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ウラガたちの方が近いな。シズク、伝えてくれ。

43階層の話。



43階層。水を凍らせるフロアへやってきた。昨日のうちにウラガと共に確認しておいた仕掛けだ。


「話た通り、まずはゴールに進んで、攻略法を確認だな」


41,42階層は、火の数字を消す仕掛けだ。同様に【火魔法】で水の熱を吸収することで正解にたどり着ける。ただその順番が問題なのだ。


部屋は3km四方と、ちょっと広くなったので、キリキリ進む。このフロアは仕掛けを動かさないかぎり魔獣は出ないので、ゴールまで急ぎ足だ。


ゴールへとたどり着いた時、44階へと続く階段は、真っ白い壁で覆われていた。


「炎と逆で、触れた瞬間に氷漬けだな。」


もちろんウラガの【大盾】で突き進むなんて事はできない。そこはダンジョン仕様である。謎

バリアがしっかりと侵入を拒み、ついでに凍らせてくるという二段構えだ。


その白い壁には、これまた白い文字で、1と書かれている。


「??今回は前回、前々回と違う??」

「ちょっと嫌な予感が。」

「テルさんは、何か気づいたんですか?」


ウラガの疑問に、俺はなんとなくだが回答を得ていた。それをグラスが催促してくる。


「ランダムかもしれない。」

「「「うわぁ」」」


俺の予想に、全員がため息混じりにものすごく嫌そうな声を出してくる。俺だって嫌だ。


今までは/20とか、20.19…2.1と書かれていたので、順番に数字を消してきた。だが今回は、単に数字が書かれているだけ。確証は無いが、ランダムっぽい。


「ユキ、頼みを聞いてくれるか?」

「キュッキュ♪」


俺はユキにゴール地点で待っててもらうよう伝えた。出会ってからほとんど離れたことの無い俺達だが、これは必要なことなのだ。いい経験になるかもしれない。


幸い、道中に魔獣は出ないので、ユキ一人留守番してもらっていても安全だ。


「とりあえず進もうか。」


まだランダムと決まったわけではないので、とりあえずスタート地点まで戻ってから確かめることにする。俺たちは、ユキに留守番を頼んで来た道を戻る。


と言っても走っても片道1時間はかかる。すでに疲れてきている。


スタート地点にある1という形の水たまりに、グラスが【火魔法】で熱を吸収する。一気に凍りつき、氷の1が出来上がる。


「!そうか。ありがとうなユキ。」


俺は、誰も居ない方角を向きながらそう呟いた。いや、正確には壁を何十枚も挟んで、その方向にユキがいるのだが。


「実験は成功したみたいだ。ユキが言うには、つぎは11だそうだ。」

「そっか、その前に敵を倒さないとな。」


水の1を凍らせたてから、しばらく経った後、地面から炎ではなく、今度は白い煙が吹き出した。


その白い煙は人型へと変化していく。さしずめアイスマンと言ったところだろう。それが10体。


俺たちは魔法を駆使して、そいつらを瞬時に倒した。ファイアーマンもアイスマンも、実体が無いので、魔法以外の直接攻撃だと倒すのは難しいだろう。だが俺達は皆が魔法を使える。ちょっと異常なパーティーだ。これぐらい朝飯前である。


「敵も強くなかったな。どうする?別れれるか?」

「うーん。危ないー?」

「かもしれない。けど、時間がなぁ。」


今回はランダムだ。しかもダンジョンが広くなっているので、攻略に要する時間はバカにならない。効率を重視するなら二手に分かれて対応するべきだ。


「良いんじゃないかしら?見たところ、このフロアでは敵は脅威じゃなさそうだし。」


ダンジョン経験者のアンからお墨付きをもらった。この声をきっかけに、俺達はふた手に別れることとした。


「それじゃぁ俺、クルス、アンのチーム。」

「俺とグラスのチームだな。連絡はどうする?」

「シズクか、ダイチを連れて行きたいんだけど、良いかな?」

「じゃぁシズク、頼めるか?」

「ピー。」


シズクは悲しそうだが、了承の返事をしている。シズクは水の神獣で、俺の次にウラガと付き合いが長い。それだけ心で繋がっているので、距離が離れても意思疎通出来るはずである。たぶん。・・・きっと。


「確認な。俺がユキから数字を確認する。俺達の方が動くか、ウラガ達が動くかは、シズクを通して伝える。俺たちはダンジョンの前半、ウラガたちは後半を。仕掛けの場所は、グラス、わかるよな?」


これまでグラスには探知系のスキルを伸ばす様に行ってきた。おかげで今では俺と同程度の探知能力をもっている。いつの間にか【鷹の目】ももっているので、視線を飛ばすこともできる。


「それじゃ、また後でな。」

「行ってきまーす。」


ウラガとグラスは、ダンジョンの後半に当たる場所で待機するために歩いて行った。


「よし、俺達も11番を凍らせに行くか。」


本当ならクルスと二人が良かったのだが、超接近戦等が得意なアンと、これまた接近戦のウラガがいると、バランスが崩れるということで俺たちと一緒なのだ。


15分ほど歩いて、11番の数字を凍らせた。


周りにアイスマンが発生するが、数は10体。予想通りランダムであり、攻略方法はあっていたようだ。


【火の魔法結晶】を使い、魔力を節約しながら、アイスマンたちを一気に燃やす。俺は【火魔法】を使っても、火の剣を作るしかできないので、ちょっと役立たずだ。それでも攻撃には参加する。仲間はずれは悲しいじゃん?


「ん。よゆー。」

「そうね。意外と行けるわね。」

「お。ユキから連絡が来た。次は13番か。」


俺は【地形把握】と【鷹の目】を使って、場所を探し出す。


「ウラガたちの方が近いな。シズク、伝えてくれ。」


俺の言葉にシズクは、プルンと震える。たぶん頷いたのだろう。そしてしばらくしてから、ピーと鳴いた。ウラガが了承して、動くということだろう。伝わらなかったり、ダメならシズクが2回鳴く手はずだったからだ。


そんなこんなで、ふた手にわかれた俺達は、42階層よりスピーディーに43階層をクリアすることができた。


そして昼食後、44階層へと進む。


なぜかスピーディになったのは、ダンジョンの攻略時間で、話が進むスピードではない。どうしてこうなった。

テルは初めて自らの意志で、ユキと離れました。親離れ?でしょうか。ちょっと遅いけど、別れの季節ですものね。ちなみに、作中では真冬のはず。そしてウラガとシズクも離れ離れ。シズクが心細そうで、早く再会させたくなってしまいました。

次回は44階層以降の話。

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