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特にエルフの国について注意しような。

久しぶりの更新です!

またちょくちょく更新をしていきますので、よろしくお願いします。


ドーーン♪ドーーン♪


ドワーフ国の港町には、盛大なドラの音が響き渡っていた。港にはこれから『神の島』へと出発する王の乗る船を見送るために、町の人が総出でお見送りをしていた。


それぞれがドワーフ国の小さな旗を振って、思い思いの言葉で船へと声をかけている。


そして船の上、後方の甲板には、国民の声に応えるようにおドワーフ国の王が笑顔で手を降っていた。


俺たちはそんな王の少し後ろで、警護にあたりながら出発にワクワクしていた。


そしてゆっくりと船が出発していく。天気は快晴。空の青と、海の青がとてもまぶしく、これからの航海を祝福するように光り輝いている。


すこし進んだ後、港の姿が小さくなるまで手を振り続けた王が、自室へと戻っていく。俺たちは自由時間だそうだが、一応護衛ということで、甲板や船内に散らばっている。まあ、【周辺把握】等を使えば、どこにいても船を超えて警戒することができるのだが、気分的に部屋にいるのは勿体無く思えたのだ。


「それで、船では何日かかるんでしたっけ?」


俺は操舵室に行ってみた。流石にこれほど巨大な船なので、船長さんや副船長、その他船員さんが数名乗り込んでいる。他に、港町にいたドワーフの騎士が数名乗っている。そして俺はこの船の船長に直接話しを聞いていた。


「早いですよ。ちょうど1日で着きます。」

「でも地図を見る限り、馬車でも数日かかる距離ですよね?」


俺は操舵室においてある地図を見ながらそう質問する。距離的に国の半径分はあるだろうか。馬車で飛ばしても10日以上かかるはずである。


「ふふ。ここは特別な海流が流れているんです。船首から見るとよくわかりますよ。あと1時間もすれば、その海流に乗ります。」


特別な海流のおかげで、尋常ではない速度が出るようだ。どんな海流かとても気になってくる。だがまだ時間があるので、俺は他のことも聞いてみる。


「船長さん、この地図を見ると、海が途中で切れてるんですけど、この黒いところはどうなってるんですか?」

「おや?ご存じないんですか?ここの黒いところは、何もありません。本当に海がすっぱり切れていて、実際の見た目も真っ暗なんです。落ちたらどこに行くのか、知る者はいないんですよ。」

「え?海に底なしの空洞があるんですか?じゃあ俺たち、どうやって『神の島』まで行くんですか?」

「それは、先ほど言った海流に乗るんです。各国、一本ずつ海流が通っており、それだけがまるで海の道のように、『神の島』まで続いているんです。」


俺はより詳細な地図を見せてもらう。そこには確かに真っ暗な中を一本の道が描かれていた。


「つまり海流から逸れると、落っこちると?」

「そうなりますね。まぁ、そうそう逸れることもないんですがね。」


その後も俺は船長や船員からいろんな話を聞いていく。


この辺で取れる魚、海に住む魔獣、特別な海流について。魚は、今日から毎日食卓に登るから楽しみにしている。

海の魔獣は、なぜか『神の島』へと行くこの時期の王の船のみ狙われないそうだ。世界7不思議の一つだそうだ。


というか、この国にも世界7不思議があるんだなぁと、親近感に似たものを感じた。


「お、そろそろですよ。船首にどうぞ。あ、海流に乗る時は、何かに捕まっててくださいね。」


俺は船長に促される様に、操舵室から出て、船首へと移動する。


船首には、すでにウラガやクルス達が集まっていた。彼らも他の船員から話を聞いたらしい。


そして程なくして、海の景色が変化する。


それまで延々と続いていた海が、ある境界からすっぱりと切れているのだ。その先は、本当に果てしない闇。いや、宇宙が広がっているのかと思われるほどの、底のない空間が広がっていた。そして大量の海水がその闇へと滝のように流れ落ち、吸い込まれていく。テレビで見たナイアガラさながらの光景が、延々と続いているのだ。とても迫力のある光景だった。


そして船のちょうど進行方向には、そんな闇の中を、一本の海の道が続いている。船はその海流に吸い込まれるように、ピタっとはまるように乗ることができた。


俺たちは、船員に勧められた通り、近くの手すりをしっかりと握っている。


そしてその海流に乗った瞬間、急速に船の速度が上がる。まるでジェットコースターに乗った時のような急加速である。そしてその加速は続き、最終的には体感だが新幹線か、飛行機くらいの速度が出ている。船が出せる速度ではない。


「おい、テル!海の道をよく見てみろよ!」


ウラガが指差す様に、海の道をよく見てみる。


海の道は、簡単に言えば線路のような構造をしていた。と言っても線路があるわけではない。線路の代わりに、2本の太い海流が海の底から湧き上がっているのだ。しかもその海流は、『神の島』の方向に斜めに出ているために、船が乗っかるだけで、勝手に押し流してくれるという親切設計だった。


もちろん溢れた水は、横の闇へと流れ落ちていく。船長が言ったように、これなら海流から外れることは無いが、やはり万が一を考えると恐ろしい。


闇は本当に吸い込まれるように、一切の光が届いていない。純粋な恐怖を与えてくる。


俺たちは船員さんが昼食に呼びに来るまで、その不思議な海の現象について、あれこれ議論しながら、船旅を楽しんだ。


昼食は、ドワーフ国で捕れた魚を使った料理が並んだ。鮭のような普通の魚から、そうめんの様に細い魚、ネジの様に体が螺旋状にねじれた魚など、どうやって泳いでんだ?と突っ込みたくなる魚のオンパレードだった。もちろん王がいるので、料理は一切の妥協がない。美味かった。


そして昼食後は警備をしながら、各人スキルを磨く時間に当てた。正直、海の道は午前中だけで飽きてしまったのだ。しかも、海流に乗ってしまうと、もう魔獣の心配もないそうなので、危険と言えば船員が反旗を翻す可能性しか無い。そんな極小の可能性すら無いので、比較的のんびりした時間が流れた。


夕食の時、ドワーフ王から翌日の注意事項が述べられた。


「明日、『神の島』に着くのだがその日に会議が始まる。」

「はい。ギリギリ間に合うんですよね。」

「そうじゃ。そこで、護衛の件だが中には入れるのはワシを含めて3人じゃ。」

「なるほど。王一人につき護衛二人までですね。クルス、巫女にも護衛がつくのか?」

「うーん。つけられるー。けど、いままでつけたこと無いー。」

「となると、王の護衛に俺とウラガ。クルスの護衛に、クリスとアン。ちょうどいい人数ですね。」

「そうじゃな。それで頼む。」

「ところで、会場はどんなところなんですか?」

「当日になるまでわからん。」

「え?わからないって、毎年違うってことですか?」


それほど『神の島』は広いのだろうか。複数の施設を有していて、ランダムで使用場所が変わるとか?


「『神の島』自体は、そんなに広くない。じゃが、会議をするための施設が、毎年作り変えられるのじゃ。おそらく神のご意思じゃろう。」

「へぇ・・・」


(絶対、自分が使ってみたいと思った施設を作ってそうだなぁ。多分いろんな世界を見ているから、刺激を受けるんだろうけど。)


「ちなみに、去年はエルフの国にあるような大樹と、その上にログハウスであった。何年か前は石の円卓しかない、青空の元での会議もあったのぉ。」

「「へ、へぇ」」


(ぜったいそれ会議のこと忘れてただろ。急遽机だけでもってことで石で作ったに違いない。)


俺たちは、神から手紙をもらったことがあるものが多い。神の実情を知っている俺達は若干顔を引きつらしていた。


「神が参加される会議自体は、半日で終る。その後、各国の王と懇親会が開かれるのじゃ。一日ですべてが終わる。だが出港は翌日になる。流石に、夜に海流に乗るのは怖いのでな。」


その後、王から注意事項を色々聞いた。

基本的に武器の持ち込みは許されている。魔法のある世界なのだ。持ち物など無くとも攻撃できるのだから、武器だけを制限するのは意味が無い。

だが、決闘や喧嘩は厳禁とのこと。あくまで話し合いで解決する場である。

懇親会後は、俺たちはそのままエルフ国へ向か得るように頼んでくれるらしい。帰りは、同行した騎士が警護に専念するから大丈夫らしい。


「さて、最後に余談なんじゃが、ここから見る星は格別じゃ。見てみると良いぞ。」


という王からの情報で夕食会が閉められた。


俺たちは夕食の後、ウラガに魔法で体を綺麗にしてもらった後、皆で甲板に出た。


王がデッキチェアに寝転んで星を見ていたので、俺達も真似して空を見上げる。


「「おぉ!!」」


空には天の川が流れ、無数の星が、本当に降ってくるかの様に広がっていた。夜なので、船の明かりもなく、更に街からの光も無い船の上は、星の光がかき消されることもない。


俺達はしばらく星を堪能しながら、ぽつりぽつりと話していく。


「明日、神の言葉を直接聞ける。この世界の変化について、少しでも情報を得る機会だ。多分何も無いと思うが、神の言葉だけじゃなく、各国の変化、特にエルフの国について注意しような。」


星を十分に堪能した俺達は、明日に備えて、夜もそこそこに眠りにつくため各部屋へと戻っていくのであった。



『神の島』への移動ですね。船ではありえない速度を出す方法として海流を利用しました。ちょっと無理があるかもしれませんが、まぁご愛嬌で。

テルくんは、神に色々聞きたいことがあるのかもしれません。

次回は、会議の予定。

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