明日は、何もないといいな。
チームとして、初のクエストです。
俺はバカだ。昨日頑張ってユキを召喚したのに、剣を意識しなかったから、【魔力上昇】獲得する足しにならない。そもそも魔法と剣をつなぐ方法が実感できない。うーーむ。普通の魔法だと、属性付与か?あとは、剣で魔法を飛ばすとか?こう剣でズバッとすると、剣戟が飛ぶように魔法を飛ばせればいいんだけど。一応剣戟だし、習得できるだろう。たぶん。けど実際見てみないと、実感わかないんだよなぁ。
「なにしてんだ?さっさとギルドに行くぞ!俺の栄光への第一歩だ―!」
相変わらずウラガは朝から元気だ。おかげで、とりあえず行動しようと思えた。
ギルドでの登録は、何事もなく終了した。俺とウラガは受付のおじさんに、チーム登録もしてもらった。チームに登録しておくと、個人のギルドランクが上がりやすくなったり特典があるそうだ。俺はおじさんに、宿の御礼も伝えてから、依頼の掲示板へ向かった。
「なぁなぁ!どれにする?俺らFランクだから、Eランクまで受けれるんだよな?金が高いやつにしようぜ?」
「いや。最初は金が少なくても安全なものにしよう。もし怪我でもしたら、それこそ損になってしまう。」
「確かに。最初だもんな。テルの言うとおりだ。」
「じゃあこれはどうだ?街の周辺を回って、ゴブリンとかの魔獣を見つける仕事だ。倒せるなら倒しても良いらしいが、情報収集がメインみたいだな。」
「よし。じゃあこれ持って、おじさんとこ行こう!詳しく聞かなきゃな。」
おじさんによると、情報収集がメインのギルド依頼の仕事らしい。最近魔物が活発になって、街から1日くらいの距離を手分けして調べているらしい。
■依頼内容:情報収集。王都“ケーニッヒ”から南へ、街道沿いに片道、徒歩1日で行ける広場までの、魔獣について調査する事。倒せるなら討伐も可。報酬、銀貨5枚。定員1チーム。魔獣の討伐報酬は、ギルド規定に準ずる。完了報告はケーニッヒギルドまで。ケーニッヒのギルド印。
俺たちはさっそく準備に取り掛かった。といっても、水は街道の広場に湧水があるから水筒の分でいいし。一泊だけなので、毛布一枚と干し肉だけで大丈夫だ。銅貨50枚、5000円で済んだ。
時間的にはまだ朝なので、急げば今日中に街道の広場に着けると判断し、とりあえず東門まで街馬車でやってきた。東門で一時外出用の札を銀貨一枚で購入し、出発した。一時外出札は5日間で帰ってくれば銀貨一枚を返してくれる。それ以上だと返金は無いが、入街料が免除される。
天気は晴れ。太陽が真上にくるまでは、特に何もなく、俺たちは休憩がてら干し肉を齧っていた。この辺までは、王都の憲兵が巡回し、森も魔獣の盗伐が完了しているので安全だ。王都で消費する為の野菜や牧場が併設されている。休憩した後しばらく走ると、そろそろ魔獣がでてもおかしくないエリアに入っていく。王都から見て南は、馬車で5日程行くと、小さな岩山が乱立する場所になる。王都の石切り場として栄えた街があるそうだ。それまでは平原が続いている。ちなみにずっと西に行くと、神の島への玄関口となる、神海に面した大きな街があるらしい。
「おいウラガ!遠くで馬車2台が襲われてる。走って5分くらいだ。加勢するぞ!」
「良く見えるな。わかった、俺が盾になるからお前は攻撃に専念してくれ。」
馬車に近付くと、ゴブリンと、ゴブリンより少し大きいホブゴブリンが、合計10体で馬車を襲っていた。馬車の周りはたくさんのフルーツが転がっていたので、それを狙ったのだろう。護衛役が2人で応戦しているが、いかんせん数が足りていない。
「加勢します!」
俺は大声で叫んだ後、一番近くにいたゴブリンに【ステップ2】で駆け寄り【スラッシュ2】をお見舞いした。ゴブリンは身体を真っ二つにして倒れた。俺に気付いた他のゴブリンが駆け寄ってくるが、【ステップ2】で距離を取る。ウラガが間に入って、ゴブリンの攻撃を受けている間に、【ステップ2】で回りこんでゴブリンを倒す。それを繰り返してゴブリンを倒していった。ホブゴブリンは身体と力が少し強いだけで、苦戦する事もなく倒す事ができた。
「助かったぁ。ありがとう。といあえず、これでも食べて休んでくれ。」
商団のリーダーらしき小太りの男が、腰を抜かしながらも、御礼を言ってきた。よっぽど怖かったのだろう。護衛役のお兄さん方も座り込んでいる。俺たちはナシに似た果物を齧りながら、話を聞いた。
商団は南の街から果物を売りに来たらしい。護衛のように見えたのは、息子さんだそうだ。ここまでも何度か襲われたらしいけど、敵が少なかったらしくなんとか倒せていたらしい。しかし10匹にも囲まれて、死を覚悟していたようだ。
「謝礼は必ずする。でも手持ちが少なくてな。残ったフルーツを売って、なんとか金を作るから待ってくれないか?」
「分かりました。俺たちは依頼をしなくちゃいけないから、街に帰ったら報酬をくれ。俺はテル・キサラギ。こっちはウラガーノ・インヴェルノ。そうだな。2日後の朝には王都にいるから、そこで会おう。」
「わかった。それまでに金を用意しよう。本当に助かった。有難う。」
俺はこれまでの事を聞いた後、先を急ぐために走り出した。
途中、3匹ほどのゴブリンの群れを何度か倒した後、日没ギリギリで街道の広場へたどり着いた。そこには誰もいなかった。普段は行商の馬車が2~3台いるはずなんだが。ギルドで聞いたが、広場は、街頭が魔物避けの効果を有しているので、弱い魔獣は来ないらしい。ランクC以上だと突破してくるが、ランクCなんて滅多に出会わないので安心だ。今日出会っただけで、ゴブリン21匹、ホブゴブリン7匹だ。魔獣は森から出てきにくいので、この数は多すぎだろう。
「なぁ。これちょっとおかしくないか?いくら冬が開けたと言っても、多すぎる。冬が開けてもう1カ月以上たってるしよぉ。」
「やっぱりウラガもそう思うか。何が起こってるんだろうな。」
「考えてもわかんねーな。明日は早朝にここら辺を調べたら、さっさと王都へ戻って報告しようぜ。」
「そうしよう。じゃあさっさと飯食って寝るか。ちょと疲れた。」
「そうだよな。こんなに戦ったの初めてだし、俺もスゲー眠い。」
「明日は、何もないといいな。」
干し肉と薄い野菜のスープを作って、さっさと寝た。俺の最後の言葉が、きちんとフラグを立てているのに気付くのは、翌日の朝になってからだった。
■ステータス
テル・キサラギ 人族 男 18歳 レベル16→17
体力:160→190 魔力:89→93 筋力:105→115
速度:75→82 耐性:42→44 魔耐:37→39
召喚獣:氷の精霊【ユキ】
スキル:【オール・フォー・ソード】【採取2】【伐採1】【鑑定2】【スラッシュ2】【二段突き2】【地形把握2】【周辺把握2】【ステップ2】【遠見2】【夜目2】【交渉2】【鷹の目2】
■ステータス
ウラガーノ・インヴェルノ 男 人族 19歳 レベル20→21
体力:230→260 魔力:50→52 筋力:150→160
速度:60→62 耐性:72→76 魔耐:72→76
スキル:【ハイシールド】【交渉1】【鑑定2】【構造把握2】【解析1】
テル君達は走った。めっちゃ走った。
体力がいっぱい上がった。おめでとう!
次回は、魔法が出てくる予定。
(*’ω’ノノ゛☆パチパチパチ