俺達には魔法という便利な物があるんだぜ!
第11,12室のお話。
かなり短いです。
おはようございます。ダンジョン3日目の朝です。怒涛の二日が過ぎて、既に10部屋をクリアしております。
昨日のゴミ地獄がまるで夢だったかのような、清々しい朝。
俺は朝食を作っています。今日の朝食は日本風。お米がまだ見つかっていないので、主食が饂飩なのが辛い。
味噌汁と卵焼きと、お魚と饂飩。なんか変。やっぱりご飯が欲しい。どこかに生えてないかなぁ。
そしてやってきました第11室。
「今日もドンドン進んでいきまっしょい。」
「・・・テル大丈夫か?朝からテンションおかしいぞ?」
「言わないでくれ。頑張って奮い立たせてるんだから。」
この【生活】がテーマのダンジョンは、地味に疲れるのだ。肉体的にも精神的にも。それを二日で10部屋というハイスピード攻略。無理やりテンションを上げないと、やっていられない。
俺は部屋のドアノブを回して、中の様子を確認する。
そこにあったのは、大量の汚れた皿だった。そして、壁からは水がチョロチョロ湧き出ている。
「今回のテーマは掃除かな?」
俺は普段から洗い物をしているので、それほど苦にはならないのだが、普段から洗い物をしない三人はもの凄く嫌な顔をしている。
俺は一人で、バシャバシャと洗い物を始める。この世界には洗剤があるので、洗い物も楽なのだ。
もちろん食器に擬態した魔獣もいるが、それは各自で撃破している。大半が皿なので直ぐ割れるのだ。
そして事件は起きてしまった。
食器洗いも、全体の半分を過ぎたころである。
「わ!」
ウラガが奇声を上げたかと思った瞬間、パリーンという音が聞こえてきた。すると部屋全体からビーー!!という警報音が鳴り響いた。
俺達は足元に開いた黒い穴に落ちて行く。そして目覚めたのはやはり、大階段前だった。
「悪い皆!手が滑っちまった。」
「しょうがないよ。次気を付けよう。」
((コクコク))
俺達は再び第11室へとやってきた。やはり汚れた皿へと戻っており、先ほどまでの成果は綺麗さっぱり消えていた。これがこのダンジョンのいやらしい所だ。内容や部屋の広さは苦労しないのだが、失敗するとやり直しになる。かなり辛い。
俺達は、再び洗い物を開始する。本当は【水魔法】でザーッと洗い流したいのだが、それだと割れてしまうだろう。
「うん?【水魔法】?そうだ!ウラガ!ウラガ!」
「なんだーテル?」
「こういう時こそ魔法だよ。ウラガは【生活魔法】があるんだから、“ウォッシュ”とか使えるだろ?」
「おぉ!!すっかり忘れてたぜ。そうだよな。地道にやる必要なんて無かったんだ!」
という事で、ウラガは【生活魔法】を、グラスとクルスは【生活魔法】の魔法結晶を使って一気に皿を洗っていく。洗うというより、汚れが浮かんでするりと落ちるのだ。さすが魔法である。
俺はというと、三人が洗い終わった食器を、所定の場所へと収納する役割についた。俺は【生活魔法】は使えても剣限定なのだ。剣についた血糊や汚れを落とすしか出来ない。忌々しい固有能力【オール・フォー・ソード】だ。
洗剤を使わなくなったので、滑って落とす事も無くなった。そして何より大量の食器を一度に洗えるので、部屋一杯の汚れた食器は、あっという間に片付いた。
時間にして1時間もかかっていないだろう。最後の一枚を収納した瞬間に、部屋の奥にある扉からガチャという音が聞こえた。俺達は11室をクリアした。
ちょっとお茶を飲んでから、俺達は早々に12室へと向かう。12室の扉を開けると、そこには少し違った景色が広がっていた。
「長いなぁ」
「長いな。」
目の前に広がっていたのは、縦一直線の道だ。だが果てが見えない。
おそらくだが、今まで500m四方の部屋だったので、幅が2mのこの道は、125kmもある事になる。
床は今のところは木製だ。フローリングとまでは言わないが、なかなか平坦で綺麗だ。入口を入った所に、箒とモップが置かれてあるので、これを使って掃除しろって事だろう。
床を掃除して歩いて行くと、時々ゴミや、何かの染みが付いている。それを丁寧に掃除して進まなければならない。
ちなみに、魔獣は時々あるゴミに擬態している。瓶とか、タイル?とかだ。なぜ落ちているのかは不明だ。
「あー。歩くのつらいー。」
「ちょっと休もうか。」
クルスが真っ先に音を上げた。掃除し始めておよそ1時間。普通に歩くより、掃除しながらだと、かなり疲れる。
さすがに125kmも歩くのだ。東京からだと静岡まで行ける計算になる。今でおよそ5kmといったところか。一体いつまでかかる事やら。早く攻略しなければならないのに。
お茶をのんだりして、少し休憩した俺達は、再び掃除しながら歩き始める。
頑固な汚れはウラガに【生活魔法】を使ってもらって簡単にクリア出来るので、埃などを払うのがメインだ。
そしてさらに歩く事2時間。出発して15km程だろうか?目の前に扉が見えてきた。
「あれ?もう終わり?」
「いや。「もう」って言うけど、結構時間かかってるから。」
「そうだよな。アハハ。」
笑って誤魔化した。俺の予想だと残り100km以上あると思っていたのだ。それがたった15kmで終わりなんて。拍子抜けだ。
その扉を潜ると、いつも通り大階段へと出てきた。やはり終わりらしい。なんだかなぁ。
だが意外と時間がかかったので、少し早いが俺達は昼食をとる事にした。今日のランチはスパゲッティー。お手軽料理の代名詞。傷みやすいトマトを消費できるので、重宝する料理だ。
昼飯を食べた後、俺達は第13室へと向かった。
13室にあったのは、大量の汚れた衣類だった。掃除というか洗濯だ。
11室同様に壁から水が湧き出ており、壁際には洗剤と金タライ、そして洗濯板がセットで立てかけられていた。そして洗濯後に干す用の長い紐と、それを縛る支柱が置かれている。
「ふふふ。俺達には魔法という便利な物があるんだぜ!」
俺は既に勝利宣言を上げた。この部屋も11室同様、【生活魔法】を利用すれば、あっという間だろう。独り言を言っているようで、少し恥ずかしいが、皆はスルーしてくれている。
とりあえず、俺達は洗濯ものに偽装した魔獣から倒すために、部屋を一回りするのだった。
全く面白く書けない。完全にこのダンジョンは失敗です。既にアイデアも切れているし。筆も進まない。
あー。もうちょっと考えるべきだったぁ。どうしよう。
テル君は、完全にウラガ達の魔法に頼ろうとしていますね。自分に出来ない所は、素直に人に頼る。必要なスキルですね。
次回は13室以降の話の予定。