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第一章 一日千秋(6)

―――

…結局、色々とらんぷというものをして遊んでいたら、こんな時間になってしまった。現在、午後9時半。…今から、ゆっくりなんて話せるのか。もう、すでに私は歳のせいか眠い。早く成長したいところだ。さっき、お風呂からあがってきて現在アミちゃんに渡された瓶に入った牛乳を飲んでいる。瓶の中に白い液体。私の世界では、牛乳は高級品だ。私は、片手で数えられる程しか飲んだことはない。アミちゃんいわく、お風呂上りは瓶詰の牛乳じゃないとだめなの!!という話だった。訳が分からない。きっと、この世界の風習なのだろう。今、そのアミちゃんは風呂へ入っている。私は、牛乳をんぐっんぐっと思いっきり飲んだ。冷たさが火照った身体に丁度いい。あと、とてもおいしくて身体にしみわたっていくような感じがする。確か、牛乳は成長期の私ぐらいの年齢の子供には、うってつけの栄養が入っているらしい。えっと、なんだったっけ、かる、かる…かるナントカうむ。うう、忘れてしまった。

「ぷっはー!気持ちよかったあー!あ、私も牛乳飲もうっと!」

アミちゃんが、お風呂からあがってきてしまった。牛乳の味にうっとりしてしまっていて、アミちゃんに話さなければならない内容を頭でまとめきれていない。

「あ、グミちゃん、牛乳お口にあった?」

そう聞いてきたアミちゃんは、タオル一枚身体に巻きつけただけの、無防備な格好で、牛乳の瓶を手に持っていた。私のよく知っているあの(・・・)は、風呂に入るのもためらう程、警戒心が強かったのに。人の性格というものは、やはり環境で決まってしまうのだろうか…―――?

「も、もしかして、牛乳、美味しくなかった?」

私が黙りこくってるのを見て、アミちゃんはそう言った。私はハっとしてそれに答えた。

「え、ええと、いいえ、とてもおいしかったです。牛乳なんて、めったに飲めるものではないですから」

「え、そ、そうなの?!…―――え、ええと、その、ね?」

アミちゃんは、タオル一枚の格好のまま、私にきちんと向き直った。どうしたのだろうか。

「…―――あの…グミちゃんがいた世界のこと、少し教えてもらえると、嬉しいなあ…って」

控えめに、少々バツが悪そうな感じで、アミちゃんはそう言った。

そうだ。話さなければ、ならない。

私がいた、別の世界線のことを。

私の、私自身のことを。

私の、能力のことを。

そして。

貴女自身に備わっている、その希少な能力のことも――――――。


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