表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
210/214

初めてのエルフさんか。ちょっと緊張するな。

王様との話。


食事も終わり、俺達はお茶を飲みながら王様の質問に応える。


どんな敵が出てきたのか。罠はどんなだったのか。どうやってクリアしたのか。王様はかなり好奇心旺盛なようで、質問が止まらない。


王様の好奇心のおかげか、食事中に感じた悔しい思いや、胸の思いも少しは薄れてくる。


そして話がラスボスとの話になって、女神様の話へえと移る。


「あ。女神様からこれを貰いました。」


俺は女神から別れ際にもらった、火の魔法結晶を渡した。王様だけでなく、側に控えていた官僚の人たちも驚きを隠し切れないようで、目を丸くしている。


「触ってもいいかね?」


と言いながらすでに火の魔法結晶を持ち上げて、色々な角度から見ている。机の上に置かれていたロウソクの火にかざしたりしている。


「これなのだが、譲ってくれないだろうか。その・・・財務大臣。」

「申し訳ありません。此度の件で、かなりの資材を投じてしまいました。復興を考えると・・・国宝数点ならなんとか。」

「もし貨幣が良いなら、少し時間をくれぬか。必ず用意するゆえ。」


王と財務大臣は申し訳ない顔を向けてくる。どうやら王はこの魔法結晶をどうしても欲しいらしい。


「私は無償で渡しても良いと考えています。」

「無償だと!?」


俺の言葉を聞いて、アンと王らは今日一番の驚きの顔をしている。


「テル!ちょっと何言ってるの?これほどの魔法結晶よ!幾らすると思っているの!」


アンは、これまでおとなしくしていたのに、堰きを切ったかのように、俺に詰め寄ってくる。


元冒険者であるアンは、成功報酬や獲得したものについて、お金の管理はしているらしい。それなのに、俺がタダで渡すことに納得できないようだった。


「俺は金には困ってないからなぁ。ちょっと王様失礼しますね」


俺はアンを連れて、部屋の端っこに移動する。そして人族の王からもらった金について、説明した。アンは驚きで声も出ないようで、しきりに金について俺に確認してくる。


俺も金は冒険で使うのなら、皆に分配してもいいと思っている。その話を聞いて、アンは無償で魔法結晶を譲る事に同意してくれた。


「失礼しました。こちらの話はつきましたので、無償でお渡しします。その変わりといいますか、いくつか聞きたいことがあるのです。」

「おお!すまぬの。ワシに応えられる事なら何でも応えぞ。」

「まず1つめ。どうしてこの魔法結晶が必要なのですか?」

「それはの、~~」


王が言うには、今ドワーフ国は冬真っ盛りなのだそうだ。普段ならダンジョンに行き、魔法結晶を蓄えて、冬用の暖房に使うのだそうだ。しかし今回の騒動で備蓄が心もとないそうだ。せっかくダンジョンが消えたのに、凍死してしまう。この魔法結晶があれば、王都まるごと、温めても余裕があるそうだ。


「では2つ目。この国にもう一箇所、神の名のつく場所があると思うのですが、心当たりはありますか?」

「あるぞ。ドワーフ国の北の果て。【神の御心】と呼ばれる場所がある。」


【神の御心】か。次の行き先が決まったな。


「だが今の季節は行けないぞ。雪が積もっていて道が塞がっておる。代わりにエルフの国を勧める。あそこには、【神の吐息】があるそうだ。」


王はそう言いながら、近くにいた官僚に視線を向ける。どうやら他国との情報交換を一手に担っている、いわゆる外交官のようだ。彼が王の言葉を肯定する。


「ちょうど今、エルフ国の支援隊が帰国の準備をしております。話の場を持ちましょう。」

「うむ。向こうの都合もあるであろう。すぐに動け。」

「は!」


外交官は頭を下げると、すぐに部屋を出て行った。


「最後の質問なんですが。ダンジョンクリア後、呼びに来るのが早かったのですが、どうしてですか?」

「そんなことか。先に出てきた隊長が早馬を出したのだ。そして王城も、というか王都自体が揺れていたからの。何かあると思って用意はしておいたのだ。」


ダンジョンが再生するために、一度消滅するのだが、その振動がかなりあったらしい。王は直感的に、ダンジョンに異変があったと思い、色々と用意したそうだ。


言葉には出していなかったが、おそらく俺たちが失敗して、ダンジョンに影響があったと考えて、追加の兵士も駆けつけていたのだろう。王が一瞬見せた苦笑いがそう言っていた。


俺は最後に当たり障りのない質問をすることで、話の区切りを良くしようと思ったのだが、ちょっとミスったかもしれない。


俺がちょっと次の言葉に困っていると、クルスが隠れて欠伸あくびをしていた。それを王が目ざとく見つけたようだ。


「おぉ。すまんな。疲れていたのに。そろそろ部屋の用意ができたかの?」


執事のドワーフが肯定する。


「お部屋にご案内します。」


俺たちは部屋に案内される。


身長が小さいドワーフの客人用ではなく、他国の貴族を招く用の部屋に案内された。急ピッチで用意されたとは思えないような、綺麗な部屋だった。


俺たちはベッドへ腰掛けると、そのまま倒れこむようにして眠りについた。王に呼ばれて気を張っていたので我慢出来ていただが、どうやらかなり疲れていたようだ。


翌朝、というか昼まで俺たちは眠った。俺達が起きるまで、寝かせてやれと王に言われたようで、執事の人が対応してくれた。


「昼食の後、エルフ国の使者との会議を予定しております。急ですがよろしいですか?」


もちろん俺たちは問題がないので了承した。


「初めてのエルフさんか。ちょっと緊張するな。」


エルフがどんな姿なのか、俺はワクワクしながら昼食を取るのだった。


本当は移動まで行きたかったのに。執筆が遅い・・・

テルくんは、エルフさんに 夢を持っているようです。どういうエルフさんにしようかなぁ。

次回はエルフさんと移動の話の予定。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ