第1話 番号は、最初からあった
※本作は派手な展開や明確な答えを提示しない作品です。
制度や記録を通して、人の沈黙や語られなかった選択を描いています。
※本作はAI(ChatGPT)を補助的に使用して生成した文章を、
作者自身が構成調整・加筆修正を行ったうえで執筆しています。
※AIの利用については、ChatGPTおよび「小説家になろう」の
利用規約・ガイドラインを確認し、これに反しない形で投稿しています。
朝の校門は、いつもと同じだった。
生徒たちは特別な表情もなく通過し、立ち止まる者もいない。
制服の襟元に触れる癖のある者もいれば、スマートフォンを見下ろしたまま歩く者もいる。
校門を越えると、端末が一度だけ短く振動した。
確認するまでもない。
構内に入ったという通知だ。
廊下の掲示板には、行事予定と委員会当番表が並んでいる。
私はその前で足を止め、自分の名前を確認した。
記録委員会。
今日も放課後に業務がある。
クラスに入ると、すでに半分ほど席が埋まっていた。
誰かが席を替わった形跡も、特に気にする人はいない。
出欠確認の前に、担任が一言だけ言う。
「記録、忘れないように」
それだけだった。
一時間目が始まり、授業が進む。
ノートを取る音、椅子の脚が床を擦る音、窓の外を走る車の音。
特別な出来事は何も起きない。
昼休み、私は委員会室へ向かった。
昼当番ではないが、確認しておきたい項目があった。
委員会室は、いつも少し静かだ。
机の上に並ぶタブレットは、電源が入っているものと、そうでないものがある。
私は自分の端末を起動し、今日分の一覧を開いた。
行動記録。
移動記録。
接触記録。
どれも、いつも通りだ。
指を滑らせていくと、一箇所だけ空欄があった。
名前はある。
時間もある。
だが、内容が入力されていない。
自己申告が、ない。
珍しいことではない。
入力が遅れることもあるし、後でまとめて申告する生徒もいる。
私はその項目に小さな印を付けただけで、特に処理はしなかった。
違反ではない。
まだ、そういう段階ではない。
午後の授業が終わり、放課後になる。
部活に向かう生徒、帰宅する生徒、委員会室に集まる生徒。
それぞれが、それぞれの動線を辿る。
記録委員会の作業は単純だ。
集まった記録を確認し、欠けている部分があれば印を付ける。
理由を推測しない。
判断もしない。
ただ、残す。
作業の終わり際、もう一度その空欄を確認した。
まだ、埋まっていない。
私は印を一つ増やし、端末を閉じた。
帰り道、校舎の外で端末がもう一度振動する。
構外に出たという通知。
番号は、最初からそこにあった。
それを不思議に思ったことは、一度もない。
ただ、今日も一つだけ、空白が残った。
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