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まぁ、今の方が俺の性に合ってるけどなw

ウラガ君視点の話。

ドワーフへ向けた準備。

ちょっと短め。


テルがいきなり倒れちまった。俺がギリギリのところでテルを支えるが、完全に意識が無くなってる。


「お、おい。大丈夫か?」


俺は声がかけられた方へ視線を向ける。そこには、人族の王様であるケーニッヒ・メンシュが、驚愕の顔を浮かべていた。


テルが一カ月に一度しか使えない“生活の加護”で能力を爆発的に上げ、【空間魔法】の転移を発動させた。どうやら成功した様だ。


「王よ、いきなりの訪問を謝罪します。して、今は何日ですか?」

「今日か?今日は10月~」


王様に確認をとったが、どうやら本当に一瞬で魔族の国から、人族の国まで来れた様だ。


「ドワーフの王都でダンジョンが出来たと伺って参上しました。申し訳ないですが、テルを寝かせられる場所と医者を呼んで頂けますか?」

「なるほど。直ぐに準備させる。」


王は直ぐに状況を理解した様で、メイド長に部屋を用意させ、王家専属の医者がテルの事を診てくれた。


グラスとクルスは、いきなり人族の王と対面した事に驚いている様だが、それよりもテルの事を心配している。ずっとテルの傍を離れない。


俺は二人にテルの事を任せて、一人王の元へと向かう。この状況を説明するために呼ばれていたのだ。


「久しぶりだなウラガ君。」

「はい。その説はお世話になりました。」

「世間話は明日以降にとっておいて、いきなり現れた理由を話してくれ。」

「私達は魔族の国の王城にいました。その際、ドワーフの国の話を聞き、急いで移動するためにテルが無茶をしたのです。」

「魔族の国から!?無茶とは?」

「“神の舌”の生活の天使様から頂いた“生活の加護”によって、一時的に能力を上げて、【空間魔法】で転移してきたのです。」

「凄まじいな。国2つも転移できるなんて聞いたことも無い。その無茶のせいで、テルは倒れたのだな?」

「その通りでございます。そしてこちらが、テルが力を借りた“生活の天使”から貰った魔法結晶です。」

「これも神級なのだろう?相変わらず凄い旅をしているんだな。仲間も増えたようだしなw。」

「はい。それで、この魔法結晶を預かってもらいたんです。まだ魔法結晶は枯れていないので、魔力をつめれば再利用できるでしょう。」

「ふむ。生活の魔法結晶など、見たことも無い。魔力を入れる代わりに、うちの魔法使い達に使わせてもいいかな?」

「ご随意ずいいに。」


魔法結晶は内部の魔力が枯渇しない限り、魔力を込めれば使い続ける事が出来る。しかも神級ともなれば、内包できる魔力は尋常ではない。


そんな神級の魔法結晶を使ってもテルは倒れた。本当に凄まじい量の魔力を消費したものだ。


俺は王への説明を終えた後、部屋へと戻った。テルが寝ているベットの横で、グラスもクルスも眠っている。


時刻は朝だ。魔族の国との時差のせいだろう。向こうは晩餐を開いた時刻なので夜の初めだったはずだ。


さすがに俺も眠くなったので、グラスやクルスに毛布をかけた後、ベットで眠った。テルの顔は真っ青だったが、医者の報告では魔力不足によるもので、普通は死ぬところだが、命に別条はないそうだ。さすが天使の加護といったところだろう。


昼過ぎになって、メイドさんのノックで目が覚めた。昼食の準備が出来たらしい。仮眠をとった俺達は少しばかり回復したので、昼食を頂いた。王はドワーフの国への援助のために奔走していて、自室で飯をとるらしい。


グラスとクルスはテルの事が気になるらしいので、自室へと戻るらしい。俺はドワーフの国へと向かうための準備を始めために、王都にある冒険者ギルドへと向かう。


久しぶりの都馬車に乗って、慣れ親しんだ赤い扉を携えた冒険者ギルドへと入って行く。俺は周りを見渡して職員のクレーさんを探すが見当たらない。俺は近くにいた職員さんに聞いてみる。


「クレーさんいらっしゃいますか?」

「はい。お名前を伺っても?」

「ウラガーノと申します。ウラガが来たと言えば分かると思います。」

「ウラガ様ですね。今呼んでまいります。」


職員さんはギルドの受付台の奥にある職員用の部屋へと入って行く。彼女が入って直ぐに、クレーさんが血相を変えて飛び出してきた。


「ウラガさん!!いつ戻られたんですか!?あれ?テルさんは?」

「ご無沙汰してます。色々お願いしたい事があるので、ゆっくり話せる場所をお願いしたいのですが。」

「はい。こちらへどうぞ。」


クレーさんに連れられて二階の個室へと連れて行ってもらう。俺達が“神の涙”から帰った時に案内された部屋だ。


「で、いつ帰られたんですか?」

「今さっきです。テルが頑張って魔族の国から転移で。」

「転移!?って【空間魔法】の!?」


それから俺はクレーさんに王へと話したのと同じ内容を伝えた。クレーさんも俺達が神様関係で世界をまわっているのを知っているので、話がスムーズに進む。


「なるほど。よほど無茶をされたんですね。」

「そうですね。でもテルが作ってくれた時間を無駄にできません。ドワーフの国に行く為に、色々用意したいんです。食料と、特に防具を。長旅で防具が傷んでしまいまして。後、預けていたお金を緊急なので少し出したいのですが。」

「分かりました。全て任せて下さい。今日入れて3日下さい。4日目の朝には、馬車も用意して見せます。」


クレーさんとの約束を取り付けた俺は、また王城へと戻る。時差の関係から、今、めちゃくちゃ眠たい。しかも普段はテルにまかせっきりの交渉事や説明を俺がしたのだ。しかもできるだけ丁寧な言葉を選んでだ。


「すっかり貴族の生活、忘れちまったなぁ。」


自分も辺境とは言え、貴族の端くれだ。家督は兄が継いだからもう関係ないのかもしれないが、あまりにも自分が貴族に向いていないのがよくわかる。交渉の駆け引きも、頼み方も、話し方も貴族らしくない。


「まぁ、今の方が俺の性に合ってるけどなw。」


そして俺もひとまずは眠る事にする。まだまだやる事は残っているのだ。


ウラガ視点で書いてみました。グラスとクルスは人族の国に来た事は無いし、動けるのはウラガだけなので。

テル君は眠っていますね。寝ている間も、ひどい倦怠感や痛みに耐えているのかもしれません。

次回は、ドワーフへ向けた移動の話の予定。

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