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悪魔団  作者: レイジネス
17/20

第十七話 交爵

そして僕は目を開けた


「…え?」


僕が目を開けた先には薄暗い森が広がっていた

見れば、僕はジャスティアさんにお姫様抱っこをされているではないか

…いや、どういう状況なんだ?これは


「おっ!?起きた?」

「え、いや、どういう状況ですか?」


当然である

僕は状況が飲み込めていない

だって、冷静に考えるとさっきまで鋼鉄のトレーニングルームにいたはずが急に薄暗い森にしかもお姫様抱っこされながら歩いているのだ

無理はない


「トレーニング…てか、実践経験。第一部隊のトレーニングは実践経験だ。どうやらここらへんで悪魔団が出たとの情報が入ってな。そいつをお前に討伐してもらおうと思って」

「はぁ…」


悪魔団との実践経験

戦うのは実に約半年ぶりくらいだろうか

まあ、きっと侯爵かその程度のクラスだろう

大丈夫だ。僕は半年前とは比べ物にならないほどのエネルギー量と新たな技術を身につけている

もう、あんな無様には負けはしない


「…あれだ」


そう言いながら、ジャスティアさんは片手で森の奥を指差す

他の場所は高い樹木の葉で覆われているのに

なぜかそこだけ葉が少なく、月光が光の弱いスポットライトのように当たっていた


「うん。客人かな?」


その月光の真ん中に立っていた男はこちらに気づいたのか振り返る

青少年のような見た目だった。ただ、同時に二十歳は超えてそうだと思った

短いグレーの髪に黒く、宇宙のような目

着ている星模様のパーカーがいい味を出している

僕は胸の方に目をやる

悪魔団のペンダントを見て、階級を判別するためだ

そして…


「…は?」


思わず、そんな声を上げてしまう


「こんにちは。今日はいい日だ。星がよく見える」

「犯罪集団が敬語なんて使うなよ。洒落臭い。ほら、マモ。出番だぞ」

「…はい」


僕は再度ペンダントに目をやる

やはりだ。間違いじゃなかった。

そのペンダントは橙色のペンダントであった

とどのつまり…この男の階級は…

“交爵“だ




「マモくん…っていうのかい?ごめんね。さっきその背丈の高い男の人が君をそう呼んでたからさ」


背丈の高い男というのはジャスティアさんのことで間違いないだろう


「はい、マモって言います」

「はは…怖がっているのかい?大丈夫、悪魔団は犯罪集団と言われているけど…中には親切な人だっているもんだよ」


そう言いながら、その男は名を名乗った


「僕は“アルビレオ“。ここで会ったのも何かの縁だ。仲良くしようよ」




アルビレオ…

一見…いい人そうには見える

少なくとも前会ったヌイセマカよりはいい人なのかもしれない


「バカが」


突如、ジャスティアさんが僕にそう言ってきた


「はぁ…本当に単純だよな?いや、お人好しすぎる。お前はもっと人を疑うことを知った方がいい」

「…何がだい?」

「お前は悪魔団で俺たちは世界連…相対している組織の時点で仲良くもクソもあるか」

「確かにそうかもしれないね。でも、だからと言って、仲良くできないとは限らないじゃないか。互いが互いに心寄り添えば…いつかは世界は平和になっていく。みんな仲良くなれる。」

「じゃあ、逆に聞くが現在進行形で犯罪しているお前らと仲良くなったとて、それじゃあ悪はなくならない。それを世界の平和と呼ぶのか?」


ごもっともである

僕でも流石に犯罪者と仲良くなりたいとは思わない

でも、アルビレオは仲良くしようと言った

だから、この問いを否定すると思った


「そうに決まってるじゃないか」

「…は?」

「はは…」

「今は違うかもしれない。でも、人と人は手を取り合えば、仲良くなれる。仲良くなれば、世界は平和になる。だからこそ、その過程に犠牲や悲鳴が多かったとしても僕はその道を歩むよ。だって、それが平和への近道なのだから」


僕は何を言っているのかわからなかった

平和のために犠牲が必要?

そんなの真の平和と言えないだろう。

ジャスティアさんは苦笑いし、軽蔑した目でアルビレオを見ていた


「悪魔団はな…こんなやつばっかなんだ。だから、むやみやたらに信頼するな」


そう、言われ僕は…


「わかりました…」


そう告げ、僕は臨戦体制を取る


「…はぁ。僕は戦いが好きじゃないんだけどね。でも、君たちがやるというからには仕方がない」


そう言って、アルビレオも臨戦体制に入ったのか莫大なエネルギーを放出する


「…さぁ、戦おう。互いの正義を賭けて」





刹那、爆音と共に目の前に土煙が現れる

見れば、すぐそこまでアルビレオが迫っていた

勢いよく地面を蹴ったのだ


「…っ!!壁羅!!」


僕はエネルギーの壁を展開する

その壁にアルビレオの拳がぶつかり…

『バァン!!』というような大きな音が響いた


「…うん。雑魚じゃないね」


アルビレオは距離を取る

僕の壁羅は破壊されていなかった

…よし…!!交爵にもこの技術は通じるぞ!!

僕がそう思っているとアルビレオは話し出す


「この程度で死んでもらっては興醒めという物だからね」


そう言い終えると

アルビレオは突如、猛スピードで木と木を駆け巡り始めた

…なんだ?僕を翻弄しているのか?

確かにアルビレオはものすごいスピードである

それはまるで台風のようだった

そうして…初めと同じようにアルビレオは一直線に突っ込んでくる

早い…が…!!目で追える!!

僕は再度壁羅を展開する

…これで大丈夫…そう思っていたのに

目の前から『パリン!!』という音が鳴る


「…なんで!?」

「ふふ…なんでだろう…ねぇ?」


僕はその拳に当たり…数十メートルぶっ飛ばされてしまう

背中で木にぶつかってしまったため、後ろがめちゃくちゃ痛い

いや、そんなことはどうでもいい

なぜ僕の壁羅は破壊されたんだ?

一撃目は手加減されていた?

もしくは相手の能力?

相手の能力だとしたらどんな能力だ?

ダメだ、情報が少なすぎる

強いていうなら、猛スピードで駆け巡ること…それが、能力発動条件なのかな

いちいち考えているだけじゃダメだ

この可能性に賭けて…攻める!!

僕は地面を蹴り、相手との距離を一気に攻める

脳筋みたいだが、猛スピードで駆け巡る前に攻撃を畳み掛けるのが良いと考えた

…だが、アルビレオは動かない

なんだ?舐めプでもされているのか?

少し腹が立つが舐められているというのはこちらにとって好都合だ

僕は右拳に力を込める

これで仕留められるとは…正直思わない…

だが、この一撃で致命的なダメージを与えたい!!


「ダメだよ。ルールは守らないとね」


そうして、僕の拳はアルビレオに触れた

ただ、それは“触れた“だけだった


「…は?」


すぐさま、僕とアルビレオの間にまるで、押し戻されるように透明の壁のような物ができた

…というか…これは…どんどん離されている?

そう思った刹那、ものすごい速度で後ろに吹っ飛ばされて…

やがて、木に激突した

衝撃で少し、体が言うことを聞かない

土を踏む足音がだんだんと近づいてくる

僕はとりあえず、立ちあがろうとする

が、足がもつれ転んでしまう

そんな時、ある物を見つけた


「三角形…?」


木に黒いペンで書かれたような三角形があったのだ

これが奴の能力に関係している…

そう考えるのが妥当だろう

だが、なんだろうか。これは何を表している?

僕はふらつく視界の中、なんとか立ち上がった

僕は近づく足音に備え、身構える


「…気絶すらしていない…か…タフだねぇ…」


アルビレオは笑みを浮かべながら近づく

三角形と吹っ飛ばし…それと、威力上昇

それらは一体何が関係しているというのだろうか?


「…ん?」


僕は気づく

見れば、アルビレオの着ている服の右下

そこに“四角形“のマークが書かれていた

さっきまでこんなものがなかったのを考えるにさっきの三角形同様、これも能力と考えるのが妥当だろう

…三角形と四角形…まぁ、これが何を表しているのかわからないわけだが…

ここで仮説を立ててみよう

仮説その1、四角形のマークが施されたものに触れた場合、あらかじめ設定された三角形に飛ぶ説

僕はさっき殴るという名目でアルビレオ…つまり四角形に触れてしまった

そのため、三角形がマークされた木に飛ばされたという仮説だ

それに、飛ばされる前、アルビレオが言っていたことも気になる

『ルールは守らないと』

その言葉が能力の発動条件とか…を表しているとするならば…


「次は防ぎ切ります…」

「威勢はいいね…それじゃあ…」


そういうとアルビレオは再度、木を駆け巡りながら


「次で仕留めてあげるね…!!あんまり弱い物イジメは好きじゃないんだ」


僕は集中力を最大限まで高める

そうして…やっとわかった…

いや、まだ、確証はないけれど…きっと…これであっている気がする

刹那、拳が飛んでくる


『アンビータブル…』

「…受け止めるんだねぇ」


本当に便利でインチキな技だ

と、僕は思いながらアルビレオに告げる


「わかった…アルビレオ…あなたの能力が」

「…じゃあ聞かせてもらおうか?僕の能力はズバリ?」

「アルビレオ…あなたの能力は…いわゆる“ちゃんとフラグを立てず、先に進むとクラッシュして振り出しに戻されるタイプのクソゲー“…でしょ?」




「はは…面白い例えだね…でも、ちゃんとあってるよ。そうだ僕の能力はちゃんとルールを守らないといけないクソゲーさ」


僕は“アンビータブル“を使う前にもう一つ能力を使っていた


『スカイアイ』


能力“境界“を使った、空間の情報を即座の入手する技

それでわかった

彼が駆け巡っている間、駆け巡っている木には5つのマークがあった

それぞれ、三角形、四角形、五角形、六角形そして…星…

それをさっきの順番通りに駆け巡り続けていた

そして、この5つ…正確には星のマークにたどり着いた時、アルビレオのスピードが少し上がった

考えるに星に辿り着くと一定時間バフが付き、また、この効果は重複する…

そうして、なぜ、僕はぶっ飛ばされたか

それは単純で僕が順序を守らなかったからだ

僕は三角形につく前に不正をして?四角形に触れてしまった

だから、僕は振り出し…つまり、三角形に戻されてしまった

…まぁ、要するに順序を守って、不正したら振り出しから…っていう能力だ

本当…よく気づけたよな?僕。


「それでどうするの?それを知って防げる物じゃないと思うんだけどさ」

「そうかもしれないね」


アルビレオは再度、駆け巡る。

しかし…それこそが…僕の狙いだった

僕は再度…集中力を高め…

狙いを定める

そして…!!


『かまいたち!!』


僕は駆け巡るアルビレオに攻撃を当てる

“かまいたち“

“風“の能力を使った殺傷能力はなく、吹っ飛ばすことに特化した技

…だが、これでいい


「普通あてるかい?でも、吹っ飛ばされたところで僕は君よりも強度がある少しの衝撃くらいなら難なく耐えてみせるよ?」

「…さっき四角形に触れてましたよね?あなたこそルールはちゃんと守らないと」

「…何?」


そうして、アルビレオは吹っ飛ばされ機に直撃し、やがて、轟音が炸裂する

そうして…アルビレオは声を荒げた


「なんで…ここに星のマークが!?」


さっき使った“境界“という能力

これは空間掌握以外にも“物の座標“をずらすこともできる

だから、僕はアルビレオの吹っ飛ばされた先にあらかじめ、星のマークをずらしておいたのだ

そうして…僕は確実に仕留めるために


「…君!!どれだけ三角形のマークを遠ざけたんだ!!」


そう、僕は三角形のマークも遠ざけておいた

速度は”三角形マークとルール違反をしたマークとの距離に比例する“

まぁ、確証はなかったが、あっていてよかった

というか、これくらいしかアルビレオを倒せる方法が思いつかなかったからむしろありがたい

そうして…やがて…


『バアアアン!!!』


さっきより大きな轟音が森全体に鳴り響くのだった




「ゴホッ…ゴホッ…」

「まだ、生きてるんですか?」

「はは…生命力は高い会からねぇ…僕…」


アルビレオは笑っているが…すでに死にかけだった

それもそのはずだ。なんせ、三角形マークを記した木はへし折れ、さらにその先の2つの木をもへし折りながら、4本目の木への激突でやっと止まったのだから

エネルギー強化をしたとて、耐えられる物ではない


「…反撃してこないのですか?」

「…当たり前じゃないか…僕は絶対死ぬとわかっていても醜く足掻いて、羞恥を晒すほど…はじな真似はしたくないからね…」

「僕は…そんな状況でも見にくく足掻くと思いますけどね…」

「…ふっ…個人の考え方の違いさ…否定するつもりはないよ」


何度も何度もアルビレオは本当に悪人なんだろうかという考えが脳裏をよぎる


「もしかして…僕が本当に悪人なのか疑っているのかい?なら、あってるよ。僕は人を今までに1万8192人殺してる。行き先は地獄確定ってもんさ…」

「…殺した人の人数を覚えているんですね」

「当たり前じゃないか…命に平和のために…犠牲になる人は当然いる。ならば、その人たちを供養するためにも殺した人数は覚えておかないとダメだろう?」


やっぱり、アルビレオはいい人なんだ

きっと、悪魔団なんて組織に入らなければ、また、違った方法を取っていたのかも知れない


「…ああ、そろそろ時間…みたい…だね…」


そう言いながら、アルビレオは目を瞑る


「…アルビレオ…君は良い人だよ」

「…いやぁ…僕の死に際に…そんなこと言われると思わなかったなぁ…」


そう言って、アルビレオは息を引き取った




「…アルビレオ」

「終わったみたいだな」


そう言いながらどこからかジャスティアさんが姿を見せる

僕は問う


「アルビレオは…本当に悪い人だったんでしょうか?」

「お前ら呼び捨てする中なのか?」

「敵をさん付けで呼びたくないだけです。でも、敵と悪い人っていうのは違いますよね」


そう言うとジャスティアさんは僕の頭に手乗せ撫でてくる


「…なんですか?」

「確かにアルビレオという男はお前から見たら悪い人間じゃなかったかもしれない。こいつは俺たちの敵だった…敵である限り倒すしかないんだよ」


ジャスティアさんは敵であるから倒せ…と言いたいのだろう


「あまり情を見せるなよ」


そうだ、戦場で情を見せることは許されない

それが隙になって繋がりかねないから

僕はそのことをズキズキ痛む胸に刻み込む

…その時だった


「…う〜ん…実に刺激的…だが、テイスティー…!!ハハ!!僕の本能をくすぐってくれる…!!」

こんちは〜レイジネスです。

インフルかかって辛い

ということで後書くの辛いのでサボらしてください

許してくれ、その代わり本編長く書いたからさ

ということで〜是非、次回もお楽しみくださいな〜

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