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帰ったら王様に聞いて、狩りに行こうかw

地下32階層から34階層の話。


32階層へとやってきた。とりあえず、二つだけだが鳥を倒す方法を考えたので、それを試すのだ。


32階層は、少し起伏が出てきて丘っぽいのたが、基本は草原だ。【地形把握】で確認するが、5km四方程度とそれほど広くは無い。だが一つ特徴的な物があった。


「おい、テル。湖が浮いてるぞ?」

「たぶん蜃気楼だよ。」


ウラガが指差した先には、空中にぼんやりとだが湖が浮いて見えていた。これまでの経験から、これも蜃気楼によるものだと勝手に判断する。たぶん正解だろう。


魔獣だけでなく、地形にも蜃気楼が現れた事から、俺は少し警戒する。今後より深く鳴ったこき、行き先が分からなくなりかねないからだ。だが今からそんな事を危惧しても意味が無いので、とりあえず目の前の32階層を歩いていく。


しばらく歩いたところで、お目当ての双頭の鳥が襲いかかってきた。と言っても、遠距離から魔法を放つだけで、俺達の攻撃の射程外から、一方的に攻撃してくる。


俺は【土魔法】で作った土の大剣を放物線を描くように、投げつける。久しぶりに【投擲2】のスキルが発動した様で、魔獣に吸い込まれるように、綺麗な放物線を描いて、飛んでいった。


だが意外と俊敏な魔獣はひらりとかわして、俺達の上空、かなりの高度から高みの見物をしてくる。


「じゃ、まずは私達からね!」

「いくよー。」


クルスがまず【風魔法】を並列処理して、2つの巨大な竜巻を起こす。2つは合体して、より巨大な台風の様になるが、まだ高さが足りないようだ。そこへグラスが攻撃を加える。


グラスが【火魔法】を発動させ、口から火炎を吐き出す。それが台風を渦を巻くようにして広がり、一気に炎のうずとなった。


炎により上昇気流が発生したのか、それともエネルギーが加わったためか、一気に炎の渦が背を伸ばし、ついに鳥の魔獣を呑みこんだ。


鳥の魔獣は、意外だったらしく、一瞬行動するのが遅れた。その一瞬の間に逃げ道が無くなり、炎の渦に捕えられる。そして燃やされた。


鳥は強力な【火魔法】を放つ癖に、自分の体は【火魔法】に弱いようだった。溶岩を泳ぐ魚の方がよっぽど頑丈だろう。


そして簡単に鳥の丸焼きが出来上がり、地面にドサリと落ちてきた。


「ヤッター!」

「わーいー。」


クルスとウラガが喜びを分かち合っている。一人の力では無理なので、二人で協力して鳥を倒す算段を付けた様だ。それがきちんと成果として出たのだ。無力だった事を克服したのだ。


魔法結晶を回収してから、草原を歩いていく。鳥の魔獣はテリトリーが広いのか、あまり数がいない。


しばらく歩いていると、バッサバッサと鳥の羽ばたく音がしてくる。【周辺把握】で既に感知していたので、左手前方へと視線を向けた。


「次は俺の番だな。」


俺は最初から【土魔法】で、大剣とナイフの二つを生成する。


いつものように、鳥の魔獣は俺達から距離をとり、【火魔法】を発動させようと力を入れている。


「させるかよ!」


俺は【投擲2】の力を借りて、土ナイフを放り投げる。鳥はそれをひらりとかわして、余裕そうにこちらを見ている。


だがその甘さが命取りなのだ。俺は【空間魔法】を発動させる。実は【空間魔法2】へとレベルが上がっており、距離が延びていたのだ。魔獣の国からの長距離転移で無茶した時の、成果だろう。


俺は【空間魔法】の転移により、投げつけたナイフを位置を交換する。


俺は鳥の後ろへと一瞬で飛び、そこから土の大剣を魔獣へと叩きつける。“土の一振り”でも良かったのだが、もし転移に失敗して距離が開いた時に、攻撃手段が無いので、今回は【遠隔操作】もできる土の大剣にしたのだ。


俺の奇襲作戦は成功する。土の大剣が深々と鳥の身体を突き抜けた。


ギュエエエ!


鳥は苦痛の声を上げる。何が起こったのか分からず、首をグルリと回して俺を見つけ、驚愕の目をしている。ような気がする。


飛ぶ程の力が無くなった鳥は、地面へと落ちる。俺は鳥の魔獣へと【ステップ】で駆け寄り、土の一振りで切りつけて止めを刺した。


「ふぅ。俺の方もとりあえず成功だな。」


俺は魔法結晶を回収してから、皆の元へと歩いて戻る。


「どっちも行けそうだな!」

「そうだな。まぁ他に出来る事が無いか、また思いついたら実験だ。」

「テルさんはマジメですねw」

「喜べー」

「転移ってやっぱり便利ですね。私もできるかしら。」


とりあえず、倒す方法が2つ開発できたので、結果は良好だ。俺の転移は、上空へと逃げられたら、転移した後落ちるので危険だ。だから、低くて距離がある時は俺が。俺達の真上で高さがある時は、クルスとグラスが退治する。


そういう方針の元、俺達は32階層を歩いていく。


大体の鳥が、俺達から距離をとった比較的低い位置から子劇するので、もっぱら俺が退治する事になった。何度やっても、鳥が驚愕した眼を向けてくるのが面白くて、笑ってしまう。それほどあっさりと、俺達は鳥を退治できるようにあった。


攻略法が決まってからは、順調だった。32階層もあっという間に攻略してしまう。


33階層は丘の高さが高くなり、鳥を退治するのが面倒になったが、それだけだ。特に危険も無かった。


34階層は、丘の高さはそのままで、今度は出口の階段が複数見えるというものだった。蜃気楼の効果を存分に発揮している。


おそらく、視力に頼った攻略をしてきた冒険者なら、本物が分からなくなり、魔よ売った事だろう。だが俺には【地形把握】がある。蜃気楼は空気が歪む現象なので、実際の階段は一つしか存在しない。あっさりと本物を見つけた俺は、迷うことなく最短距離で階段へと向かった。


そして夜ごはんは、双頭の鳥を使った鳥ステーキだ。香草と塩コショウで味付けした鶏肉は、程良い弾力と、あっさりだが濃厚な油が詰まった、極上の味がした。


「これ、売れるんじゃないか?」

「確かに!明日の35階層の鳥は、できるだけ回収しようぜ!」

「良いですね!このダンジョンを攻略しても、この鳥の魔獣が出て来てくれると、良いんですけど。」

「どこかあるー?」

「そうですねぇ。ドワーフ国のどこかのダンジョンで、巨大な鳥が出たはずです。」


アンの話では、普通のダンジョンで、鳥が出るところがあるそうだ。だがかなり昔の事らしく、アンの記憶もうろ覚えのようだ。


「帰ったら王様に聞いて、狩りに行こうかw」


俺達はその後も鳥肉をお代わりして、冗談を言いながら、わいわい話し合い今朝とは違う楽しい食事の時間を送るのだった。


なんとか倒す方法を見つけました。ちょっと荒業ですが、余裕ぶっこいてる鳥には効果的だったようです。

テル君は、鳥がいたく気に入ったようです。そう言えば、魔族の国のミノタウロスも、美味しいので気に入ってたはず。肉食ですね。

次回は35階層以降の話の予定。

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