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タイトルに偽りなしシリーズ

俺を家から追放した腹違いの姉が没落して投獄されたので会いに行ったら文句を言ってきたので「今更もう遅い」って言うだけのお話

掲載日:2026/06/22

「貴方を我が家から追放するわ。慈悲として最低限の餞別は渡してあげるから速やかに領地から退去しなさい」

優しかったはずの姉は何の感情も浮かばない氷のような表情で、俺にそう告げると去っていった。


俺はヒンターグルント王国建国から続く名門、フィグーア侯爵家の当主の息子として生を受けた。

しかしながら俺はフィグーア侯爵家の血を引いていなかった。

どう言う事かと言えば、まあ単に親父が入婿で、正妻さんが妊娠中になんかムラッときた親父に押し倒されたメイドが一発命中の末に産んだ子が俺と言うだけである。

ちなみに王国では女性当主が認められていないので入婿でも親父が当主なのだが、継承権はあくまでも血統に由来するので、当主の息子であっても俺に継承権は無い。

まあ当然の事だが俺の立場は酷いものだ。正妻やその息子達からは当然のごとくイビられたし、使用人達からも蔑みの対象になった。親父は見て見ぬふり……と言うかそもそも興味を持っていない疑惑。ヤッた結果には興味ない模様。クソだわ。

母親は赤ん坊の頃はそれなりに世話をしてくれていたのだが、俺が3つになる頃に侯爵領の下級官吏と結婚して家からいなくなった。なおセッティングはクソ親父。不要になった愛人を部下に押し付けて厄介払いとか紛れもなくクソだわ。

俺は曲がりなりにも当主の血を引いているので侯爵家で養育すると引き離された……なおまともに養育するとは言ってない模様。クソだわ。

ところでなんか俺が赤ん坊の頃に世話された記憶があるのを不自然に思った人がいるかも知らないが、単に異世界転生者なだけである。ちなみに神様とかには会ってないがチートっぽいレベルの魔力と希少属性の「影」魔法を使える。まあ侯爵家の人間には言ってないから知られてないけどな! バレたら絶対利用されて使い潰されるだろうし。俺、成人したら逃げ出して冒険者になるんだ……

さて、そんなクソみたいな環境でも奇跡的に真っ当な人間と言うものは居るものである。

俺と同い年の姉である。(つまりクソ親父が浮気した時に正妻さんのお腹の中にいた子)

好奇心旺盛だった姉は夜中にコソコソとしている子供の姿に気づくと尾行、そこで厨房で残飯をあさる俺に遭遇し、俺の存在を知ったのだった。

そう、姉は兄達と違って俺の事を知らされていなかった。まあ女の子に「母親がお前を妊娠中にヤレずに溜まってた親父がメイドを手篭めにして生まれた弟がいるよー」とか言えんわな。

さて、何の先入観も無しに俺と出会った姉は……なんかめちゃくちゃ俺を可愛がった。うん、末っ子だと思ってて妹か弟が欲しいとかずっと思ってたらしいよ? なんか子供らしい望みでほっこりしたわ。

ただ同時に歳に見合わない賢さもあり、俺と仲良くするのがバレるとマズいのは理解していたので、この関係もまたこっそりとしたものになった。ただ口の固くて信用の置ける使用人に俺が最低限生きていける食事を手配したり、自分が家庭教師から教わった事を教えてくれたりした。お陰で無事に生き残れたし、魔法の使い方なんかも覚えられたわけだ。うん、マジで恩人なんだわ。

……なお頼まれてメシを食わせてくれた料理人のおっちゃんは「親に内緒で猫飼ってるノリだな」とか言ってた。否定出来ねぇ。


そんなこんなで後一年で成人すると言う14歳、そろそろ本気で侯爵家脱出計画に着手しようかと言う時に冒頭の言葉である。

流石に内緒ではあってもそれなりの関係を築いていた姉にそんな事を言われた事で俺も混乱し、何の抵抗も出来ないまま馬車に押し込められて領地の外へと連れて行かれた。

餞別と言って渡されたのはボロボロの頭陀袋一つ。脱出計画でこっそり用意していた装備や現金を持ち出す暇もなかった。

「何でだよ……姉さん……」

母を除けば家族と呼べるのはあの人だけだった。転生した成人男性の意識があるとは言え、周りから虐待されるのはやはり辛い。そんな中でも子供なりに俺に対して愛情を注いでくれたあの人は、俺にとって特別だったのだ。

じわり、と涙が滲む。だが悲しんでばかりもいられない。馬車はどうやら国境方面に向かっているようだ。あの人は俺を国外に捨てたいのだろう。手持ちの札を確認して備えなければ……

あまり荷物が入っていないであろう頭陀袋に手を突っ込むと、中から出てきたのは……古びた鞄。……いや何で袋の中に鞄入れてんのマイシスター? あれ? 何か魔力を感じ……

その時点でハッとした。

鞄を開けると中を覗き込む。そこには光の一切届かない真っ黒な空間が……

『マジックバックじゃねぇかぁぁぁっ!!』

俺は絶叫を必死で喉の奥に押し留めて心の中で叫ぶ。餞別に一般家庭年収の十数倍のマジックアイテムとか多すぎだよ!!

更に中身を確認すれば俺が脱出用に用意していた武器や現金に加えて日持ちのする食料品に着替え、とどめに換金し易そうな宝飾品……

……うん。これ追放じゃなくてそう言う名目で国外に逃すつもりだなマイシスター? 絶対何かあっただろ。

俺はため息を一つつくと、影魔法「シャドウダイブ」を発動。影の中に潜ってその場から姿を消したのだった。


王城の地下牢。そこが私、フリーデリケ・フィグーアの新しい寝室でした。

まさか父が隣国に機密情報を流していた上に違法薬物をはじめとした禁制品の密輸に手を染めていたとは……

しかも兄達もしっかりと関わっており、母なんか見目麗しい少年の違法奴隷と薬物キメてホニャララしすぎて廃人一歩手前と、もはや侯爵家の取り潰しは避けられません。と言うか取り潰しどころか国家反逆罪で一族全員処刑でもおかしくありません。

……前々からクズで女癖の悪い父親と無駄にプライドが高くヒステリー持ちの母親、それに両親の悪いところを濃縮して受け継いだ二人の兄達には思う所がありましたが、破滅するならこちらを巻き込まないで欲しかったものです。

その点、あの弟は可愛げがありました。きっと母親に似たのでしょう。私にも懐いてくれましたし、私自身にとっても真っ当な家族と言えるのはあの子だけでした。

……初めて会った時に名前を聞いたら「無いよ?」とか言われて驚愕したのも今となってはいい思い出です。思えばアレが私が家族と思っていた連中のクズっぷりに気づくきっかけでしたね……

あ、ちなみに貴族令嬢として婚約者はいましたが投獄された時点で当然のごとく婚約破棄されました。わざわざ牢屋の前に面会に来て「其方との婚約を破棄する!」とか何でやったんでしょうか? あと腕にぶら下がっていたピンク髪の令嬢は何者だったんでしょう? 何となく敵な気がします。ええただの勘です決して小柄で童顔のくせにおっぱいがやたらと大きかったのが理由ではないはずです別に悔しくないです人の胸を見て残念そうな顔をするおっぱい星人な婚約者なんてこっちからお断りなんですよ本当ですよ。

「そんなに胸ないのコンプレックスだったんだ……」

ブツブツと呪詛を吐いていると、唐突に牢の外に気配を感じました。

聞き覚えのある声に慌てて顔を上げると、そこには強引に国外に逃したはずの弟の姿がありました。

「……何で……」

「俺が姉さんを見捨てる訳ないだろ。まったく、こっそり領都に戻ったら領主一族が捕縛されたって聞いてびっくりしたんだからな」

まるでちょっと世間話に立ち寄った、そんな軽い口調で弟は言いました。

……分かっていました。この子がそう言う子だと言う事は。だからこそ逃したかった。庶子、それも正式に認知されておらず名前すら付けられていなかった彼ならば、国境を越えれば国とてまともに追う事はないだろう。そう思って強引に追放と言う口実で逃したのですが……まったく馬鹿な子ですね。

「……フィグーア家が国家への背信行為をしたのは事実です。私もフィグーア家の娘として穢れた財を使っていた身、大人しく裁きを受けるつもりです。ですが貴方は実質無関係な身、巻き込まれないようにこのまま逃げ「却下します」って何でよ!?」

私がキッと睨みつけると、弟はニヘラっと笑うと指を立ててドヤ顔で言いました。

「それはね、俺が嫌だからさ!」

「理由になってなくない!?」

私が抗議の声を上げると、弟はニヤニヤしながら言葉を続けます。

「ねえ、姉さん? おかしいと思わない? さっきからこんな大声で話してるのに看守がやって来ないんだよ?」

「……!」

そう言えばその通りです。恐らくは不法侵入しているでしょうから不審な話し声がすれば看守がすぐに駆けつけるはず。つまり……

嫌な想像をして顔色を変えたであろう私を見て、弟は笑いながら言います。

「そう!看守さんはぶん殴って気絶させて猿轡かませてふん縛って転がしてありまーす!」

「何してんのよぉぉぉっ!!」

私、絶叫。思わず崩れ落ちて床に膝をついてしまいます。

「……何でよ。大人しく逃げていれば……」

今更そんな事(・・・・・・)言ってももう遅い(・・・・・・・・)な! これで俺もこの国じゃ立派な犯罪者だ!

……だからさ、姉さん。俺を巻き込むとか考えないでさ、一緒に逃げよう?」

そう言って弟は私に手を差し伸べました。いつの間にか間を隔てていた鉄格子は切断され、床に転がっています。

……ああ、もう無理です。

本当は怖かった。処刑なんてされたくなかった。

私の事を政略結婚の駒としか見ていない父なんか嫌いでした。

家族を顧みず離れに愛人と籠る母なんてどうでも良かった。

メイドを性欲処理の道具としてしか見ず、たまに実の妹である私にすら下卑た視線を向けてくる兄達なんか捕まっても当然だと思っていた。あと酔っ払って「これで胸さえありゃ妹でも相手してやってたんだけどなー」とか言ってたのは許さん絶対にだ。

だからそんな連中の犯した事に巻き込まれるなんて納得なんかしていませんでした。

でも、貴族令嬢として生きていた私が庇護者もなく生きていける自信なんてなかった。逃げても捕まるか飢えて野垂れ死ぬか、はたまた身体を売って生きるか……それならまだ貴族として毒杯を賜って死ぬ方がマシだと思っていました。だけど……

弟を見上げる。ちょっと癖っ毛な茶色の髪と鳶色の瞳は地味な印象を受けるが顔立ちは整っているし、何よりゴツくはないが鍛えられたしなやかな筋肉がじゅるり、げふんげふんどこかしなやかな肉食獣のような美しさを感じさせます。

かっこよくなったなー。子供の頃は可愛いが勝ってたのに。

いつからだろう。この弟に異性を感じるようになったのは。

最初は家族からの愛を感じられなかった私が、弱く守ってやらねばならない相手を守る事で愛されようという打算だったんだと思います。

けどいつか私に一途に愛を返してくれる弟は特別になっていきました。

婚約者が出来ても政略で、相手はいつも私以外の女の尻を追いかけていたし、父と兄達がアレな事もあって弟以外への男への嫌悪感は酷いものでした。私の弟への……彼への依存は益々酷くなっていきました。

ちなみに弟とは言っていたが物心ついた後に知り合った上にあの兄と違いすぎる為、いまいち弟とは、家族とは認められなかったのもありました。(家族=クズの認識)

で、巻き込まないように逃したのに危険を顧みずに当然のような顔で助けに来てくれた訳ですよ。

……こんなんもう無理やろがーっ!

もう一度、彼の顔をじっくりと見る。

穏やかに微笑み手を差し伸べる彼の姿からは確かな愛情を感じる……家族に対する、だが。コイツ私の事をあくまでも姉としか思ってないんだろうなー(イラッ)

……よし! 押し倒すか!

どーせ犯罪者扱いだし近親相姦の罪状が増えても今更よね!

「……まったく……もう」

私は諦めたように微笑むと、彼の手を取ります。

「じゃあ逃げるよ、姉さん」

「……ええ」

私は逃げる。だがお前は逃がさん性的な意味でなぁ!(ニチャァ

最後、姉が丁寧語口調からキャラ崩壊してますがヤツはこれが本性です。


……ねえなんで素直に姉弟の家族愛での感動物にしなかったの? 何で最終的にHENTAI出てきちゃうの? おかしいだろ俺ーっ! プロット段階では普通だったのにっ!

とりあえずジャンルは当初のヒューマンドラマからコメディーに変えとかなきゃ……


6/23 姉の「既に籍は抜いてある」と言う発言を削除。名前すら付けられてないのに籍とか無いわコイツ

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