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まさか爆発するなんて。ちょっと気が緩んでたな。

地下35階層、36階層の話。

ちょっと短め。



35階へとやってきた。蜃気楼エリアも最後だが、35階層の景色は一変していた。


それまで小高い丘が乱立する草原だったのだが、今は溶岩が海の様に広がっている。そして小島の様に、丘の頂上が顔を出しているのだ。


「変わりすぎじゃね?」

「どうなってんだろうな。」


とりあえず、俺は【地形把握】で35階層を調べる。すると、ちょっと向こうに見えているはずの陸地が、【地形把握】では感知できなかったのだ。代わりに、溶岩だと思っていた所に陸地の反応がある。


「あそこに見える陸地なんだが、蜃気楼らしい。」

「つまり35階は、全体的に蜃気楼で幻がつくられているってことか?」

「あまり視覚に頼ると、事故になりそうですね。」

「風でー吹き飛ばす―?」

「広すぎません?直ぐに幻が復活するかもですよ。」


結局のところ、視覚に頼らず俺の【地形把握】もしくは、【周辺把握】に依存する形で箱舟で溶岩を渡る事になった。


【火魔法】の吸熱を使えば、溶岩の海も冷やして渡れそうだが、双頭の鳥に狙われたら逃げ場が無いと言う事で、箱舟になったのだ。箱舟でもさして変わらないと思うが、ウラガが守りやすいという事で決まったのだ。


俺達は、どんぶらこ♪と溶岩の海をいく。途中、案の定双頭の鳥に襲われるが、ウラガが完全に俺達を守り、グラスとクルスの共同魔法によって、倒す事ができた。俺の転移を使った攻撃は、溶岩の海に落ちかねないと言う事で、使用できなかった。


ちなみに、倒した鳥のうち運よく陸地に落ちた魔獣は、俺の土ナイフを刺して、転移によって引っ張り、魔法の袋に回収した。皆がこの肉を気に入ったので、取れるだけ取る事になったのだ。


部屋全体が蜃気楼で偽装された35階層もなんとか無事にクリアして、36階層へと登る。

36階層からは、少し面倒な階層だった。


見た目はだだっ広い平地が広がっている。先程までの草原ではなく、草が生えないタダの土だけの寂しい階層だ。


俺達はとりあえず進んでいくと、最初は冬の様に寒かったのだが、ある場所を境に、夏の様な暑さへと変化したのだ。


俺達はアンが作ってくれた、暖房用の魔法の袋を付けていたので余計に暑くなり、急いで袋の中から魔法結晶を取り出し、効果を切る。


「暑かったぁ。」

「急に暑くなったけどよ、どうなってんだ?」


俺達は、急に気温が変化した所を、行ったり来たりして状況を確認する。まるで空間が切り取られるかのように、はっきりと気温が違う。


「もしかしたら、ここは気温の変化が激しいんじゃないかな。」

「つまり、アンの付与の袋は使えないって事か?」

「たぶんな。」

「えー!じゃぁ自分たちで切り替えるの?」

「めんどー。」

「それで戦えるのかしら?」


それぞれがブーブー言っている。ウラガが言うように、アンが作ってくれた【火魔法】が付与された、暖房用と冷房用の袋は使えない。これは自動で使い続ける仕様なので、切り替えができないのだ。


「アン。」

「あ、無理ですよ?そこまで万能じゃないです。」


俺が聞こうとした事をバッサリとアンが切り捨てる。どうやら自動的に温度を一定にしてくれる様な、神機能はついていなかった。


俺達は魔力を温存するために、手に火の魔法結晶を握りしめて歩いていく。


暑い場所では冷房、寒い場所では暖房を切り替えなければならない。はっきり言って、面倒臭いし、切り替える瞬間までは一瞬だが、寒いし暑い。


そんな面倒な事をしながら歩いていると、魔獣が襲いかかってきた。見た目はアメンボの様な長い足が8本ほど生えた昆虫系だ。それがピョンピョンと跳ねて、猛スピードで迫ってくる。


「はぁ。昆虫は嫌いなのになぁ。」


俺は慣れた操作で【土魔法】を使用し、土の大剣を6本作り出す。そのうち1本を【投擲】スキルで投げつけた。だがアメンボは横へピョンと飛び跳ねて軽々と回避する。


俺は少しイラっとして、今度は【遠隔操作】を使い、自在に土の大剣で攻撃を仕掛ける。アメンボは身体を低くしたり、高くしたり、横へ跳んだりと、めちゃくちゃ回避能力が高い。


それでも俺の土の大剣は5本もあるので、そのうち一本が足を切り飛ばす。バランスが崩れたアメンボの隙を逃すまいと、次々に足を切り飛ばして、最後は胴体だけになる。


そして最後に胴体へと土の大剣を突き刺そうとしたのだが、これが硬い。ゴーレムかと思う程の硬さを持っていたのだ。どうやら溶岩が凍ったもので覆われているようで、圧縮もしていない普通の土の大剣では刺さらない。


「はぁ。本当に面倒だな。」


俺は【ステップ】でアメンボに近付き、“土の一振り”に魔力を込めて、攻撃力を上げ、一刺しした。


俺は確実に倒したものだと安心して、剣を引き抜こうとした瞬間、アメンボの身体が一気に膨れ上がり、破裂した。


ドーーン!!


俺はその爆風をもろに受け、地面を転がって行く。しかもタダの爆風では無く、猛烈に熱かった。


溶岩を泳ぐ魚や、双頭の鳥が放ったファイアーボール並の熱波に襲われた俺だが、咄嗟に手に握っていた火の魔法結晶に魔力を大量に注いだ事で、全身火傷は防げた。もともと暑いエリアに居て、冷房用に使っていたのが幸いした様だ。


「大丈夫かテル!?」

「火傷はしてませんか!?」


そう言いながらウラガ達が駆け寄ってきてくれる。彼らの元まで熱波が届いたのだろう。俺の火傷を心配してくれるが、火傷が無い事に一安心しているようだ。


念のためにウラガが【光魔法】で、全身を打ちつけた俺を癒してくれた。


「まさか爆発するなんて。ちょっと気が緩んでたな。」


俺はダンジョンに慣れてきており、完全に油断していた。まさか爆発するとは思っていなかったのだ。ダンジョンでの気の緩みは死に直結するのだと、再確認する出来事だった。


とりあえず俺はその場で反省会を開く事にした。俺の気の緩みを皆に伝えて、改めて気を引き締めるのだ。そしてこのアメンボに対する対策と、このフロアの攻略についても話し合うのだ。



芸術はー爆発ですかー?

この爆発は、空気が一瞬で温められた事により起こるものです。一応、純粋な熱により起こる事なので、火のダンジョンで登場しました。まぁ、ファイアーボールやフリーズボールが弾けるのと、似てますね。

テル君は完全に油断してましたね。慣れ程怖い物はない。そういうのw体感する回でした。

次回は、地下36階層以降の話の予定。

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