表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
157/214

もうすぐ仲間に会えるな。

ダンジョン攻略後、精霊の森への移動の話。

短めです。


「本当にダンジョンが消滅するなんてなぁ。」


馬子の元へと帰ってきた俺達に“森の剣”のリーダーが声をかけてきた。


話を聞く限りでは、ダンジョン攻略中、いきなり足元に穴ができたそうだ。何かミスしたか?と思ったそうだが、出てきた先がダンジョンの外だったので、俺達が言っていた事を思い出したようだ。


「何はともあれダンジョン攻略おめでとう。見る限りでは、かなりの敵だったようだな。」


俺達の姿と言えば、全身の防具が傷んでいたり、土埃で汚れていたり、魔力不足でへたり込んでいる。難敵といえばそうだろう。


「俺達は先に行かしてもらうな。ギルと王へ報告に行かなきゃならんのだ。」

「色々教えて頂いて有難うございました。」

「いやいや。俺達の方こそ世話になった。借りは必ず返すからよ。」


そう言うと“森の剣”の方達は、青色の生物の方へ歩いて行った。馬の骨格に、魚の鱗とひれが生えている。水陸両用なのだろうか?変わった生き物だなぁ。


俺達の馬子とは言うと、元気にしていた。食べ物も少ないが残っている。ダンジョンに入って二週間は優に経っている。よくもった方だろう。馬子もかなり賢く生きていたようだ。


俺達の存在を見てからは、寝ていた体勢から起き上がって嬉しそうにブヒヒンと鳴いている。


俺達はさっそく馬車に乗り込む。かなり体力を消費したグラスや、魔力が無いクルスは馬車で休む。俺は御者台へ、ウラガは残りの魔力で【光魔法】を使っている。


馬子は久しぶりの運動とばかりに、軽快に歩き始める。


「キュッキュー。」

「え。あ、言ってたお願いの事か?」

「キュー。キュー。」

「精霊の集落へ行きたいんだな?途中で寄れるみたいだし、もちろん良いよ。」

「キュー♡」

「ところで、精霊って故郷とかあるのか?」

「キュ?キュー。」

「へー。故郷って言える場所は無いんだぁ。産まれた瞬間から移動生活なんだな。」


精霊と言うのは、自然発生する個体もいるそうだ。他にも精霊同士の間で、子供ができるそうだ。謎の繁殖方法だ。


そして精霊は魔力の多い土地を求めて移動する。そして魔力の多い魔族の国では、精霊にとっては住みやすい環境であり、出会いの数も増えるそうだ。


ちなみに、ユキには産まれた時から一人だったらしい。自然発生組だ。なので、単純に自分以外の精霊に会いたいそうだ。


“神の舌”のダンジョンである屋敷から伸びる道は、一本道だった。まっすぐに続いている。天使様が言っていた通り、“神の舌”のエリアから脱出させてくれるらしい。


天使様の気遣いか、道の途中にあるエリアはどれも過ごしやすいものだった。花畑や野菜畑、小川に沿ったり気持ちの良い草原などだ。


俺達は野菜畑で、大量の野菜をゲットした。ダンジョン内ではないので、野菜が消えることも無い。正真正銘の食材だ。


その日の夕食は久しぶりに野菜がメインだ。ポトフにしたり、丸々焼いたり、サラダにしたりと、久しぶりの新鮮野菜を堪能した。


もちろん馬子にも渡す。我慢する必要が無いので、馬子もたくさん食べていた。やはりダンジョンの外では、小食に勤めていたようで、食べ終わった後は満足そうな顔をしていた。


そして、ダンジョンを抜けて20日程でようやく“神の舌”を越えた様だ。今まで草原等で過ごしやすかった環境から、いきなり荒れ地へと出たのだ。


魔族の国は魔力が多い。そして魔力の偏りも大きい。1~2年かけて、ゆっくりと魔力が移動するらしい。魔力の多いところは生物や植物が繁栄し、魔力が少ない場所は土地が痩せて荒れるそうだ。


なので、魔族の国には森が少ない。せいぜいが林、もしくは背の高い植物ってところだ。木が成長する前に魔力が移動するので、大きくなるまで育たない。例外として、魔力だまりという、魔力がずっと高いまま集まってくる土地は、森になったり人が住むらしい。


そういう魔族の一般常識を、魔族であるクルスから教えてもらう。


そして馬車をさらに走らせる事5日。天使様が言っていた通り、川が現れて、その近くに大きな森が現れ始めた。


「キュー!キュー!」

「もうすぐ仲間に会えるな。」


ユキは、アレ!きっとアレだよ!と嬉しそうに鳴いている。俺は、テンションの高くなったユキをひざの上に置いて、ヨシヨシしながらなだめる。


森へと近づいた俺達は、道から外れて一路、精霊がいるであろう森へと進むのであった。


移動で終わりになりました。切りが良かったので。

テル君は、ユキがいなくなるとか思わないんでしょうか?いや。確実に不安には思っているはず。しかもそう言う感情は、繋がっているユキへも伝わっているでしょう。それでもユキは行く。どうなる二人!?

次回は、精霊の森の話の予定。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ