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うん?何か沈んでるぞ。

第39,40室の話。


魔族の冒険者さん達の話は、結局のところ計算で時間がかかった。というものだった。


冒険者に学を求めるなとか。足し算、引き算ができれば良いんだよとか。将来、もう使わねぇとか。子供か。


そんな18室の話を聞いていると、一つ新しい情報が得られた。


それは、“一室の制限時間が24時間”だということだ。


最初、“森の剣”の人たちは、朝一番に18室に挑んだらしい。だが、計算につまずいたそうだ。途中休憩しながらも、何時間もかけて3/4まで行ったそうだが、そこで力尽きたそうだ。その日は、扉を開けたまま休んだらしい。


だが翌日になって、18室で作業していると、突然ビー!っと警報音が鳴ったそうだ。もちろん、足元に出来た穴に落ちて、大階段まで戻されたらしい。


彼らはそこで会議を開いたそうだ。焦らず情報を共有する姿勢は、さすが上級冒険者だ。その話合いの結果が、24時間という時間制限というわけだ。


ちなみに彼らは、18室だけでなく、17室の料理についても苦戦したらしい。


料理担当は、斥候を担当している人が、少しできるだけだそうだ。普通、ダンジョンに潜る人たちは、保存用の食料を、ただかじるという簡素な食事しかしないので、料理の腕は必要ない。なので、例にもれず彼らも料理は、からっきしダメだったそうだ。


人数はいるので、手分けして料理をしたそうだが、めちゃくちゃ時間がかかったそうだ。それこそ、一日がかりだったらしい。


「今まで、飯屋とか宿屋の仕事を、楽な仕事だと思ってたけどよ、ありゃすげぇな。毎日、大量の飯を作るんだぜ。ちょっと尊敬したよ。」


と、彼らの中で、考えが変わる程の体験だったようだ。確かに、毎日朝早くから昼と夜も、皆が満足する味付けで大量の料理を作るなんて、凄い事だ。うちの仲間にも分かってもらいたい。


彼らからもたらされた、“1室24時間”という情報の代わりに、俺は九九と、割り算について簡単な説明と、38室で必要な、時速や割合についての基礎および、覚えている問題を数問、解き方付きで教えた。


説明していても、彼らの頭には?マークが浮かんでいるのが、よくわかる。まぁ理解するのは、おいおいでいいだろう。実際に解いていると分かってくるものだ。


彼らと別れた俺達は、次の仕事シリーズである、漁師の仕事である19室へと向かった。


部屋を開けると、二階にあるはずなので、海が広がっている。なんでも有りが、このダンジョンなのだ。


俺達は扉の先にある桟橋へと向かい、そこから船に乗る。ジャンケンの結果、また俺とクルス。ウラガとグラスという組み合わせだ。もしかしたら、ウラガとグラスがグルなのかもしれない。チッ。リア充が。


俺もクルスと仲を深めようと、船に乗り込むが、話に華を咲かせる暇が無かった。出てきたのはネッシーの様な巨大な恐竜と、マーメイド。そして半魚人だ。


19室に比べて種類が増えたし、数もかなり増えた。ネッシーは動くだけで船が転覆しそうになるし、【生活魔法】で水魔法のような水弾を吐いてきた。マーメイドも水弾を放つが、今度はきりを発生させて、俺達から姿を隠そうとする。そして姿を隠したところで、半魚人が【生活魔法】で強化した肉体を使って、モリや岩を投げたり、ヒット&ランの要領で攻撃を仕掛けてくる。


だがそんな小細工も、俺達には通じない。


ネッシーの波や水弾は、俺が【水魔法】で作りだした巨大な剣で打ち消す。

マーメイドのきりは、クルスの風魔法か、グラスの【火魔法】で消し飛ばす。

岩やもりの投擲は、ウラガが【大盾】で守ったり、俺の【水魔法】とユキの【氷魔法】で作った4本の氷の剣を盾の要領で展開する事で、防ぐことができる。


反撃はクルスの【雷魔法】であっという間に魔獣を倒していく。運よく一撃を耐え抜いても、痺れた身体は恰好かっこうの的であり、俺の氷の剣を飛ばす事で、確実に仕留めた。


それ後はクリア条件である魚の確保に奔走ほんそうした。手漕ぎの船なので時間がかかったが、クルスの【雷魔法】のおかげで、魚を釣る必要が無いので楽ができる。俺達が19室をクリアして戻ってきたら、ちょうど昼になっていた。


“森の剣”の人たちと話を聞いた時間も考えれば、だいたい4時間といったところだろう。


俺達は軽めの食事を取ったあと、最後の仕事である、冒険者の仕事をするため40室へと向かった。


部屋の中には、相変わらず大量の魔獣がいた。500m×1kmという巨大な部屋の中に、中央に大きな湖、他は草原という至ってシンプルな作り。


だが魔獣の種類と数は尋常ではない。20室同様、今見えるだけでも、メデューサっぽい奴や、一つ目のサイクロプス。ミノタウロスに顔が三つのケルベロス。湖にはマーメイドと巨大イカのクラーケン。さらに空には鳥の身体の女性であるハーピーと、3つ目の巨大な怪鳥が飛んでいた。


とりあえず俺達は部屋へと入り、何も考えずに身体を敵を倒していく。俺は、【斬戟】を【水魔法】や【土魔法】と共に飛ばしたり、“水の一振り”と“土の一振り”の二刀流スタイルで【スラッシュ】や【大回転】を使い敵を切り裂く。


こうやって思いっきり身体を動かせるのは、本当に楽しい。ウラガも【大盾】に【土魔法】を付与して、盾の表面に鋭いとげを何本も生やしている。それを【バッシュ】という盾で押し出す技で、敵へと突き刺していく。他にも、スライムのシズクと連携して、盾に【水魔法】で作った触手を出して、むちの様に操っている。攻防一体で凄いのだが、見た目がなんとなくエロイ。


グラスは翼を巨大化させようとしているようで、いつもの手のひらサイズから、今では腕程の長さにまで大きくなっていた。だが、獣人の国で見せた、2m近い翼には程遠いようで、攻撃には使えていない。なので、体術に【火魔法】を付与して、蹴り飛ばした敵に火傷を負わす方法で戦っている。


クルスは、【風魔法】を使って、巨大な竜巻を発生させたり、無数の風の刃を作り出している。他にも【火魔法】【水魔法】で色々と形を変えて、魔法の強弱や精度を上げる練習をしている。


そうして、2時間もかからず部屋にいた全ての魔獣を倒し終えた。


俺が、最後の確認として【空間把握】を泉の中へと広げる。


「うん?何か沈んでるぞ。」


【空間把握】は、効果範囲内なら鮮明に物事を捕えられる。なので、泉に沈んでいるのが、宝箱の類だと直ぐに気付いた。


ユキに手伝って貰い、泉に沈んだ宝箱の周囲を縦に筒状に凍らしてもらう。そして、その筒の中の水はユキが身体へと吸収する事で、あっという間に、湖に氷で出来た穴が開いた。


俺はその中へと飛び降りて、箱を抱えたあと、久しぶりに【空間魔法】を使い湖から脱出する。


クルスは俺が【空間魔法】を使えるとは知らなかったようで、俺が突然現れた事に、とても驚いていた。


俺の【空間魔法】は、剣と自分の場所を入れ替える事もできる。そう説明すると、クルスは何事かをブツブツをつぶやきながら、思考の世界へと旅立ってしまった。


そんな彼女はひとまず置いといて、俺達は引き揚げたお宝へを確認するために、木箱のふたを取り外すのだった。


時間制限を設けました。特に意味は有りませんが、ダンジョンもそこまで甘くないんだよ、という事を伝えたかったのです。

料理は、慣れてないと本当に時間がかかりますよね。でも慣れさえすれば、3つくらい並行して料理できるので、慣れは偉大です。

テル君も、ずっと料理してきたので、今ではそれくらい出来ます。料理できる男子はポイント高いですねー。知らんけど。

次回は、41室以降の話の予定。

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