見えるらしい。なにそれ、俺も欲しい。帰ったら取ろう。
しばらく見ていたおかげか、魔法が飛んでこなくなった。メイジゴブリンは杖を振り回してやってくる。たぶん魔力切れだ。俺は他のゴブリン達も順番に倒していき、メイジを最後に切り裂いた。
「ぐはー。朝からめっちゃ疲れたぜ。まさか魔力切れを狙ってたなんてな!俺が居ての、作戦だったんだな!」
「・・・もちろんだとも!ウラガが守ってくれると信じていたから、見てられたんだ!」
「やっぱりかー。さすが俺だな!頼られるって嬉しいもんだ。」
うん。良い方向に解釈してくれたようだ。結果オーライだね。
「メイジの持ってた杖って売れるのか?」
「いやー。売れても安いだろうな。魔法陣が入ってるはずだけど、ゴブリンが作ったやつだから、燃費が凄く悪いんだ。売れても銅貨50枚ってところかね。」
「銅貨50枚でも売れるのなら回収しておこう。少しでも金は欲しい。」
という事で、討伐の証である耳を切り取る。ちなみに、ゴブリン、ホブゴブリン、メイジゴブリンと、それぞれ耳の模様が違うので、間違う事は無い。
俺たちはさっさと王都へ帰る事にした。行きは走ってきたので、帰りはゆっくり歩きたかったからだ。【鷹の目2】で周囲を警戒しながら、森が近付くと視線を飛ばして観察した。森の中にはチラホラと、ゴブリンやイノシシが闊歩している。食糧には困っていないような気がする。地中から出てきた蛇やネズミを食べていたからだ。
何度かゴブリンの群れと戦ったが、イノシシは出なかった。次は簡単に倒せる気がするので、出てきたら、俺の成長を確かめたかったのだが、残念だ。日没近くになって、王都が見えてくると、雨が降り出した。走って東門まで来たが、ずぶ濡れになってしまった。一時外出の札を渡して、銀貨を返してもらった。宿屋に帰って着替えようと思ったが、俺は【生活魔法】を思い出した。たしか、何度か体験しないといけないらしい。俺はウラガを説得して、教会へと向かった。
「まぁ。まぁまぁ。ずぶ濡れではありませんか。そのままじっとしていてください。“リフレッシュ”」
シスターっぽい人が駆け寄ってきて、いきなり“リフレッシュ”の魔法をかけてくれた。暖かな光に包まれると、服も髪も全身が乾いていた。超便利。
俺は慌てて、(剣の汚れを落とすため。剣の切れ味を保つため)と念じたが、スキルは得られなかった。
それにしてもこの喋り方。あの人を彷彿とさせる。
「もしかして、ゼーの街にいたシスターさんですか?」
「まぁ!あの子と知り合いですの?あの子は私の妹ですの。私たちノンネ一族は、シスターとして世界各地の教会にいますの。そのうち従姉妹にも会われるかもしれませんね。」
某ポケ○○モンスターの獣医さんみたいなもんか。瓜二つなのも、口癖も納得である。
とりあえず、二人で銀貨50枚のお布施をしてから、正面にあるギルドへと向かった。雨は汚れた昨日の服でガードした。ギルドでは知り合いが待ち受けていた。ゼーの街にいたギルドのお姉さん、クレーさんである。
「お疲れ様です。テルさん。さっそく依頼に行っていたそうですね。父から聞きましたよ。」
「こんばんはクレーさん。どうしてここに?そして父って誰ですか?」
「ふふふ。なんと私クレーは、王都に栄転してきたのです!父っていうのは、テルさんの相手をした、足を怪我したおじさんの事です。父はギルドを引退して、実家の宿屋を本格的に継ぐそうです。」
「あぁ。なるほど。欠員が出るから、クレーさんに白羽の矢が立ったんですね。」
「白羽の矢が立つ??意味がわかりませんが、父の後釜として私が選ばれたんです。」
この世界では、あんまり諺っぽい物は通じなさそうだ。不信がられてしまった。俺は話を変えるべく、仕事の話を彼女にふった。
「とりあえず、おめでとうございます。早速で悪いんですが、依頼の報告をさせて下さい。」
「あ。そうですね。準備しますので、少々お待ち下さい。」
クレーさんは討伐品を入れる籠と書類の準備を始めた。
「まずは私の主観から話しますね。モンスターが多すぎます。」
その後、昨日今日と会った事を洗いざらい説明した。
■ステータス
テル・キサラギ 人族 男 18歳 レベル17→18
体力:190→202 魔力:93→97 筋力:115→119
速度:82→85 耐性:44→46 魔耐:39→41
召喚獣:氷の精霊【ユキ】
スキル:【オール・フォー・ソード】【採取2】【伐採1】【鑑定2】【スラッシュ2】【二段突き2】【地形把握2】【周辺把握2】【ステップ2】【遠見2】【夜目2】【交渉2】【鷹の目2】
■ステータス
ウラガーノ・インヴェルノ 男 人族 19歳 レベル21→22
体力:260→281 魔力:52→54 筋力:160→170
速度:62→64 耐性:76→80 魔耐76→80
スキル:【ハイシールド】【交渉1】【鑑定2】【構造把握2】【解析1】
やっと攻撃魔法が出てきて、ファンタジー感が出せました。
表現力が低くて、あっさりしてしまいましたが。
( ̄Д ̄;)
次回は、決定的な異変が起こる予定。