俺の幼馴染が可愛すぎるんだが
これは俺、大宮大輔と高瀬美波の関係性が変わったきっかけ。
それを書いたものである。
朝の教室からコソコソと声がする。
「あの二人またそろって勉強してるぜ?」
「流石学年一位と学年二位だな」
「案外お似合いなんじゃないのか?」
そんな声が聞こえてきた。
俺の隣の席に座っている想い人、高瀬美波と勉強していた。
「高瀬、ここどうやって解くんだ?」
「あ~ここね。ちょっと見せて」
高瀬の顔が俺の顔の真横まで接近する。
(待って! 顔近いしなんかいい匂いするんだけど!)
俺が恥ずかしくて顔を背けているといつの間にか美波からの説明は終わってたようで──
「ちょっと大宮君、今の説明聞いてた?」
俺は怒られると思い。
「う、うん、聞いてたよ。ありがとう」
流れるように嘘をついた。
「そう。別にいいわよ。理数系は私の得意分野だし」
「理数系は本当にむずいんだよな。文系なら得意なんだけどな~」
「いいじゃない。私が居れば理数系も分かるでしょ?」
「まぁな。高瀬が居ると助かるよ」
俺と美波はよく一緒に勉強しており、俺は文系、美波は理数系を得意としているので互いの苦手分野を聞けるのだ。
学校のスピーカーから予鈴が鳴り、各々席に座り授業の準備を始める。
そしてほぼ寝てるだけで今日最後の授業が終わってた。
(今日も相談しに行くか)
俺は美波を意識し始めてから図書委員の友達によく相談しに行っていた。
「じゃあな、高瀬」
「ええ。また明日」
俺は足早に教室を後にし、図書室に向かった。
「で、結局一緒に勉強しただけで何もできなかったと。相変わらずお前は奥手だな」
「そんなこと言うなよ。俺が教室でアプローチできる訳ないだろ?」
今俺と話してるのは奥山健太。いつも美波のことで相談に乗ってもらっている数少ない友達だ。
俺が健太に相談しているころ俺と別れた美波はというと。
「あっ。そういえば図書室の本返し忘れてたわ」
私はそう呟くと教室を出て図書室に向かった。
私が図書室の扉の前まで来たとき中から大輔君とその友達の会話が聞こえてきた。
「結局大輔は高瀬さんのことどう思ってんだよ」
(奥山君、大輔君が私のことどう思ってるって言った?)
私は扉の前で足を止めて耳を扉に当てて聞き入った。
「そんなの好きに決まってんじゃん、大好きだよ。」
私はびっくりして声が出そうだった。
(えっ、今大輔君私を好きって言った!?)
今大輔君が言ったことにびっくりしながら──
(大輔君、私のこと好きなんだ……)
私は心の中で飛び跳ねた。
今まで感じたことのない胸と顔が熱くなる感覚に戸惑っていた。
私が一人で悶えてる中、奥山君が席を立ち、図書室の準備室に入っていった。
(今なら大輔君にさっきの言葉の真意を聞けるかな…)
俺は健太が図書室の奥に入って行くのをぼーっと見ていたら美波が凄い形相をして図書室に入ってきた。
「どうしたんだ? 高瀬?」
美波の形相に若干ビビりながらも聞いてみる。
「大宮君、さっき言ってたのって本当なの?」
「さっき言ってたことって──」
「その──私のことを好きって……」
(マズイ、聞かれていたのか!?)
俺はまさか美波に聞かれてるとは思わず言葉が詰まる。
「それはその……」
「私のこと──好きなの?」
美波に若干詰められて俺はしらばっくれるのは無理だと思い──
「高瀬、場所を移さないか?」
「そこで聞かせてくれるの?」
「うん」
美波と誰も来ない空き教室まできた。
「高瀬、さっきの会話聞いていたのか?」
「えぇ、聞こえたわ」
教室に数秒の沈黙が流れる。
意を決したように美波を呼ぶ。
「高瀬……」
「なに?」
(覚悟を決めたんだろ俺! ここで言うんだ!)
「俺は高瀬美波が好きだ。俺と付き合ってください!」
美波は顔を赤くし俺に聞いてくる。
「いつから好きだったの?」
「中学の2年の時からだ、高瀬に俺が怪我したとき治療してくれたときから」
「あの体育の授業?」
俺は頷いた。
「高瀬が献身的に治療してくれてるところに惹かれて……」
美波が不意に俺に抱きついてきた。
「高瀬?」
「私も前からずっと好きだったの」
美波が俺のことを好きと知って少し安心する。
「これ、両想いってことでいいんだよね?」
美波が上目遣いで俺を見る。
「ああ、これからよろしくな。美波」
「えぇ、これからよろしくね。大輔」
俺たちはそのままキスをした。
「さぁ、最終下校時刻ももうすぐだし帰ろうぜ?」
「えぇ、帰りましょ」
美波と帰り家の前で別れて自宅に帰ってきた。
因みに美波の家は俺の家の隣だ。
(今日は色々な事があったな〜)
俺は心の中でそう呟く
その頃の美波と言うと──
顔を真っ赤にしてリビングのソファーで悶えていた。
(キス──しちゃった)
今日したキスの余韻に浸りながら、ソファーのクッションに顔をうずめていた。
そのころ俺はスマホを前に悩んでいた。
(どうしよう。美波の声が聞きたい)
今日俺には生まれて初めて彼女が出来たのだ。
今まで恋人がいた事がない俺は夜の電話は掛けていいものなのか分からず悩み既に1時間経っていた。
(21時か──美波起きてるかな)
俺がそんなことを思っていると不意にスマホが音を鳴らして震えた。
(誰だ?)
電話してきた人の名前を見て俺はびっくりして若干してた眠気も吹き飛んだ。
「美波!?」
びっくりしてスマホを落としそうになったがなんとか持ち堪え電話に出た。
「もしもし?」
「あっ、大輔? もしかして寝てた?」
「いや、起きてたよ」
起きてたと言う俺の言葉に疑問を抱き、美波は俺に質問を投げる。
「起きてたならなんですぐ電話出なかったの?」
至って普通の質問だった。
ただ今の俺にはピンチが訪れていた。
「え〜と……」
(マズイ──美波から電話くれたのが嬉しくて、びっくりしてスマホ落としそうになってたとか恥ずかしくて言いたくねぇ)
「大輔? 大丈夫?」
美波が質問の答えに言い淀んどいるに言う。
たがその『大丈夫?』の一言で俺は焦りを覚えていた。
(これはもう正直に言うしかないか……)
俺は渋った声で言う。
「美波から電話来たのに嬉しくてさ、びっくりしてスマホ落としそうになってた」
そんな素直な答えを聞いて美波は──
「そうなの? いつもクールっぽいけど可愛いとこもあるじゃん」
美波にそんな事を言われて俺の顔は一瞬で沸騰したやかんみたいに真っ赤になる。
「悪いかよ……」
「いいや? ただ可愛いな~って思っただけよ」
「そうかよ」
美波に主導権を握られ俺は見事敗北した。
この後は宿題や、お互いの友達の面白い話をして23時頃に電話を切り1日を終えた。
◇◆◇
朝、俺の枕元からけたたましいアラーム音を響かせ起きる。
「もう朝か。学校だるいなぁ」
そんなことを思いながらベッドから出て着替えてリビングに降りる。
俺はリビングに降りて今日最初の衝撃を受ける。
「おはよう。大輔」
「おはよう。母さん」
寝ぼけている俺は母さんと勘違いしやる気のない声で朝の挨拶をするがすぐに疑問が残る。
(あれ? 母さんこんな声若かったっけ?)
そんな疑問が俺の頭をよぎり、声のした方向を見る。
「あら? 私はいつからあなたのお母さんになったのかしら?」
その声には聞き覚えがあった。いや、聞き覚えがありすぎた。
「美波? なんで俺ん家にいるの?」
寝ぼけながら美波に問う。
「彼女が朝一番に家に来たんだから少しは喜びなさいよ」
そう美波に言われ少しずつ頭が覚醒し始めてきた。
「ん~、ん? はっ!?」
かなりのタイムラグがありながら俺は美波が自分の家に居ることを認識した。
「はっ? じゃないわよ。まったく、早く顔洗っておいで」
「う、うん」
美波に言われるがまま大輔は洗面所に顔を洗いに行く。
顔を洗い終わった大輔は美波と一緒に朝食を摂り、玄関まで歩いた。
「行ってきます」
二人で俺の家を出た。
同じ家から出てきた二人をクラスメイトが見ていて小声で話す。
「おい! 今同じ家から出てこなかったか?」
「ホントだ! やっぱりあの二人はできてんだよ」
そんな声が聞こえたので俺はクラスメイトに見せつけるように、美波の手を握った。
「大輔?」
美波が急に手を繋がれて疑問符を浮かべている。
「美波、学校行こうぜ」
そう言われて美波も──
「えぇ、行きましょ」
そうして美波と手を繋いだまま学校に着いた
学校に着いた途端周りがざわざわしてきた。
「俺たちが付き合うのそんなに意外かな?」
疑問に思ったので美波に聞いてみる。
「さぁ? 他人に恋人出来たら話題に挙げたくなるんじゃない?」
「そんなもんなのかな~」
そんな他愛のない会話をしながら、教室に入る。
教室に入った途端クラスメイトの視線が俺達に集まった。
「美波、今日の一限なんだっけ?」
俺は美波に一限の教科を聞く
「一限は数学だったと思うけど」
美波から一限は数学と聞いて大輔は肩を落とす。
「理数系苦手なんだよ~」
俺が残念そうにしてる姿を見て美波は──
「いいじゃない、私が隣に居るんだから」
美波にそんなことを言われて俺は──
「確かに美波が隣に居たら当てられても答え分かるじゃん!」
「いや、答えまでは教えないけどね」
美波に残酷なことを言われて──
「嘘だろ~」
答えを聞けなくて残念がる大輔だった。
午前の授業の終わりのチャイムが鳴り、昼休憩になった。
「美波、屋上で昼食べないか?」
「えぇ、いいわよ」
美波と一緒に屋上に行く。
屋上のベンチに座り、弁当箱を開ける。
「どう? 今日の弁当私が作ったんだけど」
「えっ? これ美波が作ったの?」
俺の目には美波の作った弁当の中身が宝石箱の如く輝いていた。
「うん、大輔の口に合うといいんだけど」
俺は弁当の中身を一口食べた。
「美波、この弁当──死ぬほど美味いぞ!」
「そう? 良かった、早起きして作った甲斐があったわ」
俺は美波の手作り弁当を掻き込むように食べる。
「そんなに急いで食べなくても誰も取らないわよ」
美波は弁当を掻き込む大輔を見てクスクスと笑いながら嬉しそうにしている。
「大輔、何か忘れてない?」
俺は美波にそう問われ──
「ん? 何が?」
弁当を掻き込むのを止め、美波の方を見る。
「恋人が二人っきりで弁当を食べてるのよ? やることは1つでしょ?」
「なんかあるっけ?」
俺は美波の言いたいことが分かったがしらばっくれることにした。
「はい、あ~ん」
美波は唐揚げを箸で掴み、大輔に向けて言う。
俺は内心ドキドキしていたが口を開ける。
「あ、あ~ん」
恥ずかしさもあったが美波の作った唐揚げは普通に美味しかった。
「美味しい?」
美波が聞いてきた。
「うん、美味しいよ」
その後食べさせあいをし、弁当を食べ終わりのんびりしていると、大輔の肩に重みを感じた。
「美波?」
美波は可愛らしい寝息を立てて、俺の肩に頭を預けていた。
(早起きしてたみたいだし仕方ないか)
俺は心の中でそう呟き、休憩終了5分前の予鈴まで美波に肩を貸すのだった。
昼休憩10分前の予鈴が鳴る。
「美波、そろそろ休憩終わるぞ?」
美波は眠い目を擦りながら──
「あれ? 私いつの間に寝てたんだろ」
俺は寝ぼけてる美波に悪戯心が働き、頬をつついてみた。
「大輔〜? 何してるの〜」
そんなふにゃふにゃした声で言ってくる。
まだ目が覚めない美波に俺はキスをした。
「んっ!?」
美波は一瞬びっくりしたがすぐにキスを受け入れた。
そして口を離し──
「目醒めた?」
俺が微笑を浮かべながら言うと──
「うん」
「なら良かった」
俺は立ち上がり──
「教室行こうぜ」
俺は美波の手を取り屋上を後にした。
そしてその日の最後の授業は進路希望を書く時間だった。
「進路どーすっかな~」
俺がそんなことを呟くと──
「進路決めてないの?」
美波にそう聞かれたので俺は──
「大学は行きたいと思ってるけどその大学をどこにするか決まってないんだよ」
「行きたい大学とかないの?」
「今のところないな。美波は決まってるのか?」
俺が美波に聞くと──
「私は決まってるよ?」
俺がどこの大学か聞くと──
「私は桜花学園に行くつもり」
「桜花に行くのか!?」
俺は度肝を抜かれた。
桜花学園は全国的に見ても偏差値が高い大学になる。
「まじか……」
俺はしばらく消沈していた。
美波の行く大学の偏差値がある程度のところなら、一緒にするのもありだと考えていたからだ。
「大輔君もくる? 桜花学園」
そんなことを聞いてくるので俺は──
「いや、無理だろ」
俺は美波にそう返した。
「あの桜花だぜ? 俺みたいな不真面目学生には無理だろ」
俺がそう返すと美波は──
「多分成績的には行けると思うよ?」
そう言われた俺は『成績的には』に疑問を持つ。
「内申か?」
俺はほぼ確信していた。
「授業で寝なければ今からでも間に合うと思うよ?」
美波がそんな希望に満ちたことを言ってきた。
「なんで間に合うってわかるんだ?」
俺は疑問に思った。
学校の内申点のシステムなんかわかるはずないからだ。
「先生に先に聞いといたの」
俺がだろうなと思っていると──
「先生も点数は大丈夫だからあとは寝なければって」
俺は卒業まで学校で寝ないことを決意した。
「わかった。もし俺が寝そうになってたら起こしてくれよな」
俺がそう言うと──
「お任せあれ」
そうにこやかに美波は言ってきた。
そして卒業までの数か月、俺は死ぬ思いで起きた。
勉強も怠らずやり、そして──
「早かったね卒業式」
美波が嬉しそうに言ってくる。
「なんか嬉しそうだけど何かあった?」
俺も卒業は嬉しいが、美波がすごく俺嬉しそうな顔をするので聞いてみた。
「だって高校卒業しても一緒なんだよ?」
そう、俺は桜花学園に無事合格したのだ。
「あんだけやって合格しなかったら俺泣いてたわ」
そう苦笑しながら言うと──
「大輔君頑張ってたもんね」
美波は俺の頭をなでながら言ってきた。
俺は努力が報われたことに嬉しくなり涙を堪える。
「大輔君? どうしたの?」
美波がうつむいた俺の顔を覗こうとしてきた。
「わっ!」
俺は顔を見られたくなく咄嗟に美波を抱き寄せた。
「大輔君?」
俺は震える声を抑えながら──
「美波、ありがとう」
俺はそう呟いた。
美波もそんな俺を察したのか背中に手をまわしてくる。
「うん」
卒業式も終わり、俺たちは空き教室に来ていた。
「ここ懐かしいね」
美波が教室を見渡しながら言う。
「そうだな。言ってもまだ数か月しかたってないけどな」
俺は微笑しながら言う。
ふと美波が聞いてきた。
「これからも私たちずっと一緒だよね?」
美波が涙ぐみながら言う。
「あぁ、ずっと一緒だ」
俺は窓際に立っていた美波に優しく腕をまわす。
「私より早く死なないでよね」
「まるでプロポーズみたいだな」
俺はそう返す。
「プロポーズは俺からがいいんだけど」
そう言うと──
「うん。そうして欲しい」
美波にそう返される。
「美波」
美波がこっちを向く。
美波も察したように目を閉じる。
そして俺も顔を近づけ、キスをした。
「これからもよろしくな。美波」
「うん、よろしくね。大輔君」
美波は笑顔で言ってくる。
その笑顔は今までで一番輝いて見えた。
読んでいただきありがとうございます!これが初めての作品なので至らないところがあればバシバシ意見をください!




