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僕のお気に入り

「「ようこそ、猫カフェへ!」」


 焦げ茶とベージュの落ち着いた色合いのメイド服を着た店員が、今日も笑顔でにこやかにお出迎えしてくれる。ここは、僕がいつも通っている喫茶店だ。僕は仕事が終わると、癒しを求めて、ほぼ毎日このカフェへ足繁く通いつめている。皆勤賞並みの出現率を誇っている。ま、こんなことを自慢しても、だから何?と言われてしまいそうだが。これが、僕の日常のパターンになっている。猫カフェだから、無類の猫好きかというと、そうではない。じゃあ、何故ここに来るのかというと・・・・・・

「お席はどちらにニャさいますか?」

右側は洋食メニューが豊富な『猫カフェ』で、左側はくつろぐ事に全力を注いだ『まどろみカフェ』になっている。この『まどろみカフェ』が、仕事で疲れた僕を最高に癒やしてくれる、かけがえのない場所となっているのだ。今すぐにでも、この緊張をほぐしたいのだが、今日も一日中ずっとパソコンに向かってデスクワークをしていたので、まずは腹ごしらえをしないと、と思った矢先、グゥーとお腹が鳴った。鳴らすつもりはなかったのにと思うのと同時に、体中の温度が急に湧き上がっていく。きっと、目の前にいる店員さんには、色白というよりは血色の悪すぎる肌の色をした常連さんが、茹でた蛸のようになっていくのが見えているのだろうなと思うと、余計に恥ずかしさが増していく。もうこうなると、早く席に着きたいのに、それさえも伝えることができなく固まって身動きひとつも出来なくなってしまう。そんな様子を見慣れている店員は、

「先にお食事で、後からまどろみに移動でよろしかったでしょうか?」

と僕が首を縦に振るだけで済むような言葉をかけてくれる。ありがたい。ここの常連で良かったと思う一瞬だ。言葉を話すにはもう少し時間がかかりそうだが、動作の方の緊張状態は解けたようで、首を縦にブンブンと振り、案内された猫カフェ側の席に座った。出された水を飲むと、言葉の方も少しずつだが落ち着いてきて注文を取りに来た頃には回復していた。それから暫くは、お腹を満たすことだけに専念した。

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