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あと4体だ!全力で仕留めるぞ!

神の舌であるダンジョンの、ボス戦です。

長いので、前篇後篇に分けました。

前篇どうぞ。


「詳しくは言えませんけど、このダンジョンはクリアすると消滅するんです。」

「だから魔法結晶集めるんなら、明日までですよ。」


俺の横にいたウラガが補足する。“森の剣”の人たちへの説明の途中だ。


普通のダンジョンではボスをクリアしても奥にある魔法結晶を持ちださない限り、時間はかかるが、ボスですら復活するらしい。なので、“森の剣”の人たちも、俺達がクリアした後に、ボスへと挑もうと思っていたようだ。


「ダンジョンが消滅したら、何になるんだ?」

「おそらく神殿に。」

「神殿!?」


ダンジョンが神殿に変身する。聞いたことも無い話なので、最初は“森の剣”の人たちも懐疑的かいぎてきな視線を向けてくるが、俺達が真剣だと分かると理解してくれた。


夕食後、俺達はさっさと眠り明日に備えた。


そして翌日。俺達はとうとうボス部屋へと挑む。


ボスの部屋へと続く扉の前のバリアには、56/56と青色の文字で表示されたていた。今まで通り、トプン♪と音がしそうな感触で波打つバリアを通り過ぎる。


部屋へと入る前にウラガが【生活魔法】で身体を強化してくれた。これでいつも以上に動けるようになる。


「さて。どんなボスかな。」


俺は過剰に緊張しない様に、何気ない声をかけて部屋の扉を押す。


すると木造の巨大扉はギギギと音を立てながらも、開いていく。


部屋に入って数歩進むと、いつものように、ギギギと勝手に扉が閉まった。


俺は直ぐに【周辺把握】を発動して、部屋全体を調べる。


部屋の中は500m四方という、1階と変わらない広さだ。部屋自体は、真っ白な壁で覆われており、天井も床も白い。距離感や壁と床の境が分かり辛い。


俺が一通り部屋の様子を理解するのと同時に、部屋の奥からボスが湧いてくる。


「・・・多くねぇ?」


ウラガがそんな事を言う。今までのボスは、どれも巨大なボスが一体だったが、このダンジョンのボスは複数体いる。俺は【周辺把握】を使って、敵の数を数える。


「1,2・・・5,6・・・9,10」

「10!?」


俺が数えている間にも、部屋の奥のボス達は俺達へと向かって駆けてくる。


徐々にその大きさと姿を露にする。最初に来たのは、キメラと呼ばれる魔獣だ。


ライオンの身体と顔、角の生えたトカゲの顔に、蛇のしっぽ。というキメラっぽいキメラだ。その身体は大きく、2mは有るだろう。


その後ろでは、お馴染みとなったミノタウロスや、1つ目のサイクロプス。ハーピーに、ケルベロスがやってくる。


キメラはその巨体に【雷魔法】のような電気をまとって突進してくる。ウラガが【大盾】で防ぎ、お返しとばかりに【バッシュ】という盾で押し飛ばすスキルを発動する。


キメラはその巨体のおかげで、ウラガの【バッシュ】に飛ばされはしなかったが、バランスを崩す。


俺はその隙を逃すまいと、“水の一振り”と“土の一振り”の両手剣で、魔力を流して攻撃力を最大限まで上げる。


そして【ステップ】でキメラの背後へと近づき、【スマッシュ】を決める。両手剣はトカゲの頭と、蛇のしっぽを切り飛ばした。


「ギュリュアアァァァァ!」


という絶叫を上げながらも、キメラは倒れない。俺は追撃とばかりに両手剣で切りつけた。


「硬いなぁっと!!」


俺はキメラの硬い皮膚を強引に切り飛ばした。硬いと言ってもゴーレム程ではない。魔力を流した“一振り”では、頑張れば切れる。


身体を三等分にされたキメラはやっと倒れた。


「魔法が来ます!」


グラスの【危険予知】と獣人の視力をもって、遠くにいたケルベロスが【火魔法】の様な火球を3つ飛ばしてくるのが見えた。


「私がー。おぼれろ。水球」


クルスは反撃とばかりに【水魔法】で火球を向かい打つ。火球と衝突した水球は、クルスの方が威力が強かったようで、火球を呑みこむ。だが威力は確実に落ちたようで、少し押し返してバシャっと地面に落ちて割れた。


「力はー弱いねー。」

「明らかに【生活魔法】の延長だ。」


あらゆる魔法を【生活】レベルで再現できる【生活魔法】。なので色々な特性を持った攻撃が飛んでくる。


次にやってきたミノタウロスは、純粋に【生活魔法】で身体を強化していた。2.5mの巨体から繰り出された斧の攻撃は、易々と地面に亀裂を入れる。


ミノタウロスの開いてはグラスがした。その巨体を足場にして、顔まで飛びあがり、顔に蹴りを入れる。戦乙女の足の武器は、足の前面に盾に山ができており、ミノタウロスの頭にめり込む。そして、ジュっと音をたてて肉が焼ける臭いがした。


グラスは戦乙女に【火魔法】を付与して、武器自体を加熱している。


そして大地とのコンビネーションが素晴らしかった。土の神獣であるダイチが、地面を操ってミノタウロスを囲うように、高さがバラバラの土の足場を作り出す。


それを起点にグラスが縦横無尽に飛びまわりながら、ジワジワとミノタウロスを攻撃していく。そして最後に空高くジャンプしたグラスは、空に待機していたダイチを足場にして、ミノタウロスの頭を上から蹴った。かかと落とし?ドロップキック?だ。


全身に傷を負ったミノタウロスは、グラスの攻撃を受けて倒れた。勝負ありだ。


グラスが戦っている間に空を飛んでやってきたハーピーは、【風魔法】を使ってきた。不可視の攻撃だが、対応したクルスには届かない。


クルスは【風魔法】で対抗して、分厚い風の壁を作り出していた。ゴーーという風の音を鳴らしながら、クルスの周りを守っている。


「頭が高いよー。」


クルスは【雷魔法】を併用して反撃に移る。“並列のイヤリング”の効果が出ているようで、威力が落ちることなく、クルスから雷撃が飛ぶ。


その雷撃をハーピーはとまともに食らい、プスプスと煙を出しながら地面へと押してくる。だがそれでも倒しきれなかったようで、ヨロヨロと起き上がったハーピーは【風魔法】を使おうと翼を動かそうとする。


「ちょっとしぶといー。」


クルスは再び【雷魔法】でハーピーを攻撃する。雷に貫かれたハーピーは今度こそ倒れた。


俺はというと、目が一つのサイクロプスの相手だ。こいつは【霧魔法】を使ってきた。俺と距離を取りつつ、口から大量の【霧】を発生させる。


「汚いんじゃー!」


と、俺はその霧が気持ち悪いので、とっとと倒そうとする。一度、“水の一振り”を引っ込めて、代わりに【土魔法】で土ナイフを3本作りだす。それをサイクロプスの目に目掛けて投げつけた。


サイクロプスは目を守る様に、腕を上げて顔を守る。


死角ができた俺は【隠形】と【ステップ】を使い、サイクロプスとの距離をあっという間に詰める。


俺の姿を見失ったサイクロプスはキョロキョロするが、後ろで顔の向く方向と一緒に移動する俺には気付けない。


俺は再び“水の一振り”を取りだし、両手剣で【スマッシュ】を発動する。サイクロプスも硬かったが、俺は力まかせに切り飛ばして、サイクロプスを三枚に下ろした。


ウラガは最初の攻撃を守った後は、ケルベロスと対峙していた。ケルベロスは最初、【火魔法】の火弾を飛ばしてきたが、ウラガの【大盾】でことごとく防がれる。


火弾では効果が無いと悟ったケルベロスは、そのきばで襲いかかってくる。だがウラガの【土魔法】とスライムのシズクの【水魔法】で作り上げた泥沼に足を取られる。


今度は、もがいているケルベロスの泥沼の水分をシズクが奪い去る。すると地面はあっという間に固まる。


そこへ、【大盾】に【土魔法】で硬い棘を生やしたウラガが飛びあがり、ケルベロスの上から押しつぶすような体勢で落下する。


棘に刺され、押しつぶされたケルベロスは為すすべもなく、一撃で倒れた。


「ふぅ。意外と攻撃にも使えるな。」


ウラガは新しい攻撃方法が確立して、少し満足そうだ。


次にやってきたのは、【土魔法】で全身を守ったサソリだった。こいつの担当はグラスだ。


と言っても、ダイチがサソリに触れて、全身を守っていた土を【土魔法】で主導権を奪い取り剥がしてしまう。


後は先程と同じように、グラスの連続攻撃の前にサソリはあっという間に倒れた。


次にやってきた魔獣は厄介だった。


全身が真っ黒な人型の魔獣だ。確か、タキシムとかいうはずだと前世の記憶を思い出す。復習に取りつかれたアンデット。


こいつはたぶんだが【闇魔法】を使ってきた。こいつの周りの空間だけ、夜になったかのように真っ暗になる。


そしてタキシムの空間にいると、体力や魔力が徐々に減少していくのが分かる。毒の様な効果があるのかもしれない。


一方で【光魔法】を使う魔獣も現れた。いわゆるユニコーンだ。らせん状にねじれた立派な一角をもつ真っ白な馬だ。体長は優に3mは有りそうだ。とにかくデカイ。


こいつの周りは淡い光に包まれている。神々しさまで感じる程の美しさだ。


クルスが【風魔法】を使ってカマイタチの遠距離攻撃を仕掛けるが、傷ついたユニコーンはものの数秒で回復してしまう。


グラスは部屋の奥に出来た湖へとやってきた。そこにはマーメイドが座っている。魚の尾ひれ、貝殻で作った胸当て、そして女性でも嫉妬してしまうようなキメの細かい肌とプロポーションと顔。


マーメイドは突如歌いだす。するとマーメイドの周りに水球が現れる。【水魔法】を使っているのだ。


グラスは咄嗟に【ステップ】を使って避ける。マーメイドは攻撃の手を休めず、尾ひれを水へと付けると、水を鞭のように操ってグラスへと攻撃してくる。それをグラスは避け続ける。


【火魔法】と【土魔法】のグラスにとっては、足場の無い湖の真ん中にいるマーメイドは、はっきり言って厄介だ。グラスは突破口を探している。


そしてウラガが退治するのは、メデューサだ。彼女の髪はヘビである。普段見る長さは、肩までなのだが、そのヘビはどこまでも伸びてくる。


しかも厄介な事に【空間魔法】を使えるようだ。メデューサから伸びたヘビは、途中の空間を飛ぶように、いきなりウラガの後ろや、頭の上から襲いかかってくる。


「あと4体だ!全力で仕留めるぞ!」


俺は部屋に響き渡る様に、お声を上げて皆を鼓舞する。それぞれが厄介な相手をしながら、打開策を探していくのだった。




わー。いっぱい出てきたー。わー。

【生活魔法】は威力が低い分、多様性を持っているので、こんなボスもありかな。普通の魔獣よりも強い設定なのですが、あっという間に倒していきますね。まぁ仕方ないです。威力が弱い魔法しか使えないのですから。

テル君は皆を鼓舞してますね。意外と余裕があるのかもしれません。もしかしたら平常心を保つために、あえて声を出しているのかもしれませんが。

次回は、ボス戦の続きと以降の話の予定。

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