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【大盾】は内部からの攻撃に弱いよなぁ。

52.53.54階層の話。


52階層。炎の花が咲き乱れる階層。


ユキの魔法によって、危機を脱した俺達は、そのまま進むことにした。ウラガの【大盾】はスライムのシズクによって、【水魔法】の付与が加えられ、熱に強くなっている。


この熱の花。見た目とは裏腹に扱いが難しい。


【大盾】で押しつぶしても、すぐに起き上がってくるので【大盾】の内部が花で囲まれて、身動きが取れなくなる。最悪、花に焼かれるだろう。


【風魔法】で切り飛ばしても、空中に舞い上がり、【大盾】を溶かしていく。そしてそらえと舞い上がった花に擬態した魔獣は、空からファイアーボールを撃ってくる。退治するのに骨が折れるのだ。


「結局のところ、どうしようか。押しつぶす?切り飛ばす?」

「「「うーーん」」」

「押しつぶした方がよかろう。」


皆が悩んでいる所に、アンだけはすぐに自分の意見を行ってきた。


「空に舞ってしまっては、対処が困難になる。魔獣も花もな。それなら地面に固定されている方が扱いやすいだろう。」

「俺も同意見だ。押しつぶした後は、【土魔法】か何かで重しを加えれば良いだろう。」


ということで、このエリアは【大盾】で押しつぶすことにした。ウラガの【大盾】が花を押しつぶした所に、モノリスのダイチが【土魔法】で土をかぶせていく。


俺たちはダイチの負担が少なくなるように、二列に並ぶようにして歩いて行く。


もちろん先頭はウラガとグラス。中ほどにアンとクルス。最後尾は俺だ。


俺は【鷹の目】と【土魔法】の剣を利用して、外にいる花の魔獣の対処に専念する。切り飛ばさないので、花は地面に固定されており、ふわふわと避けられることもなく、土の剣で一刀両断にする。


俺は敵へと対処しながらも、修行に勤しんだ。


課題は、「回避能力の高い的にどうやって剣で戦うか」だ。

これまでは【遠隔操作】で剣を操作していた。だがそれでは反応が追いつかない。


現在、一度に作れる剣の数は8個。レベルが上って増えたのだ。しかしそれでも8個。これでどうやれば。


「むー。囲ってみるか?」


俺は剣をコの字型に整形する。もはや剣の形をしているだけで、剣としては使えないだろう。だが、このコの字型の剣を2つ組み合わせると、箱が出来るのだ。


俺は、こちらにファイアーボールを打ってきている花の魔獣めがけて、コの字型の剣を2本【遠隔操作】で放つ。


【土魔法】の剣で囲まれた花に、隙間から剣を突き刺した。箱を形成した剣を取り除いてみると、剣はきちんと花の魔獣を貫いていた。


「面白いけど、使えるの?」

「ちょっと無理かな。」


アンが俺に聞いてくる。俺が目指しているのは動きまわり、回避能力が高い魔獣対策だ。こんな方法で捕まるほど簡単ではない。


そうして俺はなかなかいい方法を思いつかないまま、試行錯誤を繰り返しながら、ダンジョンを進んでいく。


最初は手こずったが、52階層もクリア出来た。


53階層は、花の背がのび、量が増え、花が勝手に空中へと飛び立っていく。まるで、たんぽぽの綿毛が空へと舞うようだ。


もちろん、花に擬態した魔獣も飛んでくる。だが、これはウラガの【大盾】が防ぐ。もちろんシズクによる【水魔法】の付与があるからだ。持ちこたえている間に、俺とクルスでどうにか花を退治していく。


そして54階層。

ここからは、青白い花が増えていきた。


それは周りの空気すら液体に変えている。しかも形が特徴的で、食虫植物のウツボカズラの様な形をしていた。


最初、ウラガが何も考えず白い花を押しつぶした時、中に溜まっていた液体空気が、一気に【大盾】の中に溢れた。


液体窒素ならば俺たちは窒息死していたかも知れない。


だが空気すべてが液体となっていたので、窒息はしなかったが、内部に生まれた空気は、隣の炎の花に触れると、一気に気化する。


体積が一気に膨れ上がり、さながら空気爆弾のように、内部がはじけ飛ぶ。【大盾】の内側というのが更に常用を悪化させた。


ほぼ密閉状態だったので、爆風が逃げる隙間がない。内部は暴風が吹き荒れ、俺たちは【大盾】の内側へと吹き飛ばされた。


一番被害を受けたのは、一番先頭に居たウラガだった。吹き飛ばされたウラガは、しばらくして気を失った。


そのおかげで【大盾】が解除される。爆発の連鎖は、【大盾】が解除されたことで、外へと向けて威力を逃がしていった。


俺たちは気絶したウラガを抱えて、54階層入り口の安全地帯へと緊急避難する。幸い、それほど歩いていなかったので、魔獣に襲われることもなく逃げることができた。


ウラガの怪我は思った以上にひどい。おそらく俺たちを守るために、最初の爆発を一新に受け止めたのだろう。おそらく骨が何箇所か折れており、肺も傷ついている。


俺はウラガに剣を握らせ、【光魔法】をかける。


『ウラガがまた剣を振るえるよう、怪我を治す。』


そう念じながら、効率の悪い【光魔法】を一心にかけ続けた。20分ほどかけ続けて、ようやくウラガの呼吸が安定してきた。


かなりの重症だったようだ。その後、他の三人と自分にも【光魔法】をかけて治療した。俺は魔力がかなり減ってしまい、今日の攻略はここまでとなった。


「【大盾】は内部からの攻撃に弱いよなぁ。」


今後の課題がまた一つ増えた。【大盾】はドーム型にすることで、ほぼ外からの攻撃を全方向から防げる。だが内部からの攻撃は逃げる場所も鳴く、威力を殺す方法もなく、俺達をピンチに陥れる。どうすれば良いんだろうか。


ウツボカズラ。なぜか突然頭に降ってきました。空気すら液体にする冷気の花。怖すぎます。熱と冷気の威力が最初からフルで発揮されています。ダンジョンが深くなったから、ということかもしれません。

テルくんは、ウラガ以外の人にも【光魔法】をかけています。もともと剣以外には魔法すら発動すらしにくいので、かなり燃費が悪いのです。不便ね。

次回は54階層以降の話の予定。

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