やっと出てきてくれたな!盗賊さんよぉ!
話を進めるために、ばっさりカット!
テンポ良くいかないとね。
*お金の計算を間違えており、急遽剣を購入。
それから5日が経過した。特に変わらず、ネーロに使われる合間を縫ってはスキルを磨いた。もちろん深夜の猛特訓も続けた。その結果がこれである。
■ステータス
テル・キサラギ 人族 男 18歳 レベル5
体力:71→80 魔力:30 筋力:40→52
速度:40→49 耐性:20 魔耐:15
召喚獣:氷の精霊【ユキ】
スキル:【オール・フォー・ソード】【採取2】【伐採1】【鑑定2】【スラッシュ1】【二段突き1】【地形把握2】【周辺把握2】【ステップ2】【遠見2】【夜目2】【交渉2】【鷹の目1】
レベル2がたくさんある。上級者レベルがいっぱい。ふふふ。
さすがに師範代レベルのレベル3には届かなかった。でも5日では上々だろう。個人スキル様様だ。そして待望の【鷹の目】も覚えた。本当に視線を飛ばす事ができた。超便利。
俺の貯金も目標をこえて、金貨1枚銀貨57枚銅貨50枚である。約157万円。でもまだ買わない。もっとお金をためて、良い武器や防具、ポーションを買って盗賊に備えるのだ。その為にも深夜の特訓から、ゴブリン退治のレベルアップに変更だ。
そう決意した翌日、ネーロは俺とエバさんを呼び出した。
「3日後、王都に買い出しに行きます。エバは知ってると思いますが、片道20日くらいです。途中に3か所ある小さな町に泊まり、補給するので、最初の野宿用の食料は、8人前で5日程度で結構です。魔獣や動物が活発になっているという情報があるので、装備や薬草、ポーションを十分用意して下さい。それとは別に、特別に銀貨2枚をあげます。自分の準備に使いなさい。分かったら下がって良いですよ。」
俺はエバさんと一緒に部屋から出て、さっそく準備にとりかかる。
「長旅には、特別な準備がいる。馬車が壊れた時用に修理するから、板とくぎ、とんかちを入れておけ。雨も降るから、毛布は多めに入れろ。雨をはじくマントがあるから、それも2枚入れとけ。馬は各街ごとで乗り換える。帰る時には、借りた馬を返す形で戻ってくる。準備できたら俺に確認とれよ。」
(予定外だ!まだレベルが低い!王都への道中でレベルアップするしかないのか?そんなことより、魔法契約書だ。今日と明日は、準備に使う様で、俺は自由に動ける。だから、まずは魔法契約書を買いに行こう。次にギルドに行って、安い装備品を売ってもらおう。武器屋の商品はたぶん手が出ない。よし、そうと決まれば急ごう。)
先に、エバさんに言われた長旅用の道具を入れて、乾物や香辛料を積み込む。エバさんにOKをもらうと、俺は買い物に出かけた。
「お邪魔します。」
「邪魔するんなら、かえ」
「帰んねーよ。今日は金を持って来たんだからな。」
「うーん。まあまあね。乗り突っ込みの方が面白かったわ。魔法契約書ですよね?書く内容は決まっていますか?」
「ああ。決まってる。一番安いのをくれ。」
「魔法契約書、小ですよね。書き込める文字は100文字までです。金貨1枚になります。」
ギルド証で支払った。一気に貧乏である。
「ではこちらに、あなたの血を垂らしてください。」
指の先から血を一滴垂らすと、魔法契約書が淡く輝いた。
「これで契約書は有効になりました。相手にサインさせる前に、内容を書いて下さいね。魔法契約書を入れておく封筒は、オマケで付けときます。今後とも御贔屓に。」
念願の魔法契約書を手に入れた。やっとだ。やっと買えた。目が涙で潤み始めたが、まだ奴隷から解放されたわけじゃないので、泣くのは早いと思い堪えた。次にギルドへ出向いた。
「あ!テル君じゃないですか。最近は夜中に薬草持ってくるから、私のポイント増えなくなったんですよ!どうしてくれるんですか?」
「やっぱりポイントあったんですね。」
「・・・なんの話ですか?さっぱりですー。」
「いやいや。もう無理でしょう。認めた方が早いですよ?」
「・・・。今日はどういった御用件でしょうか?買い取りではない様ですが?」
無理やり話を逸らすようだ。時間も惜しいので、要件にうつろう。
「まあいいでしょう。今日は装備を安く売って欲しいんです。銀貨50枚で買える、ポーションと防具と良い武器ありますか?」
「うーん。ポーションが一本銀貨1枚なんですよねー。すぐに回復できるから、薬草より高価なんですよ。薬草なら治るまで時間はかかりますが、タダですよ?」
「いいんです。ポーションを下さい。」
「じゃあ、冒険者のお古の防具と、とっておきの剣を、銀貨50枚で売っちゃいます。大サービスですよ。これがお古の装備です。魔獣の厚手の皮を使った品で、胸と腕、足に付ける物です。そしてこれが、とっておきの剣です。ちょっと重いですが、“スピード1”が付与されているんです!」
「付与付きですか!有難うございます。実は王都に行くことになったので、装備を増やしたかったんです。」
「王都ですか。うーん。王都へ行く依頼は無かった気がしますね。気を付けて行って下さいね。」
俺は部屋に帰って、装備を鑑定する。
■皮の防具:防御力10 耐久3/10
■加速の太刀:攻撃力110 耐久10/10 付与・スピード1
これで多少まともな戦闘ができるだろう。後は、王都に着く前までに盗賊と出合うだけである。がんばれ盗賊!
その日は日頃の徹夜がたたったのか、早々に寝てしまった。もうちょっと薬草取りに行きたかったなぁ。
翌日は雨だった。旅用の生鮮食品、主に野菜の買い出しの後は、屋敷の屋根修理を徹底的に行って、往復40日で雨漏りが無いようにさせられた。壁の修復や家具の修理まで、一日中こき使われた。薬草を摘む時間も無かった。クソー!
旅立ちの日は快晴だ。昨日の雨によって地面は濡れているが、おかげで砂埃は立たないだろう。街の城門前で乗客を5人乗せてから、俺たちは出発した。俺は相変わらずステップに座って、後方を監視した。スキルの使用で精神的に疲れたく無かったが、念のために【鷹の目】を使用した。後ろを向いているのに、前方を認識できるなんて、マジ便利。
何度か魔獣と遭遇して戦闘したが、雑魚ばかりで余裕だった。もちろんスピード付与の剣と、エバさんの援護射撃のおかげだ。
馬車に乗ったお客さんにも俺の料理は人気で、ネーロさんにレシピを売ってくれと頼んでいた。チッ。こんな時にも儲けやがって。
魔獣以外は、旅は順調だった。雨に打たれることもあったが、防水マントのおかげで事なきを得た。ちなみにネーロは馬車の中に引っ込んでいた。濡れたくないのだろう。
そんなこんなで、途中にある王都に一番近い、3つの目の宿場町へとやってきた。順調すぎる。予定では、あと5日で王都についてしまう。盗賊さん仕事しろよ。と思っているとエバさんに、気を引き締めるように言われた。なんでもここから王都までの道のりが、一番盗賊に会いやすいそうだ。
王都に近い分、襲った後の荷物を売りやすくなるらしい。人が多いから、アジトを構えても見つかりにくいそうだ。俺はこの街までの間で、かなりの魔獣と戦っていたのでレベルもかなり上がっており、盗賊を待ちわびていた。
あと王都まで、馬車で3日というところで念願の盗賊に出くわした。
「盗賊!数5!」
エバさんは大声でお客さんに警告しながら、馬と馬車を切り離した。馬が驚いて暴走すると、馬車が横転してたり急発進して孤立するらしい。ネーロも馬車の中に避難した。盗賊は、みるからに盗賊といった風貌で、ナイフをちらつかせながら馬車を取り囲んだ。
「金目の物を置いて行け、とは言わねえ。おまえらを全員殺して、全部頂いてやる。運が良ければ奴隷にしてやるよ。ゲハハハ。」
「けっ!返り討にしてやるよ!」
「おっさんは威勢がいいなぁ。逆に、後ろの野郎はビビって声も出ないのか?」
「くくく。やっと出てきてくれたな!盗賊さんよぉ!」
俺の脱奴隷劇が始まった。
■ステータス
テル・キサラギ 人族 男 18歳 レベル5→15
体力:80→153 魔力:30→80 筋力:52→102
速度:49→73 耐性:20→40 魔耐:15→35
召喚獣:氷の精霊【ユキ】
スキル:【オール・フォー・ソード】【採取2】【伐採1】【鑑定2】【スラッシュ2】【二段突き2】【地形把握2】【周辺把握2】【ステップ2】【遠見2】【夜目2】【交渉2】【鷹の目2】
やっと盗賊さんと出会えました。
テル君は会えないんじゃないかと、不安だったでしょう。よかったね。
次回は、テル君の大芝居。ネーロとの取引。そして盗賊とのバトル。の予定
⊂⌒っ´ω`)っ




